石とプラスチックから出来た紙、ライメックス(LIMEX)

最近ライメックスという「石から作られる紙」が注目されている。

その特徴は
1.
従来の紙の製造時に必要とされる原料の木材と水が不要である
(因みに紙1トン作るのに木材20本、水100トンが必要だが、代替紙1トンのためには
 石灰0.6~0.8トン、樹脂(PP)0.2~0.4トンとされる。)
2.原料の石(石灰石)は日本で100%自給出来る資源であり、世界的にも埋蔵量は
非常に多く枯渇の心配はほぼない。(結果値段も安い)
3.薄い紙としてだけでなく、厚物、板物としてプラスチックの代替としても使える。
4.紙に比べ耐水性や強度が高いので、浴室等水回りや屋外での使用もできる
5.製造時、廃材や汚水の発生が少なく、特に世界的に逼迫してきている水を大量に
使わなくて良いエコロジー素材である。
とされている。

この素材の誕生とその後の華々しい展開
・2011年に山崎敦義氏によって設立されたベンチャー企業TBMが開発。
(元は台湾のストーンペーパーだが、日本の高度な印刷品質要求に合うものとして新規に開発)
ネーミングは、石灰石(LIMESTONE)のLEMEと未知の可能性を秘めたXを合わせてLIMEXとした)
・その後のブレイン人材と優秀実行部隊の獲得による戦力アップ
・2013年経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業に採択
数々の受賞(受賞歴下記)による知名度アップ
・大企業との連携
2016年11月、凸版印刷株式会社と共同開発の基本合意
2017年3月、日揮株式会社、サウジアラビア国家産業クラスター開発計画庁(NICDP)とサウジアラビアでのLIMEXの開発及び製造活動に向けて基本合意
2017年8月NEDOより平成29年度「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に採択

・2018年 従来の石灰石の代わりに植物から作った生分解性プラスチックである
 ポリ乳酸とを組み合わせたバイオプラスチック新素材の開発。
・生産量の拡大計画
2020年に白石市の工場の年産能力を6千トンから5倍の約3万トンに高める予定。

<所感>
・原料が石灰とPPから考えると、なぜもっと昔に世に出なかったのかとは思う。
しかし基本的に特許が取れるということは誰もやっていなかったのだろうか。
昔から大理石(石灰石)とアクリル樹脂MMAとの混合製品はあった。
(粉体混合ではなくバルク板としての利用だが)
・LIMEXの発想・製品の元が台湾の「ストーンペーパー」だった(社長談他)のなら、
素材・技術がシンプルそうなので「日本発」というのは一寸気が引ける。
(「KAIZEN」が妥当?)。
・原料が自給出来る日本にとっても有用だが、水も木も少ない中東にとっては
ポスト石油としての期待もさぞ大きいだろうとおもわれる。今後のプラント建設に期待。
また開発途上国にとってもまずは採用しやすい自国の産業となりやすいだろう。
・現在の紙の一部はLIMEXに置き換わるだろうが、木からの紙も良い点は多いので、
値段を基準に棲み分けて行くのでは。
・木(パルプ)を原料とする現行の紙のリサイクルはよく分かるが、このLIMEXのリサイクル      はちょっと難しいと考えられる。
なぜなら樹脂がPPの製品だけでも単品で集めるの(分別することが)難しいのに、
今後多種の樹脂が使われてくることは必然。
環境性(エコロジー)を謳い、生分解性樹脂を多用されるならそもそもリサイクルそのものがなくなる。
・「アップサイクル」が出来る製品でもあった。
アップサイクルとは、リサイクルの上位概念で元の性能以上のもの(材質・製品等)に
生まれ変わらせるという意味。
今後いろいろな分野でこの言葉が好んで使われるようになりそうだ。

LIMEXが今後、素材としての発展と用途してどんな分野にどれだけ浸透(侵食)してゆくか、注目してゆきたい。

 

<参考サイト>
LIMEXとは
動画:地球を救え!石灰石からつくる革命的新素材「LIMEX
LIMEX(ライメックス)が秘める地球環境問題解決への可能性
数々の受賞
◯テレビ番組カンブリア宮殿出演

◯参考
ストーンペーパー

 

ペロブスカイト型次世代太陽電池の実用化近づく

世界中で日本発のペロブスカイト型という新型太陽電池の開発競争があり、実用化が近づいています。

太陽電池は地球に降り注ぐ膨大なエネルギーの太陽光から電気を発生させる物質の総称であり、たくさんの種類の太陽電池が研究されています。(更に詳細はNEDO太陽光発電

しかし現在は産業用・民生用としてはシリコン系が圧倒的に使われています。

シリコン系も単結晶型から多結晶型、アモルファル型へと進化し、モジュールの改良とも合わせ現在はそれら単独またはその組み合わせで使われています。

これらシリコン系の特徴としては、発電効率は20%程度とまだ低く、重い、硬い、割れやすいといった欠点や、製造時真空装置を使うなど生産が難しく、製造コストが高いといった問題があります。

変換効率だけならシリコン型を超えるものはいろいろあり、量子ドット型太陽電池に至っては
理論値は70%近くに達するとされています。

しかしシリコン系の最大の特徴は耐久性で約20年以とされ、これが現在の太陽電池市場での圧倒的地位を確率している所以です。

しかし最近このシリコン系に取って代わるとされる技術が日本の研究者によって生み出されました。
ご存知の方も多いと思いますが、2009年9月桐蔭横浜大学の宮坂力教授らが発表した
ペロブスカイト型太陽電池です。ノーベル賞候補にも選定されているほどです。

ペロブスカイト構造については後述するとして、この型の太陽電池の最大の長所は、発電基板の製造が超簡単にでき、使い勝手が非常に良くなるとされるものです。
例えば製造は基板となる薄いプラスチック板に液体の原料を塗って乾かすだけで済むつまり印刷方式で大量生産ができる様になるということです。

大量生産が可能となるため低コストとなり、また製品は薄く、軽いため、現行のシリコン基盤の様に平面パネル/架台での設置の必要はなく、曲面や壁などにも貼って使える様になるというものです。

