エコプロ2017、ナノセルロース(CNF)展

先日(12/7,8,9)東京ビッグサイトで開催された「環境とエネルギーの未来展エコプロ2017」に行ってきた。
本イベントは環境に配慮した製品やサービスを展示し、「持続可能な社会の実現に向けて」をテーマに600以上の会社・団体が出展。
国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標Sustainable Development Goals)に対応し、リサイクル技術クリーンエネルギー関連の展示がされた。詳細は主催のHP参照
この中で特にCNF(セルロースファイバー)について各社資料を参考に其の一部をご紹介.

(ナノセルロースサイト写真から)
各社カタログを入手したが、偏り無く伝えていたのは産総研の資料だったので主にこれを元に説明します。

セルロースナノファイバー(CNF)とは、一言で言えば植物繊維をナノメートル単位にまで微細化した物です。

<製造プロセス>
植物(木、竹、草等)→チップ→脱リグニン→パルプ→下記A、B処理

A:パルプを化学薬品で前処理し物理的に解繊する。
TEMPO触媒酸化(下記注1~3)リン酸エステル化が使われ、
完全ナノ分散した約3ナノメートルの透明なCNFとなり工業用として幅広く活用される。
カルボキシメチル化(CMCしたものは数ナノから数百ナノとなり、食品・化粧品の増粘、分散安定剤として使われる。

B:パルプを前処理せず
①濃硫酸で分解する
セルロースの短繊維(ミクロフィブリル)が非結晶領域で分解され紡錘状の結晶が得られる。これはセルロースナノクリスタルと呼ばれている。(現在メーカーはカナダの2社のみ)
②機械処理だけでセルロースをほぐす
次の3工程で細かくする。
(1)剪断・・・約2500気圧に高めたパルプ分散液を極細のノズルを通して細く裂く
(2)衝突・・・2つのノズルから相対速度マッハ4の高速で溶液同士をぶつけて砕く。
(3)キャビテーション・・・ノズルから噴射する時に急激に圧力が下がり気泡が生じ、この気泡が破裂する時の衝撃で更に細かくなる。
これで約20nmの大きさになる。生産性は高く、低コストで製造出来る。

C:チップをそのまま解繊(解きほぐす)
セルロースの表面にリグニンが付着しており、分散もしていない。外観もリグニン由来の茶色となる。リグノセルロースとよばれる。

特殊セルロース:微生物を使って生合成する
糖質、グリセリンを原料として酢酸菌という微生物にセルロースを合成させる。
このセルロースは「バクテリアセルロース」と呼ばれ、食用、工業用に用いられる。

<特性と想定される用途>
1.軽量・高強度を利用

①プラスチックに添加・・・強化プラスチック(ヘルメット等)、発泡材料、
3Dプリンター用樹脂、防弾チョッキ、住宅建材
②ゴムに添加・・・・・タイヤ(カーボンブラック代替)、スポーツシューズ(靴底)、
③紙に添加
スピーカー振動板他、製紙用各種用途添加剤
2.透明性
透明保護フィルム
3.石英並の低熱膨張
電子基板、電子部品
4.ガス遮蔽性
食品包装用フィルム、電池部品
5.細孔の制御が可能
濾過材料、担持材料(細胞培養基材)、ドラッグデリバリー(DDS)システム
6.増粘性の制御が可能
増粘剤、塗料・インキ・顔料、化粧品、ガス・オイル掘削用
7.表面積が大きい
消臭機能のあるオムツ

注1)
化学処理のTEMPO酸化は、東京大学の磯貝明教授らのグループが開発し、高効率でCNFを調整する技術で、アメリカ化学会のAnselme Payen賞を受賞しました。

注2)
“森のノーベル賞”に日本人のセルロースナノファイバー研究が授賞

注3)
TEMPO酸化、少し詳しくはここから

<会場の写真及び展示パネル>
企業や大学・団体等の研究・開発状況を紹介する展示パネルを撮影したので幾つか貼付します。(尚スマホで撮影したので細かい字は見えず概要のみでご了承下さい)

