金色のミドリムシ(ユーグレナ)とは

ミドリムシ(学名はユーグレナ)に関しては、開発当初NHKサイエンスゼロで過去何度も取り上げられ、またこれまでも各種メディアでよく紹介され一般に広く知られるようになった。(特にジェット機用油採取関連記事については弊過去ブログ(2記事)ご参照)

ミドリムシは虫ではなくワカメや昆布テングサなどと同じ「藻類」の仲間で植物・動物の両方の性質を備えており、体内に野菜、肉、魚などに含まれる50種類以上の栄養素を含む。このため将来の人類を救ものと期待されていて世界中が開発にしのぎを削ってきた。

このミドリムシ(ユーグレナ)に注目し、その人工培養に成功したのは、東大を出て一旦東京三菱銀行(当時)に入社しながら、結局退社し会社(学名と同じユーグレナ)を立ち上げた出雲充氏で、その後食品等で広く展開、現在は将来のジェット機用の燃料油の開発が進んでいる。このユーグレナは現在、沖縄石垣島の広い設備で太陽光培養されている。
できた製品粉末は葉緑体を含み薄緑色である。

一方、今回ここで紹介する金色のユーグレナは、神鋼環境ソリューションが水処理事業の中で2012年筑波大との共同研究で発見した新しいユーグレナEOD-1株」を食品機械事業で培ってきた微生物培養技術(タンクと撹拌技術)で生産を開始した商品「神戸ユーグレナ」だ。
先行開発の(通常の)ユーグレナが薄緑色なのに対しこのユーグレナ「EOD-1株」金色の粉末。

「EOD-1株」は、注目の健康成分「パラミロン」の含有率がなんと70%以上と一般的なユーグレナが15~20%程度なのに比べ、圧倒的に多く含んでいる。「パラミロン」は、これまでの食物繊維とは異なる働きをするため第三世代の食物繊維とも呼ばれている。

約8年をかけて開発された量産技術は、完全に密閉されたタンク内太陽光を必要とせず、無菌状態で行なう。したがって、不純物の混入や天候の影響もないので均質なユーグレナを安定生産できるという。

神鋼環境ソリューションは、すでにこの“金色のミドリムシ“を「神戸ユーグレナ」というブランドで食品メーカー向けの原料として販売して来たが、2020年6月からは一般消費者向けに「機能性表示食品」のサプリメントとして販売を開始した。

(以上の記事は以下の参考サイトおよび、日経産業新聞(9/29)を参考にとりまとめた。)

あとがき

ミドリムシを原料とした食品の開発・販売ではユーグレナ株式会社が先行し知名度も高いが、金色でパラミロンの含有量が圧倒的に多い商品名「ミカレアのパラミロン」がどこまで消費者に受け入れられ先行ユーグレナにせまれるだろうか。
特に興味深いのは大量生産方法の違いで、今後の進展を注目して行きたい。

<参考サイト>
神戸ユーグレナ(開発ストーリー)

神戸ユーグレナの販売開始(食品事業を開始)

動画、しごと人

パラミロンとは

パラミロン情報いろいろ

 

 

 

 

 

中古EV電池を大型蓄電池にする

地球温暖化防止のためには、化石燃料の使用を控え自然エネルギーによる発電すなわち再生可能エネルギーを増大させる必要がある。

しかしながら、再生可能エネルギーは気象条件(日照、風力等)により発電量が変動するため、ベースロード電源とはなりえず、送電網の安全には平準化が必要であり、一時的に溜めておく装置が必要となる。(電力の供給バランスが崩れると大規模停電の危険がある)

そのため、各種の貯蔵技術(参考サイト①)が提案されているが、この中の一つの方式である蓄電池についても各種の方式・技術が提案されている。

前回のブログでは省スペース、低コストの観点から2種のバイポーラ型蓄電池が現在注目されていることをご紹介した。

しかし、このバイポーラ型の樹脂電池、鉛蓄電池は新旧技術の違いはあるが、いずれもこれから新たに作るステージにあり、製品→実稼働してみないとどれくらい“本当の力”があるのか不透明な部分は多々あると思われるし、大型蓄電池として使う場合は特にシビアとなり、この後の進展には大いに注目される。

最近
この蓄電池候補の中に、EV車の使用済みバッテリーを大型蓄電池とする事業が立ち上がってきている。使用済みEV用バッテリーの利用は、廃棄物処理や貴重資源であるコバルトリチウムなどの省資源、入手対策としても重要である。またこれまで使い慣れているものであり、技術的にもコスト的にも前述の蓄電池には脅威の競争相手であろう。

EV車の車載電池は一般に10年前後で交換の必要があるとされるが、日産が最初にEV車リーフを販売開始してから10年がたち、本格的に中古電池が排出される様になってきた。
また今後他社のEVからも次第に増加して出てくる状況にあり、中古EV電池の再利用は重要な課題となってきた。

以下
現在中古EV電池を中~大型蓄電池として再利用する事業者を以下ご紹介。
(なお以下の記事は8/5の日経産業新聞より一部抜粋した)

A.フォーアールエナジー(日産、住友商事系)
・中古電池は残存容量により、A、B、Cの3等級に分けられ、A級は交換用部品として再利用、
Bが再生エネ向け蓄電池となり、C級は非常用電源に生まれ変わる。
・再生エネ電池は約20フィートのコンテナEV数十台分の中古車載電池を備えた
大型蓄電池となる。
・住商は現在鹿児島県薩摩川内市の甑島において、自治体と連携しで実験中。