このペロブスカイト型太陽電池が発表されてから、世界中の研究者が競って研究を始めており、開発当初は3.9%だったものが10%となり現在は20%くらいまで急激に向上してきています。現在の最高値は外国勢の22.7%です。(ただし試作面積の大きさが小さい場合は高めに出ている場合があり、一定の面積での性能評価必要があることに注意を要する。)
このペロブスカイト太陽電池の太陽光理論値は30%とされていましたが、2017.4パデュー大の60%超の可能性があるとの報告もあります。

実際大量生産(大面積)でも変換効率20%台が確保できれば、変換効率だけについて言えばほぼ十とも思われますが、問題は耐久性と有害な鉛を含有していることです。

耐久性の方は、日本で確認された100℃で2600時間の性能を維持したとか2,3年程度とか報告されていますが、シリコン製にはまだ遠く及びません。

鉛の問題については鉛を使わない(鉛フリー)での太陽電池の開発が進められています。

現在世界で、変換効率アップと耐久性アップの研究が精力的に研究されており、将来的には、効率はシリコン型太陽電池を上回り、耐久性は近いものが開発されるものと期待されています。

したがって当面はペロブスカイト型太陽電池がその特徴(軽い・薄い・曲がる)を活かしてシリコン型太陽電池市場を少しづつ侵食して行きながら発展して行くと考えられます。

 

以下簡単な説明と、参考サイトをご紹介します。

ペロブスカイトとは
もともと地球下部マントルの主要構成鉱物(MgSiO3)の結晶構造であり、模式的にはABX3という組成で、八面体構造の中心に金属元素がありその廻りを立法体構造が取り囲む形をしている。

人工物ではチタン酸バリウム(BaTiO3)があり、宮坂教授が開発した組成は下記のような(CH3NH3)PbI3と言う元素構成です。

ペロブスカイト太陽電池の各研究機関による成果の経緯についての詳細は最後に添付したリストをご参照下さい。
尚、茨城県つくば市にある物質・材料研究所(NIMS)の
4月22日の一般開放で展示されていたパネル写真をご参考までに添付します。

尚一般的な太陽光発電に関しての記述はここでは省略し、主題のペロブスカイト太陽電池に関しては最近の主な記事(サイト)を年代順位ご紹介しますので、適宜ご参照下さい。

今話題の「ペロブスカイト」って何?
2015年10月22日
ペロブスカイト太陽電池で変換効率18.2%を達成、年内に20%目指す。印刷で量産できる安価な次世代太陽電池へ一歩
新聞より薄い「曲がる」太陽電池、インクジェット印刷で実現 (1/2)
2016年10月11日 h
紙のようにロール印刷、ペロブスカイト太陽電池
2017年03月22日
鉛フリーで実現、期待の「ペロブスカイト太陽電池」
20170713
ノーベル賞候補で俄然注目、「ペロブスカイト太陽電池」開発前線
2017年09月21日
ペロブスカイト太陽電池の新材料を発見、スパコン「京」を活用
20171017
日本発の太陽電池ペロブスカイト、年内にも実用化 柔軟で透明、窓や衣類に用途広げる
2018.2.11

期待のペロブスカイト太陽電池、耐久性10倍のブレークスルー
20180319

ぺロブスカイト太陽電池の実用化へ前進、寿命・製造を改良する新材料2018年04月10日

世界の注目を集める日本発の太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」とは2018423

 

 

 

 

 

 

 

 

ホンダジェットHA-420が高評価で、納入数首位

当ブログは通常科学・技術関連の1テーマについて私見を含めてご紹介していますが、
今回は特に日本発の新技術による「夢が羽ばたく」嬉しい話をご紹介します。

最近
国産初の70~90人乗り小型旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の開発遅れに関するニュース記事をよく見かけます。
MRJは日本の小型旅客機の悲願として2008年3月に事業化が決定され、量産初号機の納入を当初2013年後半としスタートし、受注も解約オプションも含め400機以上ありました。
しかし当初の設計変更から当初の機体そのものの設計変更から、機材の配置替え等の変更等の対応でこれまで5度の納入延期となり、型式認証が取得出来ず、受注件数も増やせず苦しい状況になっています。
現在量産初号機納入予定は7年遅れの2020年半ばになっています。
今は早期の型式証明の取得に向け試験機の台数を増やすなどの対応がとられていますが、この間に競合会社(エンブラエルやボンバルディア)と大手との提携の動きが出て、競合環境が変わってきています。

一方、
ホンダがジェット機の研究を初めてから30年を掛け遂に開発した超小型ビジネスジェット機HA-420は、既存のジェット機に無い各種新技術の採用により、走行特性や燃費の良さ等の人気で、昨年2017年の超小型ジェット部門での納入機数ではセスナ社のM21を抜き世界一になる等非常に好調な状態です。

その主な特徴を列挙すると、
・米GEとの共同開発の新エンジンHF-120の採用。
・機体材料として炭素繊維(ノーメックスも)複合材を採用による軽量化と強度アップ(他社はアルミ合金)
・機体廻りの空気の流れの層流(NLF)化と特に翼の形状を改良したSHM-1翼の開発
・エンジン(2基)の主翼上面配置により広い室内(操縦席、客室、荷物室、化粧室)空間の確保と室内騒音の低減
・他社を上回る巡航速度、航続距離、飛行高度の達成
等々。

更にその技術革新性に対し今年2108年5月2日には米国航空宇宙学会(AIAA)より航空業界のノーベル賞と言われる「AIAAファンデーションアワード・フォー・エクセレンス」を受賞した。

販売対象顧客は富裕層、企業経営者からジェットタクシー会社、小型航空会社等へも広がっており、
販売地域もこれまでの米国中心から欧州、中南米他、中国等世界的に広がっている。

課題は、生産台数の増大(現在の月4,5台生産台数を7,8台に上げ100機/年)と思われるが、その他の懸念されるニュースは現在のところ見当たらない。

ホンダジェットに関連する各種メディアから抜粋した情報の概略を表にしてみましたが、
更に詳しくは、写真・動画、特集記事を集めた最後の参考サイトの一覧から適宜ご確認下さい。