 

最後に、環境省が主催するCNVプロジェクトをご紹介。

VはEVやFCVと同じVehicleつまり車であり、自動車の各種部品・部材をCNFで作成し、材料評価から実機搭載までを一気通貫で実施、早期社会実装に向けて貢献するというもの
京都大学が代表技業者となり大学、研究機関、企業等計21の機関で構成されている。

今後共製造技術進化と応用の高度化及び製品の多様化に注目して行きたい。

 

 

 

 

 

 

夢のマグネシウム合金、強さの秘密解明とその応用

飛行機の材料は強くてしかも軽い必要があり、現在で一般に良く知られている合金であるジュラルミン(超々ジュラルミン)が使われている。ジュラルミンはアルミニウムに銅、マグネシウム、亜鉛等を加えたもので其の技術はなんと戦前に開発されたものなのだ。
(ジュラルミンについて詳しくはここから。)

しかし更に軽くて強い材料が要望されており、其の一つの答えが、炭素繊維であり、既にボーイングのジェット機に使用されている。
ただ、炭素繊維は値段が高く、細かい賦形加工は難しい。
そこでジュラルミンや炭素繊維をコスト、性能で上回る材料(金属)が望まれている。

現在注目されているのはアルミより軽いマグネシウ合金だが、マグネシウム合金では、
これまで①燃え易い②弱いという2つの欠点が克服されていなかった。

しかし熊本大学の川村能人教授はこの問題をクリアした合金の開発に成功した。
KUMADAIマグネシウムとしてこれまで何度もニュースになりご存知の方も多いと思う。
KUMADAIマグネシウムの凄さについては、この動画1でよく分かる。

但し、今回のブログは、凄さの秘密を解説するのがメインなのだ。
記事の大半は、NHK、Eテレ「サイエンスZERO」(軽い、強い、燃えにくい、夢の新マグネシウム合金)から引用した。

新合金の開発は、(非マグネシウム研究者として)国の新規マグネシウム合金開発プロジェクトに招聘された熊本大学川村教授がマグネシウムに別の元素を加えて其の性能を調べる実験を繰り返し、遂にその配合を発見した。それはマグネシウム(Mg)亜鉛(Zn)1%とイットリウム(Y)2%を加えるという条件だった。

従来のマグネシウム合金と較べて新合金の特長は、
1.曲げに対する変形→従来品はすぐ曲がり曲がったままに対し、しなるだけですぐ元に戻る。
2.引張強度→従来品は200MPaに対し500MPaで従来の2.5倍
3.燃え難さ→従来品が610℃で燃えるのに対し、910℃まで燃えない

この性能が世界を驚かせた。

ただ開発話の中でいくつかの疑問が生じるが、これについての答えは以下の通り。
1.これまでに上記の組成は検討されなかったのか
→同じ組成はあったが入れる量が違っていた。
2.燃え難くなるのはどうしてか
→Y(イットリウム)が酸素を通さない膜を作るので燃えにくくなる。
3.他の研究者が同じ組成で作っても強度が出ないのはなぜか
→この答えは川村教授自身にも分からないままであった。

しかし
A)東大の安倍英司教授のSTEM顕微鏡による原子配列状態の観察結果、及び
B)京都大学の奥田浩司教授によるSpring8での放射光を使った解析により明らかになった。
即ち、
1)Mg(97)/Zn(1)/Y(2)の合金のSTEM写真を調べるとZn+Yの白い層とMgの黒い層が交互に規則正しく整列していた。
これは「長周期積層構造(LPSO構造)」と呼ばれているもの。

2)上記3成分を配合した状態から徐々に温度を上げながら合金が出来る状態を放射光で観測すると
①最初ZnとYはMgの中でバラバラの状態で存在、
②温度が挙がるとZnとYがくっつき始め166℃
③更に温度が上がるとこの塊が大きくなって行き(225℃→295℃
④そして自然に規則正しく並ぶ522℃

以上の現象は同じ配合で温度を上げてゆけば必ず出来ることを意味する。
それではなぜ川村教授が作った長周期積層構造の合金だけが強度がでるのか?