B.東電電力HD
・東電パワーグリッドが中国企業などから中古の車載電池を購入し、電池システム開発の
ネクスト・ソリューションズと組んで、電圧などが異なる複数の車載電池を制御する。
EV20~30台分の電池を組み合わせてコンテナ型の蓄電池1基とする方式。
・7月から川崎市で蓄電池を制御する実証実験開始。秋には試験外販も始める。
・現在法人向け蓄電池は1kw/hr15万円から20万円前後で販売されているが、
車載電池を再利用することで現行より3~5割安く販売できる可能性があるとのこと。

C.伊藤忠(中国のパンドパワーと資本・業務提携)
・コンテナに20台前後の車載電池を並べて蓄電池を組み立て、一般家庭の100世帯が1日で使う電力を賄う計画

 

最後に
EV電池の再利用は単にコスト、性能だけに留まらず、資源戦略、廃棄物処理としても重要な課題であり、今後増大する集荷物の検査、分解、分別、破棄、部品更新及び製品組み立て、完成品検査のロボット化とIOTの使用による超合理的な再生管理システムを構築してゆくことが必要と考えられる。

 

<参考サイト>
環境技術解説 電力貯蔵技術

電気自動車用リチウムイオン電池のリサイクルに関するクイック・ガイド

電気自動車(EV)普及の鍵を握るバッテリー生産とリサイクルの課題

電動車両バッテリーの再利用 ~電動車両普及に向けた もうひとつのカギ~

日産「リーフ」の充電池を再製品化するフォーアールエナジー 浪江事業所が開所

 

 

 

 

バイポーラ型鉛蓄電池は定置型の主流になるか?

これまで直近のブログでは最近急激に注目を集めてきた全樹脂電池を3回に亘って取り上げてきた。

この全樹脂電池はバイポーラ型としているため、積層して使え、省スペース、余分な筐体(ケース)や配線が不要、製造工程がシンプル等の特徴を持ちリチウムイオン電池にくらべ大幅なコストダウンができるとされている。そしてその用途としてAPB社は再生エネルギー保存用としての定置用を狙っている。

この定置用電源は今後の再生エネルギーの増大に対応電源として非常に大きな市場(2019年の3000億円から2030年には8000億円規模)になると予想されており、現在稼働中のものも含めいろいろな電池が候補に上がっている。
(以下の図は最後の参考サイトから引用)

この定置用電源として、従来型(有機液体電解質使用)のリチウムイオン電池はリサイクル性と安全性に問題があり、更にまだコストが高いとされており、最近バイポーラ型全樹脂電池が注目されている。

しかし、実は以前からずっと注目されていた電池がありました。

それは鉛蓄電池。鉛蓄電池は誰でも知っているように現在も一般ガソリンエンジン用の12Vの主バッテリーとして、またEV用でも補助バッテリーとして重要な役割を演じており、“枯れた技術”とされていているが、この鉛蓄電池のバイポーラ型製造が研究されていた。

考えられているバイポーラ型鉛蓄電池の特性は下図の様に理想的ともされている。

しかし実用化のための3つの大きな技術的課題がありこれまで実現していなかった。
その3つの課題とは
①「鉛箔の薄膜化と長寿命の両立」
②「樹脂プレートの成形と接合技術」
③「鉛箔と樹脂プレートの異種材料接合」

これらの課題は古河電気工業のメタル/ポリマー技術および古河電池の電池/加工技術を駆使することで解決され、ついに「長年実用化困難とされたバイポーラ型蓄電池の量産実用化のめどが立った」としている。

最終的に公開されているバイポーラ鉛蓄電池のデータは以下の通り。

  バイポーラ型蓄電池の概要

APB社バイポーラ型全樹脂電池についてもこの形のデータ(特に寿命データ)を入手したい。


古河電工Gは鉛バイポーラー電池を2021年度中にサンプル出荷、2022年から製品出荷し、電力事業者、発電事業者を中心に展開する予定。

APB社も2021年中に生産開始することを公表していますが、コロナ禍の問題もあり両社とも進展が遅れるかも。

”枯れた技術”による鉛バイポーラー電池と最新技術とされる全樹脂電池(APB)両バイポーラ電池の今後の推移に注目して行きたい。
(上記本文と図は以下のサイトより適宜引用した)

<参考サイト>
・◎再生エネ活用の本命「バイポーラ型蓄電池」
・◎実用化困難とされた「バイポーラ型蓄電池」を量産へ
鉛バッテリーがリチウムイオン電池を超える、古河電工がバイポーラ型蓄電池で
再エネ用蓄電池の本命か? リチウム電池を超える新型鉛蓄電池が量産実用化へ
・◎“枯れた”鉛蓄電池でリチウム電池超え、古河電工が22年量産へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日産から飛び出した全樹脂電池技術のもう一つの行先は中国