機種名 ホンダジェットHA-420
航空事業会社 ホンダエアクラフトカンパニー(「HACI」(Honda Aircraft Company)
社長:藤野道格氏(東大航空工学科)
工 場 米ノースカロライナ州グリーンズボロ(本社工場)
機体区分 超小型機、ビジネスジェッット
価 格 約5億4千万円
機体の特徴 <体の大きさ>
長さ:12.99m 、翼幅:12.12m、高さ:4.54m
<搭乗人員>7人(含パイロット)(標準乗客5又は4人)
優れた点 ・燃費性能の良さ
・高い就航高度
・長い航続距離
革新技術の採用とその結果 自然層流翼型でありながら、十分な厚み(強度と燃料確保)があり、操縦特性に優れたSHM-1を開発。
エンジンを主翼上面に配置により広い客室と荷物室の確保とエンジンから伝わる騒音と振動の減少に成功。
更にエンジン位置の最適化により空気抵抗を低減し
高速飛行と低燃費を実現(他社より13~17%低い)
最新装置の採用による快適な操縦性の確保
飛行性能 最大巡航速度:420kt(時速778km)(他社339-404kt)航続距離:2185km(4名搭乗時) (1kt(ノット)=1852m/分)
最大巡航高度:13100m(43000ft)(他社35000-41000ft)
搭載エンジン HF120(推力950kg)(ホンダ開発のHF118を基に米GEと共同開発した改良型)、2基、
大きさ:直径54cm,長さ112cm
機体製造会社が自社でエンジン開発は世界では唯一(通常は専門の会社から調達する)
コックピット 広い空間と快適な操縦装置環境、次世代ディスプレイ(Garmin3000)設置
使用材質 一体成型複合材製胴体
胴体:炭素繊維(東邦レーヨン製)を使用。
機首と尾部:炭素繊維/ノ-メックスハニカム複合材
(競合他社はアルミ合金使用)
競合他社(機種) ・米国セスナ社のサイテーション(CJ1、CJ1+、M2)
・ブラジル、エンブラエル社(Phenom100/100E)
認証取得 2015年FAA(米連邦航空局)の認証取得済み
生産台数 現在4機/月今後6~7機
納入実績 2017年は43機(セスナ社のM2の39機を抜いて首位)
受注残 現在までに100機超
対象顧客 富裕層、ジェットタクシー会社、企業経営者
2017年納入実績(%) ホンダジェット(32),米セスナサイテーションM2(29)、シラスSF50(16)エンブラエルフェノム100(13)、米セスナムスタング(5)その他(5)
ホンダのジェット機事業のあゆみ ・1962年 本田宗一郎氏が軽飛行機の開発を宣言
・1986年 機体やエンジンの研究開始
・1997年「ホンダジェット計画」が正式スタート
・2001年 米国に研究拠点を設立
・2006年 航空機市場への参入を表明
・2006年「ホンダエアクラフト社」設立(藤野社長)
・2007年 米国で生産工場の建設を開始
・2012年 量産1号機の生産を開始
・2014年 量産1号機が初飛行
・2015年 米当局(FAA)から型式証明取得。1号機引き渡し
・2016年 欧州EASAから型式証明取得、欧州、中南米での受注開始 ・2018年5月 米国航空宇宙学会(AIAA)より、最も名誉ある「プレミアワード」の最高位と位置付けられる「AIAAファンデーションアワード・フォー・エクセレンス」を受賞

下記参考サイトには、比較的最近の記事や動画を集めて、ほぼ時系列に並べてみました。
題名から内容を類推して適当に選んでご覧下さい。
尚特にお薦めは◎で示しておきます。

<参考サイト>
ホンダ、航空エンジンで「シェア3割」の野望(記事)2014/10/21
日本初公開、独創的かつ革新的な「HondaJet」の特徴と歴史を解説
(細部写真も多数掲載)(記事)2015/4/24
HondaJet〜機内&コックピットをご案内(藤野道格社長の案内)(動画)2015/06/10 に公開

次の3連載サイトは特にお薦め。技術内容を解り易く解説。
ホンダジェットHA-420の現状(その1)—はじめに(記事)2016/06/12
ホンダジェットHA-420の現状(その2)—採用した革新的技術(記事)2016/06/12
ホンダジェットHA-420の現状(その3)—GE Honda HF120エンジン(記事)/06/12

空飛ぶクルマ「ホンダジェット」世界一の裏側(快挙を支えた「技術屋の王国」の秘密)(記事)2017年09月01日
小型ジェット機市場で世界一のシェア ホンダジェットの成功の秘密(記事)’17年11月7日
ホンダジェットに世界第1級の評価!その秘密をテストパイロットが明かす未来志向の先進の操作性(動画+説明文字)2018/02/24 に公開
【必見】ホンダジェットの秘密が満載!デモンストレーション飛行に操縦席や客室などがたっぷり見られます(英語動画)2018/03/30 に公開
ホンダジェット製造会社が全米航空宇宙学会の賞を受賞(記事)2018/4/6
ホンダジェットを操縦してみた!コクピット詳細と管制塔とのやり取り((乗った気分)英語、動画)2018/04/20 に公開

今後
ホンダジェットに関しては 今後新情報が出れば追加していく予定です。

一方
MRJに関しては、ホンダジェットよりはるかに多くの情報が発信されていますが、
こちらに付いてもまた適当な時期に纏めてご紹介します。
嬉しいニュースを待ちましょう。

ハーバー・ボッシュ法に代わる新アンモニア合成法

アンモニアはハーバー・ボッシュ法により現在世界で年間約1.7億トンが生産されその8割が肥料用(つまり食料増産)に向けられ、その他食品や医薬品原料として使用されている。

バーバー・ボッシュ法は、100年前にドイツで開発され、空気中の窒素と別途調達された水素を鉄系触媒下、高温(400~600℃)・高圧(100~200気圧)で作る方法であるが、現在まで製法は殆ど変わっていない。

