全個体電池の新製法出現。全個体リチウムイオン電池の実用化が早まるか?

現行のリチウムイオン電池の性能を上回る固体電解質を用いた全個体リチウムイオン電池の開発が世界中で競われている。

我が国については、大枠以下の状況であろう。

1.車載用全個体リチウムイオン電池(東工大/トヨタグループ)
東工大の菅野教授が1911年に開発したLPGS系から進化した固体電解質を用いたリチウムイオン電池がEV用途としてトヨタ自動車を先頭に22年の実用化を目指して開発されている。(関連ブログ有り)

2.超小型~小型の全個体電池
既にTDKをはじめとした電装部品メーカーで商品化された(セラチャージ等)。

3.全樹脂リチウムイオン電池
元日産でEVの電池開発に携わった堀江氏が慶応大に移り、ゲルを用いた全樹脂リチウムイイオン電池を開発し、高吸水性ポリマ―メーカーである三洋化成と日本触媒とで共同開発が進んでいる。(前回ブログ)

このような状況の中
ベルギーの研究機関imecが開発しパナソニックも参加する新しい製造法で、安価で大容量の全個体電池が出現し、大型電池の実用化の前倒しが期待されている。

以下日経エレクトロニクス2019.8月号、(日経産業新聞9.27)より抜粋し概要をご紹介する。
その特徴は固体ナノコンポジット電解質(SCE)を開発したことである。

先ず電極の構成として
・正極の形成。これは既存の液体電解質のLiBと同じ。
今は正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO)(LFPと表記)を使用。
・負極には金属リチウムLiを使用。
これらは今までと同じだが

imecが開発した電池の最大の特徴はその個体電解質でありその製造プロセスが注目されるものである。
即ち
・液状の電解質を電極に染み込ませた後に乾燥して固化する。
・この固体電解質の主成分はSiO2でありふれた酸化物材料であるが、比表面積が   1400m2/g(活性炭レベル)と極めて高い多孔質になっておりその内壁にイオン液体のLi塩が結合している。
この製造法は、ゲル作成の古い技術と新しい素材であるイオン液体を組み合わせたところに特徴がある。

電池製造の流れ(考サイト1より)

TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)イオン液体によるゲル電解質の形成

・まず、TEOSと呼ぶSi系材料をイオン液体中に分散させた後、水を加えて(加水分解して)ゲル化する。
水を除去後、さらに二酸化炭素(CO2)を用いた超臨界乾燥を施す。
すると「エアロゲル」と呼ばれる極めて軽いスポンジ状の固体材料になる。
この方法は80年前からある技術だが、イオン液体を混ぜる点が新規なところ。
これが、上述の電解質が液体から固体になるプロセス。
この構造により、電解質は固体化後も弾力があり、充放電に伴う電極中の活物質の膨張収縮を吸収できるとする。

この電池の特徴は
1.製造
・コバルト等の高価な資源を使わず、従来のLiイオン電池をつくる設備を流用出来るため
低コストで製造が出来る。
大型(A4サイズ)も製造可能。

2.性能
・体積エネルギー密度425ワット時/リットル(以下Wh/Lとする)、この値は現在のLiイオン電池とほぼ同じだが、2024年には1000Wh/Lまで高められるとする。

その根拠としては
・現在用いている正極材料は電位窓約3.5Vのリン酸鉄リチウム(LFP)だが、同5.5Vの正極活物質を使えば約1000Wh/Lも可能となる。(現在のLiBは800wh/Lが限度とされている)
・今回の電解質が高温に強い(320℃まで利用可能)ため、現在の車載用LiBでは必須の冷却システムが不要となり現状でも現在の約2倍の体積エネルギー密度となる。
・充電時間も現在は2時間程掛るが将来大幅に短縮(20分で充電)出来るとしている。
・imecが用いるこの固体電解質のイオン電導率は現在約10mS/cmで東工大/トヨタ自動が開発した電解質と同等の性能とされる。同社はさらにこれを10倍の100mS/cmに引き上げる事を目標としている。 

現在の課題は急速充電の実現。
一般に全個体電池は急速充電に優れた物が多いが、このimecの電池の急速充電特性は液体電解質のLiBと同等かやや低い。速くすると急速に容量が低下する。
この原因として2つが推測されている。
その1.固体電解質がイオン液体とのハイブリッドであること。
その2.Li負極を用いるためデンドライト(樹状突起)ができこれが充放電の律速となっていること。
しかしimecはこの対策として、電極の構造をジャングルジムの様な規則的な空間を備えた
ナノメッシュ電極とすることで制御出来るとしている。 

今後現行リチウムイオン電池の頑張り(さらなる性能向上)と新固体電池の商品化の進展に注目して行きたい。

<参考サイト>
1.imecがA4型5Ahの全固体電池、高伝導率酸化物系電解質で

2.全固体電池の実用化、目前に TDKと日立造船、今年から本格量産 「安全で大容量化」容易に2019.3.25 

3.全固体電池の菅野教授が語る、EVはこう進化する(東工大菅野教授)
次世代電池の“本命”はリチウムイオン電池の限界を超えるか(2018年1月17日)

4.全固体リチウムイオン電池の研究開発プロジェクトの第2期が始動
(2018年6月15日)国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

5.イオン液体【ウィキペディア】

6.電気伝導度の基礎

 

 

 

新型リチウムイオン電池、全樹脂電池について、全個体電池と競合するか?

