線虫を使う画期的早期がん診断方法

我が国ではがんは1981年から死因第1位で、2人に1人ががんを経験し、3人に1人が
がんにより死亡すると言われている。

事実私の知人、友人にもガンでなくなった人はたくさんいる。
とりわけ悲しかったのは、親友が膵臓がんでなくなった時だ。
3ヶ月前までは全く気づかなかったのに。
膵臓がんは初期発見が困難ながんだそうで、発見した時はもはや手遅れと言われている最も恐ろしい病だ。

一般的にがんによる死亡を防ぐ最も有効な手段は、早期発見・早期治療だが、我が国のがん検診受診率は約30%だそうだ。
この受診率は他の先進国と比較しても低く、我が国でがん死亡率が高い大きな要因となっている。低受診率の理由としては「面倒である(医療機関に行く必要がある)」「費用が高い」「痛みを伴う」「診断まで時間がかかる」「がん種ごとに異なる検査を受ける必要がある」などが挙げられている。

現在これらの問題を全てクリアするガン検査方法の開発が進められている。

以前NHKのEテレ「サイエンスZERO」で紹介されていたのを見たが、その時は簡便な方法だと言うことは分かったが定性的過ぎて十分その凄さを理解していなかったようだ。
しかし先日のテレビで最近の状況が詳しく解説されていてこれは凄い方法だと理解した。
なぜなら簡便なこの方法はまさに上に上げた検診を妨げる要素を全てクリアする画期的な方法だったからだ。

このがん検診方法は、九州大学大学院生物科学部門の廣津崇亮助教らが線虫という生物を用いて開発した。

この方法の原理は、線虫の嗅覚を用いるもので、がん患者の尿には近寄っていき、正常な人の尿からは遠ざかるという性質を利用するシンプルな方法だ。

線虫という生物は地球上の1億種位いるそうだが、がん検診に使うのはc-エレガンスという種類で、尿は10倍稀釈で上記性質を示すそうだ。線虫を利用したこの画期的ながん診断テストは(n-nose)と呼ばれている。

この方法のメリットは
1.患者の苦痛がない:検体が尿。
2,簡便:尿を取って検査機関に送るだけ。
3.診断結果がすぐに分かる:1時間半
4.費用が安い:線虫が安く培養出来、高価な機器も使わない。
5.早期発見が出来る。
6.信頼度が高い:242検体による発見精度は95%。
などであり、
この方法の早期実用化の為、廣津助教はバイオベンチャーを起こすとともに、装置の開発を日立と進めている。
この方法(n-nose)により、ガン受診率の飛躍的増加とそれに伴う早期がんの発見率の上昇、そしてがん患者の死亡数の減少、ひいては国の医療費の大幅削減につながることが期待されている。
まさに世界が待望む技術だ。
廣津助教によれば、実用化は2019年だそうだ。

そして将来は遺伝子組み換えにより特定のガンに反応する線虫を作ることにより
がんの種類の特定も出来る様になるとのこと。
そうなればガンは“治る病気”であると認識されるようになり、世界人類全体の福音となると期待される。

本記事は下記サイトを参考にした。
参考サイト1
参考サイト2
参考サイト3