日産が電気自動車EVを発売したのは2010年だが、当時日産はリーフ用電池を外部から調達できず電池は内製するしかなかった。

しかし近年、内製より低コストで調達できる外部環境が整ったため、日産はEV用電池を自社で開発・製造するのではなく外部から調達する方針に変更した。

2020年に量産を始める予定のEV専用の新プラットフォーム(車台)を適用した新型車からは外部の電池メーカーから積極的に調達する方針だそうだ。

この方針転換で、これまで日産社内で電池開発を担当する技術者にとっては優れた技術を開発しても内製できる可能性が殆どなくなったため、多くの電池技術者が日産を離れた。

その一人が堀江英明氏
同氏は1990年に全樹脂電池の構想を始め2018年日産を飛び出してAPBを立ち上げた。そして19年2月には三洋化成工業の子会社となり全樹脂電池の開発・生産を共同で進めることになった。そして資金を集め2021年には量産を開始する計画を打ち出した。(ここら辺の状況についてはこれまでのブログをご参照。)

 一方堀江氏とは別に日産から飛び出したのは
技術者の他に日産の子会社として電池生産を担当してきたオートモーティブエナジーサプライ(AESC。同社は中国の再生エネルギーの大手であるエンビジョングループの傘下に入りエンビジョンAESCグループとして2019年4月に再出発した。

同社は2020年12月から新型電池の量産開始を予定しておりその最大の特徴はセル形状ドイツ自動車工業会(VDA)規格に合わせたことだ。
VDA規格(付記参照)の電池は欧州の各自動車メーカーが既にEVに搭載しており、現在CATL韓国LG化学などが供給しているが、エンビジョンAESCグループはこの一角に入ることを狙っている。

新工場の場所は中国の無錫市。同社の現在の生産能力は日米欧で7.5ギガワット時であるが、これを2023年までに20ギガワット時まで生産量を増やす強気の戦略を描く。

(以上日経クロステック2020年4月23日付け記事/6月8日付け日経産業新聞6月8日付より抜粋)

詳しくは同誌をご参照ください。

 

最後に、日産を飛び出した電池技術がそれぞれAPB/三洋化成工業の静置型大型電池狙いとアンビジョンAESCグループのEV用途向けとなったわけであるが両社の今後の行方に注目して行きたい。

 

<付記>
VDAに関して
1.簡単
2.わかり易い
3.ウィキペディア

 

 

 

 

 

日産自動車、全樹脂電池特許をAPBにライセンス供与

これまで全樹脂電池に関しては過去3回の記事でその概要は知ることが出来た。
そして21年以降大量生産に移行する計画も立ち上がったことも知った。

しかしはっきりしない懸念部分もいくつかあった。
其の一つがAPBの堀江社長が日産在籍中やその後慶応大大学院での日産との共同研究での特許の件だ。
当然これらの特許はAPBが単独で自由に使えるものではない。大量生産に当たるに際し、これら特許技術の使用条件に関する情報がなかった。

この度、4月16日付けで日産自動車は表記のように、全面的にAPBにライセンス供与することになりこの問題はスッキリした。

以下、下記に添付した日産のニュースサイトとメディアのサイトから抜粋した部分にこれまでの情報をあわせてご紹介します。

以下抜粋と追加文で再構成
日産自動車は2020年4月16日、次世代リチウムイオン電池の1つである「全樹脂電池」を開発するAPBと、バイポーラ電極構造の全樹脂電池の要素技術に関する特許やノウハウの実施許諾契約を締結したと発表した。
APBは日産自動車と全樹脂電池を共同開発してきた三洋化成工業とも同様の契約を結んだ。これによりAPBは非自動車用途における全樹脂電池の開発と製造、販売を行えるようになる。
APBは今回のライセンス契約の締結によって「全樹脂電池の根幹となる革新的な技術群を得ることができ、本格的な生産に向けた基盤が整う」(堀江氏)とし、定置用蓄電池の製品化に向けて動き出す。また、日系企業7社から80億円の出資を受けて、1年間にギガワットアワー(GWh)規模の電池を生産する工場を日本国内に建設する。

日産自動車は2002年ごろから全樹脂電池の研究を本格的に開始しており、現在も取り組んでいる。今後も全樹脂電池の研究開発を継続するそうだ
三洋化成工業も、引き続き全樹脂電池に経営資源を投入し、APBと共同で開発を進めていく。
尚、三洋化成は高吸収ポリマーで世界首位の日本触媒と今年10月1日に予定していた統合(新会社シンフォミクス))を来年4月1日に延期した。

今回の発表資料で使用された図(A図)がちょっと気になりました。
A図
全樹脂電池はバイポーラ電極構造を有する全樹脂電池であり
「バッテリーセルの表・裏面をそれぞれ構造体であると同時に正極・負極の機能を有する樹脂集電体で形作り、複数のセルを重ねることで、バイポーラ構造の組電池の構成を可能とする要素技術」とされている。
使用されたA図は全樹脂電池のケース自体が電極で有ることが分かり難く理解し難い図だ。
B図
対して、B図は上記で説明されている両側のケース自体が正負の電極になっていることがわかり易いと思うが。

<参考>
APBの代表取締役社長の堀江英明氏は日産自動車に1985年に入社し1990年以降日産自動車で電動車用高性能電源システムの研究開発で「リーフ」のリチウムイオン電池開発に携わり、2012年からは電気自動車の電源システム開発に従事しながら東京大学の特任教授を兼務していた。全樹脂電池は同氏が1990年代から構想し、2012年から日産自動車と三洋化成工業が共同で要素技術の研究開発を進めてきた。
【堀江英明氏による全樹脂電池のコメント】
「従来、電池のデザインにおいて、電流を通す端子や集電体は、抵抗を低減するための部材として金属であることが必須と考えられてきました。我々は今回、世界で初めて、集電体を含めた電池骨格を全て樹脂材料で再構築し、またバイポーラ構造を採用することで、出力は従来同様に確保しつつ、異常時においても電池内部での急激な発熱・温度上昇を抑制する、世界初の電池デザインとそれを支える一連の革新的な技術群を創出し、この高性能電池を『全樹脂電池』と名付けました。」

