ノーベル賞受賞者の選考過程


今年もノーベル賞発表の月(10月)が近づいて来ました。
この所日本人が連続で受賞しているので今年も大いに期待が持てますね。

世界にはノーベル賞を上回る賞金をだす賞も幾つかありますが(最後に記載)
やはりノーベル賞は其の歴史と格で最高の栄誉であり、特別の賞として世界中が認める賞です。

ノーベル賞は、生理学・医学、物理、化学、文学、平和、経済の6賞がありますが、
以下自然科学系の3つの賞だけに言及することにします。

ノーベル賞の第一回目の授賞式は1901年12月10日に行われました。
ノーベル賞を授与するのは、物理学と化学賞はスエーデン王立化学アカデミーで
生理学・医学賞はスエーデンにあるカロリンスカ研究所です。

ところでこのノーベル賞の選考はどのようにして行われているのでしょうか。
受賞者の選考過程は受賞後50年までは明かされません。

受賞者決定までの大きな流れとして、

1.推薦依頼の発送
選考を担当する各組織が設置するノーベル委員会が前年の9月に該当分野の専門家や過去の受賞らに受賞候補の推薦依頼を発送する。
推薦依頼は各部門3000人を超える。

2.翌年1月推薦締め切り

3.選考作業開始、
物理学賞や化学賞の場合は1次候補者250人~300人を対象に約半年を掛けて絞り込む。
観点は、推薦された研究者が本当に最初に手掛けたものか、
同様の成果を挙げた研究者が他にいないか等を調査。
特に拘るのは最初かどうかと言う点。
この一連の選考作業に巨額の費用と手間を掛けて徹底的に調査していることが、ノーベル賞が権威を維持している理由の一つとされる。
受賞者は1部門3人までと人数が絞られていることも「希少価値」を高めている。
しかし、受賞回数に制限はなく、同じ受賞者に何度も受賞することも出来る。
(過去には4人が2度ノーベル賞を受賞している)

4.受賞者の発表(10月)
最終選考は発表日当日に行われることが慣例になっており、受賞者をマスコミが事前に知ることは出来ない。
今年の発表は、医学生理学賞は10月2日、物理学賞は10月3日、化学賞は10月4日となっている。

5.授賞式(12月)
ノーベルの命日である12月10日に、スエーデンのストックホルムで行われる。

因みに
1.ノーベル賞の賞金額
過去何度も変動してきたが、
2001年には設立当初の賞金レベルを回復し、2001年からは1000万スエーデン・クローネだったが、2012年(山中教授の受賞年)から800万スエーデン・クローネとなった。
9月25日現在1クローネ約14円として800万スエーデン・クローネは1億1千200万円)

2.複数受賞者の賞金の分配について
2人の場合は折半、3人の場合は3等分か、貢献度の大きい人が半分、残りを2等分(4分の一)とされている。

3.ノーベル賞受賞者数の国別ランク
1901年以降の統計で見るとアメリカは別格として、日本はイギリス、ドイツ、フランスに大分離されているが、こと2000年以降の数字では米国(52)、日本(17)、英国(15),ドイツ(7)フランス(5),ロシア(5)、イスラエル(5)と日本が2位と大健闘している。

ノーベル賞に関して詳しくは下記サイトをご参照下さい。
1.全図解ニュース解説 
2.ウィキペディア

 

尚、ノーベル賞の賞金額を上回る国際賞が新設されているのをご存知ですか。
近年ノーベル賞をモデルにしたと思われる国際的な学術賞が多数創設されている。
・米国で2012年、基礎物理学等3部門を対象に始まった「ブレークスルー賞
・13年から始まった英国の「クイーンエリザベス工学賞
・台灣がアジアのノーベル賞を目指して14年に設立した「唐奨
等がいずれも賞金額が800万クローネを上回り、特にブレークスルー賞は3000万ドルと破格だ
同賞の創設メンバーにはグーグル、フェイスブックの創業者らが顔を並べる。

しかし日本にもノーベル賞に匹敵する賞がある。
それは日本国際賞。(関連ブログご参照。)

今後ノーベル賞と共に上記の賞の行方にも注目して行きたい。