このハーバー・ボッシュ法は大量生産には向いているが、大量のエネルギーを必要とし、また製造設備も莫大な費用が掛かるのが問題であった。

そこで世界中の化学者が新しい方法を探索するなかで、次の2つの技術の組み合わせで小規模生産型の新たな技術が注目されている。

1.新触媒
HB法では鉄系触媒を使用しているが高収率のため上記したように高温高圧の条件が必要であった。
これに対し、東工大の細野教授らは、セメント成分でもあるエレクトライドという酸化カルシウム、アルミナなどの化合物をベースにルテニウムの粒子をつけた触媒により、50気圧以下、300~350℃でアンモニアが合成できる触媒を開発した。(前回ブログご参照)

2.アンモニア分離ゼオライト膜
三菱ケミカルはアンモニアの合成反応で、反応静止物であるアンモニアだけを効率よく通し、未反応物質である水素や窒素をとおさない膜(ゼオライト膜)を開発した。
ただ、ゼオライト膜は本質的に高温・高圧に弱く、現状のハーバー・ボッシュ法には適用出来ない。
そこで東工大の触媒に着目し両者を組み合わせ小型で高い反応収率が得られる技術を開発した。
この技術によると、現状のハーバー・ボッシュ法の収率20~30%を大幅に上回る70%以上の収率が得られた。

この技術を使えば、現在の一箇所での集中大量生産方式から、ドラム缶程度の大きさでも年間数千トンのアンモニが生産出来るという。分散型生産になれば、大型設備や運搬が不要になる可能性を秘めている。

小型設備で容易にアンモニアが生産出来るようになれば、輸送コストが掛からない消費地(肥料として農業地区、工業原料として工場)での生産スタイルになることが考えられる。


アンモニア合成を促進する触媒については、細野教授が当初開発したエレクトライド(Ru・C12A7))以後も各種新触媒が開発されている。
例としては、バリウムを少量加えたカルシウムアミド(Ba-Ca(NH2)2)にルテニウムのナノ粒子を固定化した触媒、
東工大フロンティア材料研究所の原亨和教授と元素戦略センターの北野政明准教授の研究グループらによる新たなエレクトライドRu/Ca2N、

また科学技術振興機構(JST)、東京工業大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)らは、貴金属ではないランタンとコバルト、シリコンの金属間化合物(LaCoSi)を開発等がある。

更には東京大学、九州大学、科学技術振興機構(JST)によるニトロゲナーゼと呼ばれる酵素をモデルとした常温・常圧という温和な条件で窒素ガスをアンモニアへと変換する触媒の開発も進んでいる。

現在すでに上記の様にハーバー・ボッシュ法に取って代わる能力ある触媒の開発競争状態となってはいるが、今後更に新しい触媒も開発されると予想される。

最終的には、総合的に1つの触媒による方式となるか、各触媒に適した生産方式で棲み分けになるのか興味深いところではある。

私的には、マメ科植物の根に共生して窒素を固定する根粒菌のバイオミメティクスによる触媒を用いる生産方式を期待している。(昔のレンゲ畑はこの根粒菌が目的だったのです)

 

<参考サイト>
低温で高効率にアンモニアを合成できる触媒を開発、現行の工業用触媒に比べて3倍以上
ゼオライト膜
東工大など、貴金属を使わない金属間化合物アンモニア合成触媒を開発(LaCoSi)
世界最高の活性を示すアンモニア合成触媒の開発に成功(ニトロゲナーゼ模倣)
(~モリブデン錯体を触媒とした常温・常圧での窒素固定反応~)
アンモニア合成を通して人類を支えた研究者たち

リチウムイオン電池を大幅に超えるリチウム空気電池、ソフトバンクも参入

現在繰り返し使えるバッテリー(二次電池)はリチウムイオン電池が主流を占めているが、
電解質に有機性の液体を使用していることから発火や爆発等の安全性の問題があり、
さらにエコカーへの車載用電池としては蓄電容量(走行距離)や、耐久性(繰り返し充放電回数)が不十分とされ、更に高性能な電池が期待されている。

この期待に応じられるバッテリーとして、現在電解質に無機系個体電解質を使用する全個体電池の開発が、2022年頃の実用化を目指してトヨタ自動車を先頭に各社で進められている。これらの件についてはこれまでのブログで述べてきた。
(最新情報としては、非車載用の小型電池ではTDKが今年6月から生産予定とのこと)

一方、この全固体リチウムイオン電池は正極に希少資源のコバルトを使うという点や容量密度(走行距離)がまだ不十分のため、更にこれらの問題点を解決し、課題に対応し得る可能性のある電池として理論エネルギー密度が現行のリチウムイオン電池の5-10倍のリチウム-空気電池がある。(図の金属ー空気電池の領域)


このリチウム-空気電池は負極にリチウム金属を用い、正極に空気中の酸素を利用するもので、「究極の二次電池」とも言われ、現在世界的に研究開発が進められている。

物質・材料研究機構(NIMS)で開発されたリチウム空気二次電池の原理模式図


正極の空気(酸素)極、セパレータ―、負極のリチウム金属からなるシンプルな構造となっている。
この電池はコバルト等の希少資源を使う必要がなく、負極物質は空気を原料とするもので現行のリチウムイオン電池に比べて大幅な軽量化とコストダウンが期待されている。

リチウム空気電池の基本反応
放電(電気の取り出し)では、負極のリチウム金属からリチウムが溶けだし、リチウムがプラスイオンとなり、その時放出される電子が電流として外部回路に流れ仕事をする。
リチウムイオン(Li)の方はセパレータ―を通り、正極(多孔性カーボン)に達し空気中の酸素(O)と反応して過酸化リチウム(Li)となり正極の多孔性カーボン上に析出する。
充電は、外部からの電気エネルギーにより放電の逆つまり正極に蓄積した過酸化リチウムをリチウムイオンと酸素に分解し、陰極にリチウム金属にして戻す反応。