リチウムイオン電池の最大の欠点である発火の可能性がなく、更に小型高性能電池として、全個体電池が注目を集めているのは周知の通りですね。

この個体電池は、現行のリチウムイオン電池の有機液体電解質を無機個体電解質に切り替えることで不燃とし、更に正負の電極の各種改良とともに、量産化対応がなされている。

本命の自動車積載用の大型の全個体リチウムイオン電池は、トヨタ自動車が22年に実用化するとされ、他の自動車会社もその後追随すると予想されている。

他方、小型~超小型の全個体リチウムイオン電池は、IoT用などのセンサー用途として、TDKや自動車部品メーカー等数社が既に製品化し量産を開始している。(セラチャージ

こういった状況のなか最近、全樹脂電池と呼ばれる2次電池が今非常に注目されている。取り上げられることの多い全個体電池の陰に隠れて知らない人も多いかもしれないが、後に示す様にかなり前から研究がされている。

以下全樹脂電池の概要をご紹介する。(内容は専門誌、各種サイト情報を参考にして再構成した。)

1.全樹脂電池とは
「電極を含め全てを樹脂で形成したリチウムイオン2次電池」とされている。
全個体電池が電解質を有機液体から固体電解質を使用したのに対し、全樹脂電池は正極や負極も樹脂製とすることで、製造が容易で、低コストに生産出来、安全性が高く、高エネルギー密度化が可能、更にはリサイクルが容易などの優位性があるとされる。

2.開発の経緯・状況
日産自動車でEVリーフの電池開発を行っていた堀江英明氏が1990年頃考案し、慶応大学へ移籍した後、三洋化成工業(以下三洋化成)と共同開発を始めた(2012)。
その後同氏は低コストの大量生産技術を確立するためのスタートアップAPBを設立した(2018.10)。
これを三洋化成が出資子会社化した(2019.2)。
また負極材料(ハードカーボン)メーカー(JFEケミカル)も出資した。

3.全樹脂電池の基本構造について
1)電極の基本構成

(日経XTECHより)

全樹脂電池のこれまでの電池と違う最大の特徴は電極の構成であり、
正極または負極の微小な活物質の粒子の表面を電解液を吸わせたゲル状の高分子膜で覆い、それらに粒子状の導電助剤や導電性繊維と混ぜて正極(負極)の合材(ペースト)とする。
そしてそれらをセパレーターで挟んで重ね合わせ、更にそれらの両面に導電性樹脂フィルムの集電体を配した構成である。

2)全樹脂電地の製造方式
ロール状のフィルム(導電性で片方の電極の集電体となるもの)シートを繰り出しながら、順に①枠となるシール材、②正極合材の塗布、③セパレーターの配置、④負極合材の塗布、⑤集電体フィルムを配置するの工程で、上記全樹脂電池の基本であるセルが出来上がる。

工程は基本的にロール・ツー・ロールの方式なので生産性が高く、また従来の工程では必要だった乾燥工程がゲルを使う方式なので不要。そのため処理速度を2倍から4倍にも高めることも可能という。
また合材を厚く塗っても機能するという。(単位面積当りの容量アップになる)

3)構成素材
①負極活物質
これ迄負極にはC(ブラファイト、黒鉛)が使われていたが、最近は容量アップのため黒鉛にSi(シリコン)またはSiO2を加えたものが使用される様になった。しかし体積変化の問題があり未解決。
一方、本全樹脂電池の負極材料には黒鉛(ソフトカーボン)ではなく、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)を採用している。ハードカーボンはLi+をより高速に多量取り入れることができる。(後記サイト参照)
負極の容量アップは三洋化成が取り組んでおり、ハードカーボンはJFEケミカルより調達している。(同社もAPBに出資)

②正極活物質
正極材料の詳細は公表されていないが、従来リチウムイオン電池に使われてきた物質と同じものであろう。
三洋化成は正極材の量産と新しい用途の開拓を勧めており、更に正極材の高容量化に他社開発の新技術を取り込む。(Niを多く含む正極材など。)

③電解質
高分子ゲルに含ませて使用する。詳細は不明だが今後は日本触媒(出資決定)が提供することになるである。

④その他
集電体の導電性フィルムの明細は不明。


セル(右)とパック(左)A4サイズ厚さ2mm、平均電圧3.7V

4.使用方法

1セルをパックにした製品よりも複数のセルを組み合わせて大容量電池として使う場合にその特徴が発揮される。
すなわち正と負の集電体面を合わせて重ね合わせるだけでよく、更に通常の電池の組み合わせでは必要な配線や空間スペースが不要である。

5.当面の価格目標
1ワット時当たり15円。(定置用電池やEV用2次電池の長期的な目標は10円/WH)

6.用途
今の所、ビルや発電所などの大型静置型電源等の既存蓄電池の代替が最も有望と考えられている。
新規用途として、ディスプレーの背面、ロボットの筐体、壁面への埋込なども提案されている。
更にペーストを使い3Dプリンターで形成が可能なため、各種形状の電池が製作可能であり、安全性が保証されていれば、生活関連や医療など多種多用な場所での使用が考えられる。
EV用途はハードルが高いようである。

7.今後の予定
開発者の慶大の堀江英明教授(APB社長)と三洋化成工業は2020年に実用化し、2021年秋にも「全樹脂リチウム電池」の生産を開始するとされる。

最後に
これまで発表された部分についてはいいこと尽くめであるが、計画通り2021年の生産移行・量産化ができるのであろうか?