全樹脂電池は、
電解質と電極を樹脂に置き換えることで安全性を向上する。バッテリーセルは、構造体であり電極の機能をもった樹脂集電体で構成する。バイポーラ電極はセルケースと密着しており、セルケースの外側から広い面積を使って電気を流すことができる。容積あたりの充電容量を増大する。また、「電極の断面積が広いほど抵抗が下がるため、効率よく電気を出し入れできる構造だ」(日産自動車)としている。このようなセルを複数重ねることで組電池となる。従来のリチウムイオン電池と比べて構造がシンプルになるため、コスト低減が図れる。コスト低減によって定置用蓄電池が普及すると、深夜電力や再生エネルギー電力の有効活用が進む。ピーク時の電力消費の抑制や、安定した効率的な電力活用の実現にもつながるとしている。

懸念事項その2は
やはり2次電池としての性能特に蓄電容量、充電速度、特に耐久性繰り返し充放電による劣化等)のデータです。

電池容量については当初(2019.6.3の記事)ではリチウムイオン電池が300Wh/Lに対し
最大560Wh/Lとされていましたが、量産計画発表時での性能は300Wh/Lとされていて
ほぼ現在のリチウムイオン電池並です。
しかし充電速度や特に耐久性についてはこれに言及した発表記事は見かけないようですのでちょっと気がかりではあります。が、21年には量産に移行する計画なのですから、筆者が入手出来てないだけでベストデータは然るべきところに出ていると思います。

尚、この樹脂電池の市場はエネルギー事業者が長期間に亘って使用する「定置用」が最も狙い目なのでしょうが、「魅力あるがハードルが高い」EV用に対し、「魅力もありハードルも低そう」なこの市場は多くの競合製品が虎視眈々と狙っているはずです。
今のところ製品コスト的には最も有望そうではありますが・・・。
第2、第3の市場も考えて置く必要もありそうです。
全樹脂電池の特徴を活かせる民生用、工業用分野が必ずあるはずです。

今後、最強ライバルと考えられる全固体電池の動向とも合わせ、全樹脂電池の行方を追って行きたいと思います。

 

2019/2/15
三洋化成の「全樹脂電池」 10年後1000億円規模に 3Dプリンターで複雑な形状も

2020/04/13
日本触媒と三洋化成、統合を21年4月に延期

2020/04/16
日産自動車、先進的なリチウムイオンバッテリーの要素技術をAPB株式会社にライセンス供与

2020/04/17
◎日産が「全樹脂電池」で技術供与、ベンチャーが定置用蓄電池向けに量産へ


下記サイトは日産のテクノロジーライセンスの全体がわかるサイトですので
日産のテクノロジーライセンスについて興味ある人はどうぞ

 

 

 

全樹脂電池が量産移行へ

現在のリチウムイオン電池の欠点である発火・燃焼・エネルギー密度の問題を解決すると期待される全固体電池と平行して急遽?登場した全樹脂電池に付いて、前回の記事で当時の情報を纏めて紹介したが、いよいよ大量生産につながるニュースが3月初旬に出た。
そこで今回はおさらいを含めてその状況をご紹介したい。

1.発表内容
 三洋化成工業は4日、電池技術開発のノウハウを持つ子会社APB(東京・千代田)が国内7から第三者割当増資で約80億円を調達すると発表した。APBは福井県越前市で用地と建物を取得し、第1工場を設けた。第1工場の敷地面積は2万3733m2、延床面積は8628m2。2021年に操業を開始し、全樹脂電池の量産技術を早期に確立することを目指す。次世代電池の開発競争で先行する全固体電池などを追い、5~10年後をめどに数千億円規模の事業に育てる狙いだ。
APBは代表取締役である堀江英明氏が、三洋化成工業と共同で開発したバイポーラ積層型のリチウムイオン電池である全樹脂電池(All Polymer Battery)の製造及び販売を行うスタートアップ企業。
出資した7社とはJFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合、帝人、長瀬産業、横河電機
JFEケミカル:負極材料のハードカーボンの提供と電池開発。
JXTG、長瀬産業:様々な材料の提供。
大林組:ビルなどでの定置用電池の設置。
帝人:ナノカーボンの提供

2.全樹脂電池とは
全樹脂電池はAPBと三洋化成工業が共同開発したバイポーラ積層型リチウムイオン電池で、集電体も含めた電池骨格を全て樹脂材料で構成している。
全樹脂電池には界面活性技術を持つ三洋化成が新開発した樹脂を用いる。活物質に樹脂被覆を施し、樹脂集電体に塗布することで電極を形成している。
特徴としては、従来のリチウムイオン電池と同様の出力を確保しつつ、異常時の急激な発熱や温度上昇を抑制できる点がある。全樹脂電池は釘を打ったりドリルで穴を開けたりしても発火しない
また、独自の製造プロセスにより工程を短縮することで従来のリチウムイオン電池よりも大幅な製造コスト低減リードタイム短縮が図れる。
部品点数が少ないことに加えて、樹脂で構成することで電極を厚膜化し易いためセルを大型化し易く、高いエネルギー密度を実現している。
形状の自由度も高く、「リチウムイオン電池の理想構造」(APB)だとしている。