期待されるこのリチウム空気電池には以下の課題があった。
1)理論大容量の実現、
2)低いエネルギー効率と、短寿命

これらの課題に対して、NIMSは下の取り組みを行い大幅に改善した。
1)大容量の実現
正極のカーボンに不織布状のCNT(カーボンナノチューブ)シートの採用により達成。
これはCNT不織布の大きな表面積と柔軟な構造の寄与により、酸素の通りがよく、放電反応による過酸化リチウムが表面に析出してもCNTが変形し析出反応が制限されなくなった為と考えられている。また充電により元の形状に戻るため繰り返し回数の増加に寄与している。下図がその様子を示している。

2)低いエネルギー効率と短寿命
低いエネルギー効率の原因は、過酸化リチウムの分解が起こりにくいため充電電圧(過酸化リチウムの分解電圧)が放電電圧より高くなることによる。
また短寿命の原因は、充電時過酸化リチウムが分解されリチウム金属として負極に析出する際に、デンドライト状(樹枝状)になり、リチウム金属を劣化させると共に短絡を生じる。

この問題に対し、2017年7月31日、物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは同電池のエネルギー効率と寿命を大幅に改善する新たな電解液を開発したと発表した。

新しく開発された電解液は、臭化リチウム(Li)と硝酸リチウム(LNO)を含む混合電解これによって、充電電圧が3.5Vに、エネルギー効率の値77%まで大幅に向上した。
また、寿命低下の一因とされていたリチウム金属の樹枝状物質(デンドライト)の析出も防止することで、従来20回以下であった充放電サイクルを50回以上(現在はもっと大きな数字となっていると思われる)まで向上させた。

下の画像で概況を知り、正確には参考サイト2をご参照ください。


 

 

 

 

 

 

今年2018年4月11日ソフトバンク物質・材料研究機構(NIMS)は、今後のIoT時代に向けての各種デバイスやあらゆる産業に必要となる高性能電池の開発を目指し、先端技術開発センターを設置リチウム空気電池を共同で開発に着手すると発表した。(参考サイト3,4

これまでも数々の投資を行って成功させてきたソフトバンクが参入することで、リチウム空気電池の開発が一気に進む可能性もある。

一方トヨタ自動車は、車載用として全個体リチウムイオン電池を2020初頭に開発するとされていたが、リチウム空気電池も開発しており、その圧倒的容量の大きさ(走行距離)から今後の進展次第では車載用電池の実現が意外に早く来るかもしれない。

全個体電池、他の金属も含めてリチウム空気電池の今後の進展に注目していきたい。

 

<参考サイト>
1.(CNT不織布の正極)
  容量はリチウムイオン電池の15倍、超高容量の「空気電池」を開発 
2.(新電解液)
  リチウム空気電池のエネルギー効率と寿命を大幅に改善する電解液を開発
3.(SBNIMS)①
  究極の“リチウム空気電池”、ソフトバンクとNIMSが共同開発へ
4.(SBNIMS)②
   リチウム空気電池! ソフトバンクと物質・材料研究機構NIMSが共同開発に着手

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全固体電池が急速に具体化

現在EVを始めとする各種エコカーやスマホ等情報機器、その他IoT端末等にはリチウムイオン2次電池(LIB)が主流で使われている。
しかし、スマホ等では現在でも火災等が発生しており、リチウムイオン2次電池の安全性が大きな問題となっている。

また現在エコカーや飛行機用途ではより安全性を高めたバッテリーが使用されてはいるが、火災等の心配が全くなく、車載用バッテリーでは走行距離の増大、充電時間の短縮が強く要望されている。

可燃性を主体とするこれらの問題の主な原因が有機液体の電解質を使っている事にあるため、この電解質を燃えない固体電解質に置き換えた全固体2次電池の開発が世界中で研究されている。

スマホやIoT機器等の情報機器では安全性以外の性能はそれ程強く要望されていないが、車載用では、電解質を固体電解質即ち全個体電池にすることによる、安全性向上の他に、電池容量(走行距離)の増大、イオン伝導性の向上(充電時間の短縮)、耐久性の向上、容積の低減が期待されている。

全個体二次電池はこれまで大学や国の研究機関で試作結果はいくつか報告されているが、量産まで至った企業はない。いい個体電解質が開発されたとしても、最終的には正極、陰極を含めた原材料コスト、生産技術、量産コスト等が全てクリアされないと生産に至らない。

現在各メーカーの取り組み状況は以下の通り。(日経エレクトロニクス1月号より)
・車向け:トヨタ(2022年頃)、日立造船(2020年前)、Bosch(2020年頃)、サムソンSDI
・スマホ等向け:Fisker、
・I端末向けoT:TDK(2018年4月量産開始予定)、村田製作所、産総研と協業企業(2020年前)

尚、全固体電池に関する最新のニュースを紹介すると、
日本電気ガラス燃えず高性能な次世代電池、室温駆動に世界初成功
昨年11月日本電気硝子は正極材に結晶化ガラスを用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の室温駆動に成功した。(業界初)

特殊ガラスメーカーとして培った技術により、ガラスの軟化流動性を利用し、電池の固体電解質と一体化を図った高いイオン伝導性をもつNa系の結晶化ガラスを開発し、室温での電池駆動に成功した。
(これまで、ナトリウムは既にNaS電池として大型電力貯蔵用に使用されているが高温下での可動の必要性があり、電池が複雑で大型化しているため小型電池が望まれていた)

<その他参考サイト>
全固体リチウム電池、発明者が狙う次の一手
ショートしない全固体リチウム電池、世界最高レベルの導電率
電気自動車の充電時間を短縮できる全固体電池、トヨタと東工大が開発

 

<備考>
・セミナー全固体二次電池の基礎と最新動向」がある。
受講しなくとも、全固体二次電池に関する全体の様子が分かる。

 