車載用や大型蓄電池では充放電時間や耐久性(これが一番重要で困難)のデータが不明なので難しそうだが、一般用として低価格、マルチ形状対応可能等の優位性をいかした展開がなされるのではないかと思われる。

何れにせよ、今後公開される各種データと状況の推移に留意していきたい。

<参考サイト>
*1:APB社について
*2:カーボンについて
・JFEケミカル、APB株式会社」へ出資
ハードカーボンとは
・今後はこれ?球晶黒鉛 負極材
*3:三洋化成の展望
 10年後1000億円規模に 3Dプリンターで複雑な形状も
2030年に“1兆円企業”に、三洋化成と日本触媒の統合効果

 

 

 

 

NIMS一般公開参加

先日(4月21日)つくば市にあるNIMS(国立法人材料・物性研究所)の年に1日一般に公開されるイベントに行ってきたのでその様子を紹介します。
ただ、全体は3地区に別れていて、しかもそれぞれが膨大な設備、展示内容なので見たのも一部、ここで紹介するのもまたその中の一部です。現場撮影は禁止だったり、説明を聴くだけで写真を撮る状況ではなかったので、「ブログ映え」する写真が少ないですが・・・。

つくば駅前のバス乗り場でNIMS行き循環バスに乗る

NIMS到着

千現地区の建屋配置図

入る前に受付を済ませる

室内に千現地区と他地区の建屋模型があった。

入って直ぐの展示ブース(子供向けが数件あった)

展示パネル

パネル2

棟内各階の研究室

スピントロニクスを用いた新しい熱利用技術

DYフリーのNd磁石の開発

熱↔電気変換
(パネル省略)

棟を移る時に、遅咲きの木蓮に癒やされる

M会場の入り口の様子

走査型トンネル顕微鏡で観察された物質・材料の表面

ノーベル賞の光を見よう

超電導パネル
(「電子がクーパー対を形成することで起きる」とは知らなかった)

4時過ぎ、車で来た人達の帰宅(並木地区)

天気が良くて大変気持ちのいい一日でした。

NIMSについて、及びイベントの詳細は、最後にリストアップしたサイトを参照して下さい。

とにかく日本を代表する研究施設ですので大変立派なものです。
そして日頃研究に没頭され忙しい研究者の方々が、この日のために準備をされ、丸一日一般人のために時間を使って対応していただけるわけですから、大変ありがたいことです。

この様な機会を利用しないのは大変もったいないことです。

まだ行かれたことのない人は是非計画を立てて出かけられては如何。
来年も4月の日曜日に有るはずです。
「百聞は一見に如かず」
子供さんと一緒でもいいし、一人でも。

成り行きで回るのもそれはそれで楽しいと思いますが、
出来たら事前にNIMSのホームページで見たいところを調べておいて、
計画的に回れば1日有効に使えると思います。

それと専門が対応されるわけですから、展示分野に関してはどんなことでも答えてくれると思います。
是非聴きたいこと、質問事項を考えて行けばより有効な見学となるでしょう。

NIMSについて
NIMS: 国立研究開発法人物質・材料研究機構
(National Institute for Materials Science)
2001年4月に旧科学技術庁所管の2つの国立研究所である金属材料技術研究所と無機材質研究所が合併して発足した。
2016年10月、理化学研究所産業技術総合研究所とともに特定国立研究開発法人に移行した。

一般開放関連ページ
NIMSの一般公開とは

NIMS一般公開2019

2019年のプログラム一覧

2019年度NIMS Open Facilityユーザースクールのご案内

 

NIMS実験動画集
超電導飴

これぞ、サビの正体!

亀裂を自分で修復するセラミックス

竹のようにしなやかな鉄

交換不要!複数回の巨大地震に耐える制震ダンパー

究極の充電式電池! リチウム空気電池開発に迫る

全固体電池 次世代電池の有力候補(2017年5月12日配信)

蓄電容量はLi電池の15倍、NIMSのリチウム空気電池

 

 

 

 

 

 

 

開発進む次世代電池

現在リチウムイオン電池が全盛ではあるが、いくつかの問題や課題(火災の危険性、充電時間が短い、容量が小さい、資源問題等)があり、これらを乗り越える次世代電池の開発競争が激しくなっている。
以下その概要は以下の通り。

電池の種類 特徴 用 途 現在の課題 実用化の目標
全個体電池(硫化物型) 急速充電が可能  

電気自動車(EV)

空気に触れるとガスが生じる 2020年代前半
(トヨタは過去22年としたが)
全個体電池(酸化物型) 安全で扱い易い イオンの動きが遅い(10分の1) 2030年代
(小型はTDK等で先行試生産中)
ナトリウムイオン電池 資源が豊富
安価で高い出力
定置型大型蓄電池

(風力発電用)
(太陽光発電用)