以下参考サイトからの引用図で説明します。

従来の電極(左)とバイポーラ電極(右)での電流の流れの比較
(従来は電流は電極につながるリード線を通って流れるのに対しパイポーラ型は面全体を通して流れる。)

電池の製造プロセスの比較
(ロールツーロール方式なので工程が少なく生産性がアップし、低コスト化につながる)

電解質の伝導度の比較(リチウムイオンの伝導度(輸率)が常温でも数倍高い)

単セルの構造とモジュールとした状態
(積層するだけで、結線や収納箱が不要なので省スペースとなり、単位体積あたりのエネルギー密度が高くなる)

全樹脂電池モジュール(左)とその内部構造(右)

上記全樹脂電池に関して、形状や生産プロセスはこれまでの情報で判るが、製品(試作品)の静置型電池としての諸性能(特に耐久性)が十分なのかどうかが今一不明なので若干の懸念を持たざるを得ない。今後全樹脂電池に関しては電池性能を主体に注目して行きたい。

 

ところで
先行する競合製品である全固体電池の開発・生産状況については
トヨタ自動車が22年からEV(電気自動車)に搭載するとされているが・・・。
一方小型全固体電池村田製作所TDKは20年中にも量産化する。
また京セラは電解液を電極に練り込んで粘土状にする独自技術を使った新型電池を20年にも本格量産するという。
しかし従来型のリチウムイオン電池もまだまだ改良(不燃化、高性能化)がなされており、更に非リチウム金属を使用する電池も開発・進化中であり、今後の2次電池の技術ニュースに目が離せない。

 

<全樹脂電池関連参考サイト>
日経2020/3/2
三洋化成、福井で全樹脂電池を量産 工場新設を正式発表

R Times 2020年3月4日
APB株式会社 次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPB、約80億円の資金調達を実施

日経2020/3/4
全樹脂電池量産へ7社とタッグ 三洋化成、80億円調達

Motor Fan 2020/03/04
「全樹脂電池」ってなんだ? 次世代型リチウムイオン電池開発でAPBが80億円を調達

大林組 2020年 03月 04日
次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPB社へ出資します

<最新ニュース>
2020/07/20
APB:全樹脂電池を川崎重工の自律型無人潜水機に搭載して実証試験を開始

 

 

 

 

 

 

 

マグネシウム(Mg)に関して、NHK-TV「ためしてガッテン」より

普段、体の中の金属で話題になるのは鉄不足や亜鉛不足などでマグネシウム不足はあまり聞きません。
しかしマグネシウムは心疾患糖尿病の2大疾患に重要な役割を果たしていることが判り、
今回NHKの番組「ためしてガッテン」でこのマグネシウム(Mg)が取り上げられました。
今回はこの番組で示された内容の概要を紹介したいと思います。

1)人とマグネシウムの歴史
 マグネシウムはほとんどの岩石や海水に含まれており、生命誕生の際、単細胞から多細 胞への進化する時大量にあるマグネシウムがDNAの複製をスピードアップするのに大いに貢献した。
現在すべての細胞内にまんべんなく存在するのはその名残でありエネルギーを作り出す手助けをしている。
(したがって体内のマグネシウム量が少なくなると機能不全、病気になったりする)

2)人体中に金属はどれくらいあるのか。
 人の血液を採取し分析すると約60種もの金属が含まれていることが分かった。 (人体中の全金属の合計値段は1311円、またこの60種の金属は全て相当する漢字がある。因みにマグネシウムは

その中で鉄、亜鉛とマグネシウムの含有量は、体重60kgの人では
亜鉛(Zn):1.7g、鉄(Fe):5g、マグネシウム(Mg):30gと
圧倒的にマグネシウムが多いことが分かった。

3)人体の中でマグネシウムはどんな働きをしているのか?
一般的な効能としては糖や脂肪からエネルギーを作る酵素にマグネシウムが働くと酵素の働きを活性化し心臓の働きをアップする、またスタミナ不足や片頭痛の予防に効果的とされている。
今回の番組内のモデル的な説明では、マグネシウムが酵素に働くと、
①血管を広げることにより心疾患を防ぐ。
②血管(血液)中の糖を細胞内に移すことにより糖濃度が減り糖尿病を防ぐ。
というものであった。

4)詳細な調査研究の結果(定性的表現のみ)
国立循環医療センターが15年間に亘り8万5千人を調べた結果、マグネシウムの摂取量が多いほど心疾患の発生率が少なかった(約3割)。
九州大学の研究チームが2000人を対象とした調査では、マグネシウムの摂取量の増加と共に糖尿病の発生率が4割減少した。

5)日本人のマグネシウム不足と含有食品
マグネシウムの大体の一日の摂取推奨量は
男性は350mg~370mg、女性は260mg~280mgとされているが不足している人が多いとされていて
大体、不足量は 男性:100mg/1日、女性:50mg/1日と言われている。
(これは豆腐半丁、アーモンド25g、納豆1パックで補えるとされる。)
意識して積極的な摂取が必要。

6)マグネシウムは今工業の分野で注目を集めている。
マグネシウムは鉄やアルミニウムより軽いが燃えやすい。
熊大は軽く、強く、錆びず、燃えない合金を開発した。
米ボーイング社は熊大と共同研究を始めた。