世界のEV化は一気にはならない

近年排ガス規制に基づくエンジン車を規制し電動車の普及を目指した規制が世界の趨勢なっている。
現在明らかになっている世界の規制は以下の通り。
・英国・フランス・・・2040年までにガソリン・ディーゼル車の国内販売禁止。
・ノルウエー・・・・・2025年までにガソリン・ディーセル車の国内販売禁止。
・米国・・・・・・・・カリフォルニア州など10州が独自にZEV規制を導入。
ZEV(zero emission vehicle)とは排出ガスを一切出さない自動車のこと.
ZEV規制とは、米国カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air       Resources Board)が施行している制度で、州内で一定台数以上
自動車を販売するメーカーに対し、ZEVを一定比率(14% : 2017年現在) 以上販売することを義務付ける制度です。(HVは含まれていない)
・中国・・・・・・・・2019年に新エネルギー規制(NEV:New Energy Vehicle)が導入される。この規制は自動車メーカーは中国で年間生産・輸入量に応じて一定比のNEVを製造販売しなくてはならないというもの。
ただし対象はEV、PHV、FCVで日本勢が得意とするHVは含まれていない。
・欧州連合(EU)・・・CAFÉ(コーポト・アベレッジ・フュエール・エコノミー)とよばれる方法で、個別モデルでは無くメーカーの平均値で規制するのが特徴。2021年から規制される。(しかし2021年でこの欧州規制をクリア出来るのは中国企業傘下のボルボとトヨタ、仏ルノー・日産、印タタ傘下のJLRの4陣営のみと言われている。)

こうした各種規制の台頭により、特に世界最大の市場である中国の規制によりこれまでEVを最優先にしてこなかったメーカーも対応に追われている。
特に中国のNEV規制や米国ZEV規制ではHVが除外されているため、HVでは圧倒的に強かったトヨタもマツダと組みEVの開発に本格的に乗り出した。
しかも両社はEV用バッテリーを現在の有機液体型ではなく、発火の心配が無く、長寿命、省スペースが期待できる全個体電池の開発を2020年中ごろまでに行うとしている。

以上の様な規制の動向からEVの普及が一気に進む様な状況ではあったが、まだ課題も沢山ありそうはいかない事になってきているようだ。
例えば
・資源調達の問題や電池生産性が高くないことから電池の調達が間に合わない(米ステラ)
・電池性能がまだ不十分で航続距離が一般的にまだ足りない。
・充電時間に時間が掛かる。
・まだまだ電池の価格が高く車の価格に対するコストウェイトが高い。
・また重量も重く燃費を下げる原因でもある。本体を軽量化するには材料(アルミ等)高額となる。
・高速道路や住宅地などの人々の移動に関わる場所により多くの充電施設が少ない。
・ガソリン価格が安くなっているので革新性だけではゼロエミッション車は広がらない。
・エコカーとみなされなかったHVが色々姿・技術を変えて台頭してEV化を阻んでいる。
・規制に対応出来ないメーカーがある。
・これから車が増得るであろう新興国、発展途上国はまだガソリン車が主体
等。

上記の内技術的課題をクリアするための方策として各種の対応策が出されている。
その1.マイルドHV
欧州規制CAFÉをクリアするための対策

マイルドHVというのは、通常のHV(ストロングHV)と違い小さなモーター、電池系で、発進時の始動に補助的に使われる。利点は電圧が低い(48V)(ストロングHVは200V)ので安全機能にたいするコストが低い。燃費の改善は少ない(約1割)だが21年の欧州規制をクリアするためには、EVが間に合わない状況で注目されるようになった。ストロングHVでトヨタの先行を許した欧州勢大手が部品メーカーも巻き込んで規格を共通化しコストを削減する戦略で、カリフォルニアのZEV規制や中国のNEV規制とは異なった方式の規制だ。
従って欧州規制(平均燃費改善)にたいしてストロングHVは大きな優位性を持っている。
その2.シリーズHV
エンジンで発電しモーターだけで駆動する独自のハイブリッド技術「eパワー」は「シリーズ・ハイブリッド」
と呼ばれ、EVの様な加速性とガソリン車並の航続距離の両立で人気を呼びつつある。
その3.レンジエクステンダー
マツダは夢のエンジンと呼ばれたロータリーエンジンは一定の回転数で発電し続ける条件下であれば、小型高出力という特徴を活かせることで、航続距離を伸ばすレンジエクステンダーとして19年に復活させる見込みだ。
現在の米・中のCO2排ガス規制では前述の通り、HVはエコカーに含まれていない。
しかしEVが一気に広がるとも思われない各種状況のため、上述した方式による電動車が当面は並行して普及して行くと考えられている。

<参考サイトリスト>
ZEV参考サイト1(zero emission vehicle)
同2:
NEV参考サイト1.
 同2.
CAFÉ参考サイト
ハイブリッドカーの豆知識
マイルドHV参考サイト
シリーズHV参考サイト
レンジエクステンダー参考サイト

(本ブログは日経産業新聞18.3.8~のNEXT CARに挑む、攻防・電動化シリーズ①~④他を参照した)

今回のブログの主旨は、エコカーとして世界中の車が一気にEVになってしまうのではないかという現状だが、実はEV化にはいろいろ課題があって一気には増えずまだしばらくは時間が掛かりそうだということです。そうすると現在やや未来先取的な感じのあるFCVとも歩調があってくるのでは無いかと言うことです。

車に関しては、全体的な規制動向、技術動向、メーカーの機種・生産動向、その他色々ありなかなか全体把握が大変ですね。

今後車載用電池に関する新しいニュースが出たらまた紹介したいと思います。

ご訪問ありがとうございました。

身の回りにある微弱エネルギーで発電しIoTを回す

私達の身の回りには光、風、熱、振動、圧力、磁力などの微弱なエネルギーが溢れている。これらの身の回りの微弱エネルギーで電気を起こすことを一般に環境発電と呼んでいたが
最近ではエネルギーハーベスティング(微弱エネルギーの収穫)と呼ばれているようだ。
光と風とについては、ご存知の様に大規模な発電装置もでき一般電力としての利用も高まってきた。しかしその他は大きな電力を取り出す装置化に至らず十分活用されていない状態であった。

一方近年あらゆるものがネットに繋がるIoTが広がり、センサーや送信技術の発達と共にこの信号を送信するための分散電源の必要性が高まってきた。この電池はそれほど大きな容量はいらないが、一つ一つのIoT機器に必要なため、交換等の手間がかからない二次電池と発電機器が必要だ。其の発電機器として微弱な光や風、熱、振動、圧力、磁力等による発電装置が盛んに開発されるようになった。