電池が重い
(EVには不向き)
数年後
リチウム硫黄電池 安価で高容量 耐久性
(硫黄が溶け出し劣化し易い)
2030年以降
リチウム空気電池 小型で軽量 ドローン
ウエアラブル端末
水分に弱い
寿命が短い
2025年

1.全個体電池
2011年東工大菅野教授が既存の液体電解質の性能を上回る固体電解質を発見してからその後急速に研究が進展した。ただし硫化物系のため、空気に触れるとガスが生じる等の問題がある。これを解決できる酸化物系の開発が進んでいるがイオンの動きが遅い等の問題があり実用化は硫化物系よりだいぶ先になるとみられている。
電気自動車(EV)用途に、トヨタやパナソニックが開発中。
しかし非自動用としてセンサーやウエアラブル端末には、酸化物系の小型製品が既にTDKやFDKで試生産されている。

全個体電池に関しては別途また取り上げたい。

2.ナトリウムイオン電池
ナトリウムイオン電池の最大の魅力は安さだ。資源は普遍的に存在し枯渇の心配はない。また電極はリチウムがコバルト等の高価な金属を使用するのに対し、安い鉄などが使える。課題は電池が重くEVに乗せると後続距離を伸ばし難いこと。
したがって移動用ではなく自然エネルギーで作った電気を蓄える定置型の大型電池が有力。実用化も数年後と見られている。

3.リチウム硫黄電池
安価な硫黄を使うリチウム硫黄電池も自動車用は不向きで、ナトリウムイオン電池と同様定置型が適している。コストは4分の1になるとされるが、電極の硫黄が溶け出しやすいなど耐久性が問題。

4.リチウム空気電池
一時電池としては既に販売されているが、二次電池として現在開発中。
小型電池として有望。空気中の酸素で充放電する。ドローンやウエアラブル端末等の用途が期待されている。18年4月ソフトバンクとNIMS(物材機構)が25年の実用化を目指し共同研究を始めた。

最後に
現在全盛の液体電解質を用いたリチウムイオン電池の後継として全個体電池を始めとして
各種の電池が研究・開発されているが、現行電池の改良も進んでいるため、中型以上の電池については、完全に置き換わり得る電池が出てくるかまだ予断を許さない。
現在全個体電池が最も注目されているが、IOT時代を見据え、既に大量の超小型品が生産されている現状を見ると、まず超小型全個体電池が最も早く生産拡大・普及していくのでは無いだろうか。

 

次世代電池サイト
その1.(NEDO)
その2.(JAIMA)
その3.(JST)
その4.(日経XTEX)

 

 

 

水と窒素からアンモニアを造る

アンモニアに関してはこれまで本ブログで何回か取り上げたが、合成法に関してもハーバーボッシュ法(高温・高圧下の反応で莫大なエネルギーと巨大装置が必要)に代わる方法として、東工大の細野秀雄教授らの「エレクトライド触媒」を用いる方法について取り上げた。
東工大のこの方法は、現在味の素などと協力して2021年をめどに実用化を目指し研究されている。ここから

一方今回新たに更に画期的と思われる方法が開発されたのでご紹介したい。

常温・常圧で合成するのは上記方法と同じだが、水素原料がなんと水なのである。
触媒と還元剤の存在下、水を窒素と混ぜるだけでアンモニアができるのだそうだ

要旨
東大の西林仁昭教授らは、常温・常圧の条件下でアンモニアを合成する手法の研究に取り組んでいるが、今回新たな手法を開発した。還元剤としてこれまでの高価な薬剤から有機化学でよく使われるヨウ化サマリウム(SmIを使い触媒としてモリブデン化合物を用い
従来の200倍の大幅に効率の高い方法を開発した。

                      

 

今後は一度使用の還元剤のヨウ化サマリウムの再利用方法を開発すると共に、
日産化学と協力して大型プラントでの応用を目指す

 

最後に
アンモニアは肥料や火薬や医薬品の原料になるだけでなく、自身が燃料となることや、水素の供給源として運搬や貯蔵に便利なことから、水素社会の一翼を担う裏方として、またはアンモニアが主役となるアンモニア社会となる可能性を秘めているといわれている。

 

<参考サイト>
◎モリブデン触媒に関して
・世界最高の活性を示すアンモニア合成触媒の開発
東京大学 西林研究室

◎ヨウ化サマリウム(SmI2)について
強い一電子還元剤であり、例えば水を速やかに還元して水素に変える。
ウィキペディア

 

 

 

 

 

 

 

 

将来は再生エネ水素によるアンモニア発電が主流になるか?

アンモニア(NH3)が非常に注目されています。

アンモニアは現在ハーバーボッシュ法によって大量に生産されその大部分は肥料として利用されていますが、その他食品、医薬品などの原料として重要な位置づけにあります。

しかし今アンモニアの次の特長が大いに注目されています。
1.水素のキャリヤー(運搬体)として優れている
2.燃やすことができ、燃やしても炭酸ガスを出さない
3.火力発電に使用できる

1の水素のキャリヤーとして注目されているのは、
①アンモニア(NH3)がその分子の中に窒素の3倍の水素原子を持つ
②アンモニアが液化しやすく、取り扱いやすい
③アンモニアが肥料製造用等の通常のインフラでの取扱(サプライチェーン)が確立されている等のためです。