以上が番組の概要(一部省略した)ですが

マグネシウムに関して、昨年末の新聞記事をご紹介。
(2019.12.26日経産業新聞)
耐熱マグネシウム合金の不燃化
熊本大学先進マグネシウム国際研究センター
川村能人教授らは、すでに200℃程度の高温下で市販の耐熱マグネシウム合金より1.8倍程強度が高い「KUMADI耐熱マグネシウム合金」を既に独自開発していた。
ただし発火温度約880℃なので米連邦航空局(FAAの燃焼試験で使われるバ―ナ―の火炎温度(950℃)よりも低く、絶対に燃える事がない不燃性ではなく実用化の課題となっていた。
研究チームは上記既開発合金にイッテルビウム(Yb)、カルシウム(Ca)、ベリリウム(Be)のうちいずれかをごく微量加えることで発火温度を1000℃以上に上げられる事を確認した。
今後航空機や自動車等の輸送機器へのマグネシウム合金の使用による軽量化(費向上)が期待される。

尚KUMADIマグネシウムに関しては次のサイトをご参照。
分かり易く紹介→動画
詳しく紹介以前のブログ

 

<参考サイト>
○マグネシウムと心疾患関連サイト
参考サイト1
参考サイト2
参考サイト3

○マグネシウムと糖尿病関連サイト
参考サイト1
・参考サイト2
・参考サイト3

 

全個体電池の新製法出現。全個体リチウムイオン電池の実用化が早まるか?

現行のリチウムイオン電池の性能を上回る固体電解質を用いた全個体リチウムイオン電池の開発が世界中で競われている。

我が国については、大枠以下の状況であろう。

1.車載用全個体リチウムイオン電池(東工大/トヨタグループ)
東工大の菅野教授が1911年に開発したLPGS系から進化した固体電解質を用いたリチウムイオン電池がEV用途としてトヨタ自動車を先頭に22年の実用化を目指して開発されている。(関連ブログ有り)

2.超小型~小型の全個体電池
既にTDKをはじめとした電装部品メーカーで商品化された(セラチャージ等)。

3.全樹脂リチウムイオン電池
元日産でEVの電池開発に携わった堀江氏が慶応大に移り、ゲルを用いた全樹脂リチウムイイオン電池を開発し、高吸水性ポリマ―メーカーである三洋化成と日本触媒とで共同開発が進んでいる。(前回ブログ)

このような状況の中
ベルギーの研究機関imecが開発しパナソニックも参加する新しい製造法で、安価で大容量の全個体電池が出現し、大型電池の実用化の前倒しが期待されている。

以下日経エレクトロニクス2019.8月号、(日経産業新聞9.27)より抜粋し概要をご紹介する。
その特徴は固体ナノコンポジット電解質(SCE)を開発したことである。

先ず電極の構成として
・正極の形成。これは既存の液体電解質のLiBと同じ。
今は正極にリン酸鉄リチウム(LiFePO)(LFPと表記)を使用。
・負極には金属リチウムLiを使用。
これらは今までと同じだが

imecが開発した電池の最大の特徴はその個体電解質でありその製造プロセスが注目されるものである。
即ち
・液状の電解質を電極に染み込ませた後に乾燥して固化する。
・この固体電解質の主成分はSiO2でありふれた酸化物材料であるが、比表面積が   1400m2/g(活性炭レベル)と極めて高い多孔質になっておりその内壁にイオン液体のLi塩が結合している。
この製造法は、ゲル作成の古い技術と新しい素材であるイオン液体を組み合わせたところに特徴がある。

電池製造の流れ(考サイト1より)

TEOS(オルトケイ酸テトラエチル)イオン液体によるゲル電解質の形成

・まず、TEOSと呼ぶSi系材料をイオン液体中に分散させた後、水を加えて(加水分解して)ゲル化する。
水を除去後、さらに二酸化炭素(CO2)を用いた超臨界乾燥を施す。
すると「エアロゲル」と呼ばれる極めて軽いスポンジ状の固体材料になる。
この方法は80年前からある技術だが、イオン液体を混ぜる点が新規なところ。
これが、上述の電解質が液体から固体になるプロセス。
この構造により、電解質は固体化後も弾力があり、充放電に伴う電極中の活物質の膨張収縮を吸収できるとする。

この電池の特徴は
1.製造
・コバルト等の高価な資源を使わず、従来のLiイオン電池をつくる設備を流用出来るため
低コストで製造が出来る。
大型(A4サイズ)も製造可能。

2.性能
・体積エネルギー密度425ワット時/リットル(以下Wh/Lとする)、この値は現在のLiイオン電池とほぼ同じだが、2024年には1000Wh/Lまで高められるとする。

その根拠としては
・現在用いている正極材料は電位窓約3.5Vのリン酸鉄リチウム(LFP)だが、同5.5Vの正極活物質を使えば約1000Wh/Lも可能となる。(現在のLiBは800wh/Lが限度とされている)
・今回の電解質が高温に強い(320℃まで利用可能)ため、現在の車載用LiBでは必須の冷却システムが不要となり現状でも現在の約2倍の体積エネルギー密度となる。
・充電時間も現在は2時間程掛るが将来大幅に短縮(20分で充電)出来るとしている。
・imecが用いるこの固体電解質のイオン電導率は現在約10mS/cmで東工大/トヨタ自動が開発した電解質と同等の性能とされる。同社はさらにこれを10倍の100mS/cmに引き上げる事を目標としている。 