其の具体例を幾つかご紹介したい。

1.温度差を利用する例

例1.マンホールのフタの裏に下水道の水位や温度、位置情報を測るセンサーを仕込んでセンサーで各データをとり、通信機器で其のデータをクラウドに送る。その電気は昼間太陽熱で照らされ熱くなったフタと底を流れる下水との温度差で熱電変換素子が熱を電気に変えることで得えられる。通常の電池では交換日管理や交換に手間や費用が掛かるが、温度差発電でそのコスト低減を図る。(後記の2サイトご参照)

クラウドwatchより

例2.コマツ子会社のKELKの装置は、工場機器の稼働熱と外気との温度差で発電し、温度や振動等のデータをクラウドに送信し、工場の機械の管理と実施する。その素子は2~3℃の温度差があれば100μwの電気を作り出せる。また超小型化を図り、ボルトの中に組み込んで使うタイプも開発が進んでいる。

2.微弱な光で発電する例

日陰や室内の僅かな明かりでも発電する「色素増感太陽電池」を使ったセンサーが開発されている。一般的な太陽電池は数万から数十万ルクスの光を必要とするが、フジクラの太陽電池は室内証明程度の300ルクスで24時間センサーを動かせる。フジクラが手がけるのは気温や湿度、人感など5つのセンサーを組み込んだユニット。光合成する植物の様に光を浴びた色素が電気を帯び電解液を通じて電極に電気を運ぶ。既に橋梁の橋桁等に設置され建て替え時期の見極めに使われてている。

3.磁力を使って発電する例

電源ケーブルが発している磁界をコイルで受け発電する超小型装置。現在普通の電流計はこの原理で発生した電気を測定しているが、大型過ぎ自動送信しない。
これを、工場などの設備の電源ケーブルにクリップの様な形状のセンサーを着けるだけで電流量を測定し、更に自動でデータをクラウドに送信することで設備一つ一つの消費電力を一箇所で管理出来る。

4.圧力を感じて発電する例

私案で恐縮だが、私が常々考えているのは、階段での発電だ。大きな駅では毎日何万人もの人が階段を利用する。床では人の足による圧力は体重程度しか無いが階段では登りも下りも勢いが付いているので体重以上の圧力がかかっている。これを利用しない手はないのではないか。もう一つは、車道の交差点やETCのゲート等一旦車が停車するところは圧力が得られるのではないでしょうか。今のところこれらの圧力発電の情報を十分集めてないので今後ウオッチして起きたいとおもいます。

と脱線しましたが、この原理を利用した例が東京都心の地下街に設置されている。
シャッターの降下時に人が挟まれると座板が押され内臓のバネが伸縮し、この動きで発電し無線でシャッターを止める信号を送るシステムだそうだ。

 

<参考サイト>
1.マンホールへの設置関蓮
◯環境から「収穫」した電力で自立するデバイス
富士通、マンホール蓋をセンサーノード化、ゲリラ豪雨対策の下水道氾濫検知ソリューション販売開始

 

 

その他面白そうなテーマとして、
公共の電波を電力に変える研究が進んでいる。

参考サイト:「環境電波の電力変換技術」って何だ?

本件で新しい情報を入手したらご紹介したい。

 

 

電気自動車EV用リチウム資源の現状

パソコンやスマホ等携帯電子機器等の電池はこれまでリチウムイオン電池が使われてきた。リチウムは全量輸入しているのだが資源問題はそれほど大きくは取り上げられなかった様に思う。
しかし、エコカーとしてのHVやPHV、特にEVには大量のリチウムイオン電池が必要なため、その主要原料であるリチウムが逼迫すると考えられてはきた。
以前からリチウムを使わない電池も研究・開発され始めてはいるが、すぐにリチウムに置き換わる電池はなく、当分の間はリチウムイオン電池が主流と考えられている。

リチウム資源獲得競争が始まったのは中国の自動車政策が原因だ。
中国は19年から自動車メーカーに一定比率のNEVの製造販売を義務付ける規則を導入すると発表した。
世界最大の自動車生産国となった中国が電気自動車EVへの転換を目指す方針を打出したため、電池の主要原料であるリチウム価格が高騰し、世界的なリチウム争奪戦が始まった。
中国は自国にリチウム資源を持つが、中国企業は今後の需要増を見越して現在世界の半分を生産するチリやアルゼンチンやアフリの鉱山を買収し、更に豪州の鉱山開発にも資本参加している。

日本もリチウムの安定確保の為、JOGMEC(日本の独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構)と住友商事等がウユニ湖でのリチウム開発をボリビア政府と締結した。
ウユニ塩湖リチウム資源産業化に向けた協力覚書を締結」

世界のリチウムの生産量、推定埋蔵量(日経新聞より)

(埋蔵量については、ウユニ塩湖を有するボリビアやブラジル、ロシアやカナダ等があり今後のUSGSのデータに注意する必要がある。)


オーストラリアが埋蔵量の割合に比べ生産量の割合が大きいのは、生産方式の違いに依る。チリなど南米では塩湖に含まれるリチウムを天日干しにして採取する手法で時間がかかる一方、オーストラリアでは鉱石から精製する仕組みのため南米の手法よりも効率がよいためだ。
南米のリチウムはいずれも塩湖から採取している。
チリはアタカマ塩湖。ボリビアはウユニ塩湖、アルゼンチンはリンコン塩湖がある。

(朝日新聞より)

最近ウユニ塩湖は観光で脚光を浴びているが、リチウムの生産でも今最も注目されている。

以下リチウム資源関連サイトを付記します。ご参考まで。
EV電池は塩湖生まれ

平成23年度資源案件に係わる民活インフラ案件形成等調査 ボリビア・ウユニ地域リチウム生産 副原料供給インフラ等調査 報告書

南米リチウム争奪戦 塩湖の底に世界の8割

 

尚最後に、現在は全量輸入に頼っている日本ですが、明るい未来を感じさせる記事がありますのでご紹介します。(本件についてはまた関連事項も含め後日また取り上げましょう)
JAEA、海水からリチウムを抽出する技術を開発