純粋な水素のままだと、高圧ガスとして丈夫なガスタンクに収納するか、液化の為多大なエネルギーをかけて零下153度にしなくてはならずその運搬にも特別な容器が必要。

アンモニア以外のキャリアーを使う有望な方法については、
現在千代田加工建設が主体となって行っている、スペラ水素(トルエンに水素を付加しヘメチルシクロヘキサンMCHとする)があるがこれについては以前のブログご参照。

アンモニアの原料となる水素の製造方法はいろいろあるが、化石燃料からだと炭酸ガスが発生する

炭酸ガスを出さない製造方法としては水の電気分解があり、その電気として、太陽光、風力などの再生可能エネルギーや余剰エネルギーが期待されている。

アンモニア発電の現状を概括
非常にわかり易く書かれた添付サイトの記事を読めば一目瞭然ではあるが敢えてまとめると、
1.日揮産総研は昨年10月、再生可能エネルギーによる水素を用いたアンモニア合成とそのアンモニアによる発電世界で初めて成功したと発表した。

2.全体の流れは、
①再生可能エネルギー(太陽光)による電気で水を分解し水素を生成
②この水素と窒素を新開発の触媒を使って反応させアンモニアを合成
③そのアンモニアだけを燃料としてガスタービンで発電

3.検証結果
①開発した新触媒が従来よりも低温・低圧下(50~80気圧)でもアンモニアを製造できること。
②再生可能エネルギーの出力(水素供給量)の変動に対しても機能が劣化せず、アンモニア製造量の変動に対応できることが検証できたこと。
(当初の実証試験では、高圧水素ボンベの水素を使用、その後敷地内の太陽光発電による水素使用)
新触媒はルテニウム酸化物で、従来の炭素系担体を用いたルテニウム触媒に比べて安定性に優れている
太陽光で作った水素と新触媒で合成したアンモニアを燃料としたガスタービンで47kwを発電した。

今後
日揮は2020年代半ばを目処にアンモニア発電技術の実用化を目指す。

最後に
地球温暖化の最大の原因とされる二酸化炭素の削減が叫ばれているが、その対策として
1.全く発生しない新規なプロセスを開発する
(上述のアンモニア火力発電、アンモニア燃料電池、電解水素による各種物品製造等)
2.発生量を減らすプロセスに改善・変更する
3.発生した炭酸ガスを原料とする工業の創生
4.発生した炭酸ガスの地中封入CSS
私は3が最も効果があると思っている。これについては後日現状を紹介したい。

<参照サイト>
アンモニア合成試験装置完成(日揮)

低温・低圧でアンモニアを合成する触媒の開発(産総研)

再生エネルギー由来の水素を用いたアンモニア合成と発電に世界で初めて成功(日揮)

 

 

 

 

2018年ノーベル賞まとめ

2018年のノーベル賞まとめ
NHKノーベル賞の解説サイト「まるわかりノーベル賞2018」を出しています。
まずはここを覗いてみてください。(低学年用、文系用?)
医学・生理学賞
物理学賞
化学賞

このサイトで不十分な人は以下へどうぞ。

 .医学生理学賞
◯本庶佑・京都大特別教授(76)
本庶博士は免疫細胞の働きを抑えるブレーキとなるPD-1を発見。
このブレーキを取り除くことでがん細胞を攻撃する新しいタイプの「がん免疫療法」を実現し、がん治療薬「オプジーボの開発」に道を開いた。

◯ジェームズ・アリソン(James P. Allison)博士(70)
テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(米国)
同じころ、免疫のブレーキにかかわる別の分子「CTLA―4」の研究を進め、
この作用を利用したがん治療薬「ヤーボイ」の開発に道を開いた。

これまでのがん治療法には①手術による切除、②放射線照射、③抗がん剤による化学療法の3つの方法があったが、これまでとは全くアプローチの異なる④免疫療法という、第4の方法が加わった。
これが両氏の発見によるもので、これにより、がん治療の選択肢が広がり、既存の治療法で効果がなかった患者を救う道も開けた。
参照サイト:朝日新聞

2.物理学賞
物理学賞は、光を使って物体を操作する技術を開発し、ウイルスのような小さな物をつまむ「光ピンセット」やレーザーによる視力開発手術につながった米国、フランス、カナダの3氏に。

授賞理由は「レーザー物理学」の分野で、これまでになかった手法を1980年代に切り開き、産業や医学分野への応用を広げたことが評価された。

アーサー・アシュキン博士(96歳)(米国)(史上最高齢の受賞者)
アシュキン氏はレーザーを微小な物に当てると、物を捕らえる力が発生することに気付き、

1987年この仕組みを利用して「光ピンセット」を開発し、生きた細菌を傷つけることなくつかむことに成功した。「光ピンセット」は、いまでは生命科学の研究に広く使われている。

ジェラール・ムル博士(74)(フランス)、ドナ・ストリックランド博士(59)(カナダ)
両氏は1980年代、パルスの幅をいったん広げるなどしてから強度を高める「チャープ・パルス増幅法(CPA)」と呼ばれる独創的な増幅法を開発。それまでできなかった超高強度の超短パルスレーザーをつくることに成功した。この成果によってレーザーを使った目の近視矯正手術(レーシック手術)などが可能になった。