阿部教授が長周期積層構造(LPSO構造)を詳しく観察すると積層構造が折れ曲がった部分を見つけた。
顕微鏡の倍率を低くすると、三角形状となっている部分が沢山出来ていた。
この三角形は「キンク変形」と呼ばれ、これが強さの正体(原因)だった。
即ちキンク変形という結晶が歪んだ部分が入ると、次に全体を変形させようとした時、その変形に対する抵抗となっていることによることが判明した。
結論として、長周期積層構造(LPSO構造)+キンク変形が強さの秘密であった。
(詳しくは下記文献をご参照)
その1
その2.

それではなぜ川村教授が作った合金にはキンク変形が入るのか。

一般的な合金の作り方は、るつぼに金属の混合物を入れ、加熱して溶かし、鋳型に流し込んでゆっくり冷やし、鋳型から取り出す。原料を配合して溶かした後取り出す。
しかしこれには、キンク構造は入っていない。

その秘密は川村教授が昔から使っていた独特の方法にあった。
それは、金属混合物を溶かした後、小さな穴から噴出させ急冷しリボン状にする。
これを銅製の缶に詰め込んだ後、100トンの力で細長く押し出す。
この時、強い力で押されることでキンク変形が入り強くなっていたのだ。

では、通常の方法で溶かして作った合金を強い力で押し出し加工するとどうなるか?

果たせるかな(案の定as was expected)、強い金属が出来たのだ。

この長周期積層構造(LPSO構造)の合金を押し出し加工し、キンク変形させ強くする方法は材料工学分野では新発見であった。

その延長として、最近チタン合金アルミ合金についても強くなることが分かった。

この技術は一つの大きなブレークスルー技術となるかもしれず、
金属加工分野が大きく変わりそうだといわれている。

ここからは
軽くて、強くて燃えにくい新マグネシウム合金の応用研究について
1.航空機
(特に動画参照)
マグネシウム合金の航空機分野への応用が2014年に解禁された。
ただし、Mgの燃焼試験にパスしないといけないが、川村教授の合金は燃焼試験にパスした。
即ち航空機に使えるというお済み付きを貰ったわけだ。
2.自動車
当面はエンジンのピストン、ターボチャージャーの羽根等でエンジンの出力が上がり結果として燃費が良くなる。狙いは安価になった時のボディへの使用。(現行ハイテンを駆逐?)
3.宇宙
ロケット、衛星

上記1から3は燃費向上に寄与だが、以下は別の特徴が生かされた分野
4.医療
主成分であるMgの生体に対する特徴
・Mgは人体に必要なミネラルであり、人体に害はない。
・人体に吸収されやすい。
その他、Znも人体にあり、問題なく、Yについても特に記載はない。
製品への応用、
50ミクロンのワイヤーが出来る様になり、ステント(血管拡張器)への応用が期待されている。
ステントは現在ステンレスやチタンと樹脂で作られているが、ステンレス等では一生血管内に留まるため、血栓をサラサラにする薬を飲み続けなけらばならない。また樹脂では一定期間後に体に吸収されて無くなるものもあるが、金属の2倍の厚さが必要でその分血管が狭くなる。

その点、新Mg合金は薄く、細く出来、また生体中で吸収されるので、まさに理想的な材料かと期待されている。
現在はステント形成技術の検討とマウスによる実験が行われている。
今後は基礎、応用の両面から研究を進めてゆく必要がある。

一般に新材料が発見されてから実用化されるまでに30年位かかるので新マグネシウム合金も後14,5年は掛かるだろう。しかし一旦実用化されればジュラルミンの様に100年以上使われるだろう。