 

 

 

 

 

 

 

 

リチウムイオン電池はまだまだ進化する

EV(電気自動車)用バッテリーとしては現在リチウムイオン電池が使われているがこの電池はまだ性能的に不十分でまた液体の有機物を電解質としているため、液漏れ、燃焼等の危険性を含んでいる。この欠点を改良する方法として各社で固体の電解質を用いた全固体蓄電池の開発が進んでいる。
トヨタの予定としては2020年代前半に実用電池を開発し、2030年頃に量産しEVへの搭載が始まるとしている。(これについては前回のブロクご参照)しかしながら固体電池にも急速充電の問題(内部に結晶ができてショートする)や組立時の問題(電解質に硫黄が含まれているため空気に触れるとガスが発生する)の問題があり量産の見通しは立っていないため、一気に現行リチウムイオン電池に取って代わることにはならないと考えられている。

その間、従来のリチウムイオン電池もいろいろ性能向上が図られており、固体電池が完成しても簡単には置き換わらないと予想される。

(図は最後のサイト内より)

現在行われているリチウムイオン電池の改良の一部は以下の通り。

1.有機液体電解質の改良
有機電解液は主にリチウム塩(リチウムイオン)とこれを溶かす溶媒からなる。
一般に非常に多くのリチウム塩と溶媒があるが、以下に一例を示す。
・リチウム塩:LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)
・溶媒:EC(炭酸エチレン)、EMC(炭酸エチルメチル)など

1)横浜国立大の渡辺教授はこれまでに較べてリチウムイオン濃度を3倍にした電解質を開発した。
溶媒には「グライム*」と呼ぶ有機溶媒を使用した。この溶媒はリチウムイオンを囲む性質があり、これを混ぜる割合を工夫することでグライムのほぼ全ての分子がリチウムイオンに 結合する条件を見つけた。これによりこれまでリチウムイオンに結合していなかった自 由な分子が充放電の繰り返しで電子などと反応し電解液や電極の劣化する原因にな っていた。(*1,2‐ジメトキシエタン、ジメチルセロソルブ

2) 東京大学の山田敦夫教授らは2014年、濃厚電解質を使うことにより電池の充電時間を3分の1にすることに成功した。また2107年にはリン酸トリメチルと呼ぶ燃えにくい有機溶媒を活用し、火を近づけても引火せず、200℃まで加熱すると火を消す蒸気が発生するという消火剤としても働く濃厚電解質を開発した。

2.電極の改良
1)正極材の改良 
正極材には、①電圧が高い、②充放電効率が高い、③電極密度が高いことなど物性 求されるが、これらの性能をバランスよく満たす素材として、これまで民生用途では、コバルト酸リチウム(LiCoO2: LCO)が主に採用されていた。
しかし、コバルト材料は資源的な制約が多く、価格面も不安定かつ高騰するリ スクが高いため、代替材料の検討が進められている。

車載 リチウムイオンバッテリー用正極材としては、コバルト酸リチウム(LCO)以外にも3 元系(LiNiMnCoO2:NMC)、マンガン系(LiMn2O4 :LMO)、ニッケル系(LiNiCoAIO2:NCA)、鉄系(LiFePO4:LFP)など複数の材料系が実用化されていると共に、現在も改善・改良が進められている。
また、この他にも、(有機)硫黄系、固溶体系、ケイ酸塩系が次世代材料候補として注目されている。
このような状況の中で、光学ガラス大手のオハラは独自に開発したLICGCと呼ぶガラスの材料を正極に混ぜて使い試作した電池では出力や容量の向上、充電時間の短縮、零下20℃での充電での容量の増大を確認した。
また岡山大の寺西助教はリチウムイオンを引きつける性質を持つ金属酸化物に注目し、チタンやバリウムを含む物質を粒子にして正極の表面に付け試作した電池では通情の5倍の速さで充電することができた。

以上の様に、現行液体電解質リチウムイオン電池の改良で、充電が速く、容量が大きい等電池性能が高まればまだまだ次世代電池に取って変わられることはなさそうだが、はたしてどうか。

2)負極材の改良
現在リチウムイオン電池の負極材は黒鉛が主に用いられている。
さらに高容量の負極材がとしては理論的にはシリコン系合金が黒鉛に較べて10倍以上の容量(リチウムイオンを保持することが出来る)を持つと見込まれているため、各社が研究開発されている。
しかし充放電時の体積変化が400%にもなり、電極の構造破壊を引き起こしやすく、充放電サイクル寿命が短くなるという欠点があった。
電池メーカーは各社この問題の克服に苦心しているらしい。

最近のニュースでは
1)大阪のベンチャー企業アタッカート(参考1)が、リン酸やケイ酸の化合物を使うことで剥がれを防止する接着剤を開発し、充放電の繰り返しでも剥がれをなくすことに成功し、電極単体の性能は炭素材料の約10倍に向上し、電池としての容量が1.5倍になったとしている。
今後他社も技術開発が進めば、負極はシリコン系が主流となりそうだ。
参考1)ケイ酸系無機バインダーを用いたSi負極の電極特性

2)東芝は負極の材料にチタンとニオブの酸化物を使い微細な結晶が揃うように合成したところリチウムイオンが入り込み易くなり容量が高まった。其の結果従来の5倍の電流で充電が可能となり、6分間で容量の90%まで充電出来るようになった。従来は80%の充電に30分間かかっていた。また試作電池による充放電の繰り返し実験では5000回でも性能低下はなかった。マイナス10℃でも急速充電が出来た。炭素の負極に多くの電流で充電すると析出して性能が落ちたり、劣化が早まったりしていたがチタン・ニオブ酸化物はこうした問題が置きないという。今回320km走行の見通しが得られたが、今後6分間の充電で400kmの走行出来る電池の開発を目指すとしている。

今後車載用をメインとして現行リチウムイオンの性能向上と全固体リチウム電池及びポストリチウムイオン電池との開発競争から目が離せない。

<参考サイト>
リチウムイオン2次電池用電極材料

リチウムイオン電池における吉野彰博士の業績