ストリックランド氏は、物理学賞では1903年のマリー・キュリー(放射線の研究)、63年のマリア・ゲッパートメイヤー(原子核の殻構造の発見)以来、55年ぶり3人目の女性の受賞者
参照サイト:朝日新聞 

3.化学賞

化学賞は、生物の進化の仕組みをまねてタンパク質を作るなどして医薬品やバイオ燃料の製造技術を開発した米英の3氏に。
◯フランシス・アーノルド(62)氏、(米国)
自然界で起きている進化を、加速度的に再現する手法を開発。たんぱく質の一種である酵素の機能を、目的に応じて高めることに成功した。作られた酵素は、バイオ燃料や医薬品などの生産に活用されている。
◯ジョージ・スミス(77)氏(米国)
大腸菌などに感染するウイルスの仲間「ファージ」に遺伝子を組み込んで、それぞれ異なるたんぱく質を作る「ファージディスプレー」という手法を開発。自然淘汰(とうた)のように、その中から狙った特徴を持つたんぱく質だけを絞り込めるようにした
◯グレゴリー・ウィンター(67)氏(英国)
生物の進化をまねて、役に立つ酵素や抗体といったたんぱく質を効率よく作る道を開いた。
同氏はこの手法で治療用の抗体を作り、リウマチなど自己免疫によって生じる病気や、がんの画期的な薬につなげた。
参照サイト:朝日新聞

今年の注目は、今回受賞した技術がどこまで応用され、また発展するか、
そして2019年、どんな科学的な新発見と新技術の開発が行われるか期待したい。

今回の事前予想では医学・生理学賞が当たりましたが、またこの中から2019年のノーベル賞受賞者が出るかもしれません。いや是非出てほしいものです。

 

エコプロ2018のセルロースナノファイバー(CNF)関連展示

環境に配慮した製品やサービスを集めた国内最大級の展示会「エコプロ」。
今年も「エコプロ2018」と題して東京ビックサイトで12月6から8日まで開催されました。

この展示会は環境問題を取り上げているので小学生の課外授業となっているようで、小学生が沢山来ていました。この会場に平日参加できる小学生は恵まれていますね。

私は毎年参加していますが、今年は昨年より面白いところが少なかったような気がしました。
ガイド本の内容も例年にあった新リサイクル技術関連の記事がなく個人的には残念でした。

その中で、今年も展示会の目玉の一つであるCNF(セルロースナノファイバー)の展示について簡単に写真でご紹介します。(CNFに関した詳細は最後の参考サイトをご参照ください)(ご参考:昨年のエコプロ2017のCNF関連

CNFは資源小国の日本で資源が豊富にある貴重な新素材のためか、文科省、経済産業省、環境省の3つの省が取り組んでおり、経産省の元でNEDOが中心となり京都大学を始めとした大学等や企業が進めており、新素材としての期待の大きさが伺えました。

昨年同様、化粧品や文具などへの応用はそのまま進展しているようですが、今年は更にCNFをミッドソールに用いたランニングシューズが目に付きました。

しかしなんと行っても最大のテーマはCNV(セルロースナノビイークル)つまりCNFを自動車部品の一部として採用し、車の軽量化を図ることでしょう。

会場にはその様子がよくわかるように実物大の車の骨格模型が展示され、どの部品がCNFで作られ使われているかがわかる様になっていました。

その横では京都大学の矢野教授らによりスライドを使ったわかりやすい説明がなされていました。

以下スマホで撮った写真を列挙します。(ピントが合ってないところはご容赦(汗))

<参考サイト>
各省や大学、企業の関連サイトを以下リストします。

◯経産省
部素材産業-CNF(セルロースナノファイバー)実用化への取組み

セルロースナノファイバー(CNF)等の次世代素材活用推進事業

◯環境省
世界初!NCVプロジェクトが始動 ~ナノ・セルロース・ビークル・プロジェクト~
 環境省における バイオ関連の取組について

◯文部科学省
ナノテクノロジープラットフォーム事業
酵素処理を用い,食用にもなる素材を杉や竹の生育地で製造可能~

◯王子製紙
世界初!三形態のCNF

◯スギノマシン
ウォータージェット法で作製したバイオマスナノファイバー

 

世界初、CNF複合材料が最新ランニングシューズに採用
京都プロセスを使ったCNF応用製品が世界規模で発売開始

CNFに関しては、原料、製造方法、応用(民生用途、工業用途)など、今後共関連ニュースが継続的に出てくるのは必然ですので、特に注目される記事が出たときには
都度本ブログでご紹介すル予定です。

 

 

水素社会での水素の輸送と貯蔵の主力はMCH法になるか

水素は燃えても水しか出さない究極のクリーンエネルギーのため
今後水素エネルギーが主体のいわゆる水素社会となることが予想されているが、
そのためには大量の水素の製造、輸送、貯蔵方法の確立が必要である。

現在水素の製造については
①天然ガスの副生、②化石燃料の分解、③水の電気分解
等各種検討されている。

③の水の電気分解については、近年特に再生エネルギー特に風力発電所の余った電力の利用が検討されている。
現状では、水を電気分解した後の粗い水素ガスは不純物(酸素等)を含んでいるため、やや複雑な精製工程が必要となっている。(千代田化工建設で2019年2月を目処に技術検証中

