次世代航空機エンジンに日本の新素材

ボーイングの次世代大型ジェット機には初めてエンジンに日本の新素材が使われる予定だ。

航空機の燃費をよくするために各種の軽量化が図られている。

これまで最大の軽量化は胴体や翼の部分を従来のアルミ合金から炭素繊維に切り替えることで行われてきた。その炭素繊維の供給会社は主に東レだった。

炭素繊維(PAN系)の生産は日本企業3社(東レ、三菱ケミカル(合併前は三菱レイヨン)、東邦テナックス)で世界のほぼ6割から5割を占めている。(昔は7割以上だったが次第に減減少している)

今後も燃費向上のため機体全体への炭素繊維の使用は増えて行くものと見られている。

しかしながら更に燃費を良くするために現在注目されているのがエンジンだ。

米国ジェネラル・エレクトリック(GE)は次期大型機(777X)のジェットエンジンのタービンブレード等を従来のニッケル合金から新素材の炭化ケイ素(SiÇ)繊維素材に切り替える。

この繊維はCMCと呼ばれるセラミックスとの複合材に加工されたうえでエンジン部品に形成される。

この炭化ケイ素(SiC)繊維はニッケル合金に比べ重さが3分の1、耐熱温度が摂氏1800~2000度あるため、現在行っているエンジンの冷却をする必要がなくなりエンジン重量の軽減と高温燃焼による推力が向上し燃費が改善する。

炭化ケイ素(SiC)繊維を生産出来るのは現在世界で2社しか無い。

それが宇部興産日本カーボンで、両社が素材をGEに供給しGEが複合材に加工する。

宇部興産は25年までに宇部工場内に工場を新設し年間200トン体制を目指す。

GEも19年に米国内で100トン以上の能力の工場を立ち上げ日本カーボンと共同で増産する予定だ。

ボーイングの次期大型機777Xの後部胴体、中央翼、中部と前部胴体の製造は

夫々三菱重工、富士重工、川崎重工が東レから炭素繊維の供給を受け、製造する。(更に後方の飛行制御装置はナブテスコ)

米国は勿論世界で生産される航空機への日本企業の役割はこれからますます大きくなりそうだ。

 

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