現在の課題は急速充電の実現。
一般に全個体電池は急速充電に優れた物が多いが、このimecの電池の急速充電特性は液体電解質のLiBと同等かやや低い。速くすると急速に容量が低下する。
この原因として2つが推測されている。
その1.固体電解質がイオン液体とのハイブリッドであること。
その2.Li負極を用いるためデンドライト(樹状突起)ができこれが充放電の律速となっていること。
しかしimecはこの対策として、電極の構造をジャングルジムの様な規則的な空間を備えた
ナノメッシュ電極とすることで制御出来るとしている。 

今後現行リチウムイオン電池の頑張り(さらなる性能向上)と新固体電池の商品化の進展に注目して行きたい。

<参考サイト>
1.imecがA4型5Ahの全固体電池、高伝導率酸化物系電解質で

2.全固体電池の実用化、目前に TDKと日立造船、今年から本格量産 「安全で大容量化」容易に2019.3.25 

3.全固体電池の菅野教授が語る、EVはこう進化する(東工大菅野教授)
次世代電池の“本命”はリチウムイオン電池の限界を超えるか(2018年1月17日)

4.全固体リチウムイオン電池の研究開発プロジェクトの第2期が始動
(2018年6月15日)国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

5.イオン液体【ウィキペディア】

6.電気伝導度の基礎

 

 

 

新型リチウムイオン電池「全樹脂電池」について、全固体電池と競合するか?

リチウムイオン電池の最大の欠点である発火の可能性がなく、更に小型高性能電池として、全個体電池が注目を集めているのは周知の通りですね。

この個体電池は、現行のリチウムイオン電池の有機液体電解質を無機個体電解質に切り替えることで不燃とし、更に正負の電極の各種改良とともに、量産化対応がなされている。

本命の自動車積載用の大型の全個体リチウムイオン電池は、トヨタ自動車が22年に実用化するとされ、他の自動車会社もその後追随すると予想されている。

他方、小型~超小型の全個体リチウムイオン電池は、IoT用などのセンサー用途として、TDKや自動車部品メーカー等数社が既に製品化し量産を開始している。(セラチャージ

こういった状況のなか最近、全樹脂電池と呼ばれる2次電池が今非常に注目されている。取り上げられることの多い全個体電池の陰に隠れて知らない人も多いかもしれないが、後に示す様にかなり前から研究がされている。

以下全樹脂電池の概要をご紹介する。(内容は専門誌、各種サイト情報を参考にして再構成した。)

1.全樹脂電池とは
「電極を含め全てを樹脂で形成したリチウムイオン2次電池」とされている。
全個体電池が電解質を有機液体から固体電解質を使用したのに対し、全樹脂電池は正極や負極も樹脂製とすることで、製造が容易で、低コストに生産出来、安全性が高く、高エネルギー密度化が可能、更にはリサイクルが容易などの優位性があるとされる。

2.開発の経緯・状況
日産自動車でEVリーフの電池開発を行っていた堀江英明氏が1990年頃考案し、慶応大学へ移籍した後、三洋化成工業(以下三洋化成)と共同開発を始めた(2012)。
その後同氏は低コストの大量生産技術を確立するためのスタートアップAPBを設立した(2018.10)。
これを三洋化成が出資子会社化した(2019.2)。
また負極材料(ハードカーボン)メーカー(JFEケミカル)も出資した。

3.全樹脂電池の基本構造について
1)電極の基本構成
   (日経XTECHより)

全樹脂電池のこれまでの電池と違う最大の特徴は電極の構成であり、
正極または負極の微小な活物質の粒子の表面を電解液を吸わせたゲル状の高分子膜で覆い、それらに粒子状の導電助剤や導電性繊維と混ぜて正極(負極)の合材(ペースト)とする。
そしてそれらをセパレーターで挟んで重ね合わせ、更にそれらの両面に導電性樹脂フィルムの集電体を配した構成である。

2)全樹脂電地の製造方式
ロール状のフィルム(導電性で片方の電極の集電体となるもの)シートを繰り出しながら、順に①枠となるシール材、②正極合材の塗布、③セパレーターの配置、④負極合材の塗布、⑤集電体フィルムを配置するの工程で、上記全樹脂電池の基本であるセルが出来上がる。

工程は基本的にロール・ツー・ロールの方式なので生産性が高く、また従来の工程では必要だった乾燥工程がゲルを使う方式なので不要。そのため処理速度を2倍から4倍にも高めることも可能という。
また合材を厚く塗っても機能するという。(単位面積当りの容量アップになる)

3)構成素材
①負極活物質
これ迄負極にはC(ブラファイト、黒鉛)が使われていたが、最近は容量アップのため黒鉛にSi(シリコン)またはSiO2を加えたものが使用される様になった。しかし体積変化の問題があり未解決。
一方、本全樹脂電池の負極材料には黒鉛(ソフトカーボン)ではなく、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)を採用している。ハードカーボンはLi+をより高速に多量取り入れることができる。(後記サイト参照)
負極の容量アップは三洋化成が取り組んでおり、ハードカーボンはJFEケミカルより調達している。(同社もAPBに出資)