次に大量の水素ガスの運搬・貯蔵方法に付いては、
①水素を極低温(-253度)に冷却して液化し液体水素とする(川崎重工)、
②水素と窒素を触媒下反応させてアンモニアとする(日揮、IHI)、
③水素をトルエンと反応させてメチルシクロヘキサン(MCH)とする(千代田加工建設)
等の方法が検討されている。

以下本ブログの趣旨である③の方法に付いて記す。(①と②については後日取り上げる)

水素をトルエンと反応させMCHとする方法は体積が500分の1となり、かつ常温・常圧で液体であり、一般的な石油輸送設備で行えるため現在最も有力な方法と考えられている。

ただし、これを運んだ後使用時には逆反応で水素を取り出す必要があり、この反応には触媒が必要で、従来2、3日の耐久性しかなかったものを、千代田加工が8000時間の耐久性ある触媒を開発し、この方法が最有力候補として浮上している。

<方法の概要>は以下の通り。
まず全体のフローは以下の図の通り。(千代田加工のHPより)

1)まず各種方法で製造された水素は、トルエンと反応させMCHメチルシクロヘキサン)とする。
つまりトルエンの2重結合の部分に水素を付加し飽和炭化水素のMCHにする。
すると水素の体積は500分の1となりこの液体の取扱も非常に容易になる。
MCHは日本の消防法では、危険物第4類・第1石油類に該当する
(MCHはトルエンに比べ毒性が低く、有機溶剤中毒予防規則の対象外)

2)従って運搬・貯蔵は常圧・常温で既にある一般的な石油輸送設備・石油タンクで行える。
3)本法の技術の核がMCHから気体の水素の取り出しを行う触媒技術
千代田加工は触媒性能が従来2~3日だったのを2年程度継続しても利用効率が落ちない触媒の開発に成功し本法の実用化の目処が立つようになった。
そこで千代田加工はこのMCHを「スペラ水素」と名付けて事業化を目指している。

<参考サイト>
SPERA水素システムについて
動画スペラ水素

上述した様に水素の運搬・貯蔵は他社でも検討している。

1)川崎重工
水素を摂氏マイナス253度に冷やして液体水素とする方法を採用し、
専用の設備や運搬船を開発している。
◯「水素社会の未来を切り開く」:
-253度の液体水素を6000kmも運搬、水素社会を支える専用船が実現

2)日揮
水素と窒素を触媒反応させて作ったアンモニアを水素の運搬手段として活用する手法の実証実験を進めている。

<参考資料>
経済産業省 第9回水素・燃料電池戦略協議会向け資料

 

<付記>
なぜ水素を付加するキャリヤーがトルエンなのか。
トルエンのメチル基がないベンゼンやまたベンゼンが2個のナフタレンの方がよさそうだが?
確かにMCHの水素の貯蔵密度は理論上47.0kg-H2/m3であり、ベンゼン←→シクロヘキサン(56.0kg-H2/m3)やナフタレン←→デカリン(カヒドロナフタレン)(65.4kg-H2/m3)に比べやや劣るものの、
液体の状態を維持できる温度範囲が広い利点を持つため
ウィキベディア)より

今年2018年のノーベル賞は誰に

いよいよ今年もノーベル賞の日がやってきました。(以下当ブログは自然科学部門だけに言及します)
先ず10月1日には医学生理学賞、2日には物理学賞、3日は化学賞が発表されます。

受賞者の予想は各メディアからいろいろ出ていますので詳細は最後の参考サイトをご参照いただくとして、ここでは私見も交え選出してみます。

1.医学生理学賞
医学・生理学賞では、2012年に山中伸弥氏、そして15年に大村智氏、16年に大隅良典氏と2年連続日本人が受賞している実績があり、今年も受賞に期待が高まっています。
今年は、免疫と遺伝子関連が注目されているという。

免疫関連なら
◯体内の異物に抵抗する免疫ブレーキ役のたんぱく質「PD―1」を発見した京都大学の
 本庶佑(たすく)特別教授。
PD―1の働きを抑えれば、免疫細胞によるがん細胞への攻撃が再活性化することを
発見。これを応用した抗がん剤「オプジーボ」の開発につながった。
◯免疫が過剰に働くのを抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大学の坂口志文(しもん)
特任教授「世紀の発見」といわれている。(T細胞は免疫の司令塔と言われもの)

遺伝子関連なら
◯ゲノム(全遺伝情報)に関する独自のデータベース「KEGG」の整備を進めてきた京都大の金久実特任教授(70)(米の科学情報サービス会社の予想)
金久氏はバイオインフォマティクス(生物情報科学)研究の先駆者的な存在で、生体システムの機能の解明に役立ち、医療や創薬など幅広い応用が期待されている。

ゲノム編集技術
ゲノム編集技術の一種「クリスパー・キャス9」は使いやすさや効率の良さから医療の治療法の開発や農水産物の品種改良等、幅広い分野で近年劇的に普及している。
開発者は米国と仏の博士だが、受賞すればこの研究の元になった「クリスパー」という遺伝子配列を発見したのが日本の石野良純九大教授の為、共同受賞となる可能性もある。

製薬関連なら
◯コレステロールの血中濃度を下げる物質「スタチン」を発見し、世界中で推計4000万人
が使っているという動脈硬化の治療薬の開発へとつなげた東京農工大学の遠藤章特別栄誉教授も有力だ。

2.物理学賞
対象分野は「素粒子」「宇宙論」「物性」「量子力学」等で、昨年は「重力波の観測」で米の3氏が受賞しましたが、今年は日本人の受賞が大いに期待されています。
その根拠は?!、以下参考サイトからの
引用です。
「ノーベル物理学賞の受賞分野には法則性があるといわれていて、物性(物質の示す物理的性質)の分野と宇宙・素粒子分野が交互に受賞する傾向があります。近年を振り返ると、2013年は素粒子(ヒッグス粒子)、14年は物性(青色LED)、15年は素粒子(ニュートリノ振動)、16年は物性(トポロジカル相転移)、17年は宇宙(重力波)ときていることから、今年は物性分野からの選出が有力とされています。」

物性分野なら日本人候補者は多数います。

◯理化学研究所の十倉好紀創発物性研究センター長。
磁石の力で電気的な性質を変えたり、電圧を掛けて磁気的な性質を変える出来る「マルチフェロイック物質」を開発。この物質は電気と磁気の性質を併せ持つため、メモリーデバイスへの応用と電子機器の省エネに期待されている。
◯ネオジム磁石を発明した佐川眞人氏
 1982年に史上最強の磁石「ネオジム磁石」を発明。ネオジム磁石は30年以上「最強」の座に君臨し続けていて、「ネオジム磁石がなければ世界中の産業が成り立たたくなる」と言われる。
世界の産業や社会への貢献度は多大です。その開発秘話は日経産業新聞の仕事人秘録のコラムに同氏が掲載されました
その要約ブログここから

◯東工大の細野秀雄教授
IGZO半導体、ハーバーボッシュ法以来のアンモニア合成の新触媒、鉄系超電導物質、透明半導体等幾つもの新物質の発明をされています。毎年候補に上がりますが果たして。

◯香取秀俊 東京大学教授
アインシュタインの一般相対性理論の効果を、約15mの標高差で昨年観測した「光格子時計」の発明。160億年で1秒しかずれないそうだ。因みに現在のセシウム原子時計は3000万年に1秒とのこと。
私的には時計よりもアインシュタインの理論の検証が出来るというのが興味ありますね。

尚蛇足かもしれませんが、
いつも頭の片隅で思っていたことを、つい最近出版された本で見つけたのでここで紹介します。
それは青色LEDの開発ではノーベル賞を受賞したのに、赤色、青色LEDの両開発をも行い更に光通信に多大の貢献のあったとされる元東北大学教授の西澤潤一氏がノーベル賞と無縁のことです。
このことについて日本在住の外国人弁護士(+タレント?)のケント・ギルバート氏が書いた「日本人だけが知らない本当は世界で一番人気の国・日本」(SB新刊)の、第一章の中で記述しています。以下項目だけを列挙します。
世界に誇るの「超ノーベル賞級」の功績の中で
10個のノーベル賞に値する天才、赤色、青色のLEDという偉大なる発明、
「光通信の父にして「ミスター半導体」(一部省略)

本書は現代日本人が知らない産業、社会面をたくさん詳述していますので、是非ご覧になることをお薦めします。

おっと、随分脱線しましたが、本論に戻ります。

3.化学賞
  他の2賞に比べ対象分野は広い。昨年は装置(生体分子を計測するクライオ電子顕微鏡)が選ばれたため、今年は有機化学や材料分野が有望と考えられている。

◯リチウムイオン電池の開発
毎年候補に上がっているので今年は可能性が高い。
ニッケル水素電池や鉛蓄電池というバッテリーが世の中にあったけれど、現在では広く普及し青色LED以上に世界に貢献していると思う。
リチウムイオン電池に関しては、吉野彰 旭化成名誉フェローの名前だけが特によく知られているが、受賞となればとグッドイナフ教授と同教授のもとで正極材を開発した水島公一東芝リサーチコンサルティング シニアフェローの共同受賞となると思う。

◯中部大山本尚教授の不斉合成
山本教授は、有機化合物を合成する際に必要な触媒を研究し、
「キラルルイス酸触媒」と呼ばれる応用範囲の広い触媒を開発した。
必要な有機化合物だけを取り出す「不斉合成」で炭素同士や炭素と窒素の結合を実現するなど、医薬品開発や精密化学工業の発展に大きく貢献した。

◯自己組織化の研究、東大藤田誠教授
金属イオンと有機分子の2種類のパーツを溶液中で混ぜると自発的に組み合わさり、
内部が空洞の立体構造を作る。この技術を使えば調べたい化合物の溶液を含ませると穴に収まる様に整列するため、手間がかかる結晶化をせずに化合物の構造を解析できる。

その他、日本人としては推したい光触媒やCNT等もあるが・・・。

昨年の発表から1年を掛けて選考された結果が明日から発表される。
日本は2000年以降は米国についで2位となっているが、欧州勢との距離は受賞により更に開くか受賞無しで縮まるか?他のアジアの諸国の受賞者はでるか。
いよいよ来週一週間で決着する。

<参考サイト>
1.ノーベル賞、日本人の有力候補と業績まるっと紹介

.ノーベル賞2018特集 日本人の有力候補を総まとめ