②正極活物質
正極材料の詳細は公表されていないが、従来リチウムイオン電池に使われてきた物質と同じものであろう。
三洋化成は正極材の量産と新しい用途の開拓を勧めており、更に正極材の高容量化に他社開発の新技術を取り込む。(Niを多く含む正極材など。)

③電解質
高分子ゲルに含ませて使用する。詳細は不明だが今後は日本触媒(出資決定)が提供することになるである。

④その他
集電体の導電性フィルムの明細は不明。
セル(右)とパック(左)A4サイズ厚さ2mm、平均電圧3.7V

4.使用方法

1セルをパックにした製品よりも複数のセルを組み合わせて大容量電池として使う場合にその特徴が発揮される。
すなわち正と負の集電体面を合わせて重ね合わせるだけでよく、更に通常の電池の組み合わせでは必要な配線や空間スペースが不要である。

5.当面の価格目標
1ワット時当たり15円。(定置用電池やEV用2次電池の長期的な目標は10円/WH)

6.用途
今の所、ビルや発電所などの大型静置型電源等の既存蓄電池の代替が最も有望と考えられている。
新規用途として、ディスプレーの背面、ロボットの筐体、壁面への埋込なども提案されている。
更にペーストを使い3Dプリンターで形成が可能なため、各種形状の電池が製作可能であり、安全性が保証されていれば、生活関連や医療など多種多用な場所での使用が考えられる。
EV用途はハードルが高いようである。

7.今後の予定
開発者の慶大の堀江英明教授(APB社長)と三洋化成工業は2020年に実用化し、2021年秋にも「全樹脂リチウム電池」の生産を開始するとされる。

最後に
これまで発表された部分についてはいいこと尽くめであるが、計画通り2021年の生産移行・量産化ができるのであろうか?

車載用や大型蓄電池では充放電時間や耐久性(これが一番重要で困難)のデータが不明なので難しそうだが、一般用として低価格、マルチ形状対応可能等の優位性をいかした展開がなされるのではないかと思われる。

何れにせよ、今後公開される各種データと状況の推移に留意していきたい。

<参考サイト>
*1:APB社について
*2:カーボンについて
・JFEケミカル、APB株式会社」へ出資
ハードカーボンとは
・今後はこれ?球晶黒鉛 負極材
*3:三洋化成の展望
 10年後1000億円規模に 3Dプリンターで複雑な形状も
2030年に“1兆円企業”に、三洋化成と日本触媒の統合効果

NIMS一般公開参加

先日(4月21日)つくば市にあるNIMS(国立法人材料・物性研究所)の年に1日一般に公開されるイベントに行ってきたのでその様子を紹介します。
ただ、全体は3地区に別れていて、しかもそれぞれが膨大な設備、展示内容なので見たのも一部、ここで紹介するのもまたその中の一部です。現場撮影は禁止だったり、説明を聴くだけで写真を撮る状況ではなかったので、「ブログ映え」する写真が少ないですが・・・。

つくば駅前のバス乗り場でNIMS行き循環バスに乗る

NIMS到着

千現地区の建屋配置図

入る前に受付を済ませる

室内に千現地区と他地区の建屋模型があった。

入って直ぐの展示ブース(子供向けが数件あった)

展示パネル

パネル2

棟内各階の研究室

スピントロニクスを用いた新しい熱利用技術

DYフリーのNd磁石の開発

熱↔電気変換
(パネル省略)

棟を移る時に、遅咲きの木蓮に癒やされる

M会場の入り口の様子

走査型トンネル顕微鏡で観察された物質・材料の表面

ノーベル賞の光を見よう

超電導パネル
(「電子がクーパー対を形成することで起きる」とは知らなかった)

4時過ぎ、車で来た人達の帰宅(並木地区)

天気が良くて大変気持ちのいい一日でした。

NIMSについて、及びイベントの詳細は、最後にリストアップしたサイトを参照して下さい。

とにかく日本を代表する研究施設ですので大変立派なものです。
そして日頃研究に没頭され忙しい研究者の方々が、この日のために準備をされ、丸一日一般人のために時間を使って対応していただけるわけですから、大変ありがたいことです。

この様な機会を利用しないのは大変もったいないことです。

まだ行かれたことのない人は是非計画を立てて出かけられては如何。
来年も4月の日曜日に有るはずです。
「百聞は一見に如かず」
子供さんと一緒でもいいし、一人でも。

成り行きで回るのもそれはそれで楽しいと思いますが、
出来たら事前にNIMSのホームページで見たいところを調べておいて、
計画的に回れば1日有効に使えると思います。

それと専門が対応されるわけですから、展示分野に関してはどんなことでも答えてくれると思います。
是非聴きたいこと、質問事項を考えて行けばより有効な見学となるでしょう。

NIMSについて
NIMS: 国立研究開発法人物質・材料研究機構
(National Institute for Materials Science)
2001年4月に旧科学技術庁所管の2つの国立研究所である金属材料技術研究所と無機材質研究所が合併して発足した。
2016年10月、理化学研究所産業技術総合研究所とともに特定国立研究開発法人に移行した。

一般開放関連ページ
NIMSの一般公開とは

NIMS一般公開2019

2019年のプログラム一覧

2019年度NIMS Open Facilityユーザースクールのご案内

 

NIMS実験動画集
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究極の充電式電池! リチウム空気電池開発に迫る

全固体電池 次世代電池の有力候補(2017年5月12日配信)

蓄電容量はLi電池の15倍、NIMSのリチウム空気電池