放送内では竹内MCは敢えてレアーアースを使うことについては言及しなかったが、
やはり日本としては、最終的にはレアーアースを使用しない技術を開発する必要がある。
茨城マグネシウム工業会もハッキリそう言っている。

終わりに、
やや古いが、この動画2もおすすめ。メカニズム的な話は無いが、新マグネシウム合金の全体がよく分かる。

またこれからの研究者にとっては(どの分野でもそうだと思うが)、川村教授が動画1で何度も口にされている「マッドルスルー」の覚悟が必要だろう。

これまでのマグネシウム合金全般について知りたい方には解りやすいサイトがあります。ここをご参照。

 

 

 

 

次世代自動車用バイオ樹脂の研究がすすむ

今自動車の軽量化を目的に新素材の研究が進んでいる。

車体用途では強度的に強く、軽いのはジェット機にも使われている炭素繊維だろう。
高級車には一部使われ始められたが価格が高く一般車への普及は大分先になりそうだ。

プラスチック素材なら軽くていいのだが、これまでは強度が不十分で塩ビのバンパーやアクリルのインパネなど一部に使用されてきただけであった。樹脂バンパーは壊れてもいいという前提なので使われている。しかし窓はそうはいかない。

窓は透明性が必須なのだが、アクリルやその他透明な樹脂では強度が足りない。
ポリカ―ボネイトは警察が使う盾になっているほど十分な強度はあるのだが、傷が付き易さを克服できていなかった。(表面硬化はあるが不十分)

これらの動きと平行に、非石油由来のプラスチック樹脂が二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減に役立つ新素材(バイオプラスチック)として注目を集めている。

新素材はこれまでの欠点だった熱に弱い性質を克服し金属やガラス等に代わりになる可能性を秘めている。

環境省も新素材を将来的に次世代自動車の部品の部品などに使う事を目指し技術面から地球温暖化防止対策を進めようとしている。

先ずは先行の製紙会社で研究がすすむ新素材セルロースナノファイバー(CNF)だ。
これにはこれまでにも当ブログに書いてきたので詳細は割愛します。(下のリンクご参照)

CNFは耐熱温度が最高約280℃のため、自動車のエンジン回りには使えない。

そこで注目されているのが本題の新素材だ。

1.バイオポリイミド
イミドと聞いただけですぐははーと思った人もいるでしょう。
北陸先端科学技術大学院大学の金子教授らは、植物から得られるブドウ糖を遺伝子操作した大腸菌によってアミノ桂皮酸に変化させた後、紫外線を当てて分子構造を変えて
熱に強いポリアミド樹脂を合成した。
耐熱性は400℃あり、エンジン回り部品への使用を第一とし、透明なので窓ガラスやライトカバーへの使用も想定されている。

2.リグノフェノール
 リグニンは良く知られているように、木材の繊維を束ねる接着剤の役割を果たしている物質だが、リグノフェノールはこのリグニンから抽出した粉状の素材で、他の樹脂と混ぜる事で軽くても丈夫で加工し易い素材になる。
高い断熱性があり燃えにくいため、車のボンネット裏の遮熱材や配線が通るコネクターなど、熱が生じやすいところに使える。金属部品に比べて15~50%重量を低減させることができると期待されている。(島根県の建設会社で開発が進む)
環境省は、上記の研究について、昨年から実証実験を始め、生産コスト削減や安定した供給方法を探っている。

目標は、先行して研究が進む木や竹由来のCNFと組み合わせることで、車体重量を10%削減した次世代自動車の実現だ。

(一部用語間違いがありましたので修正いたしました。遅くなりました。お詫び申し上げます。)

 

伝統工芸の技でつくるユニークなIoT機器

 

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及を見すえ、ユニークな機器の開発が進んでいる。

 

昨年、大ヒットした映画『君の名は』で主人公が身につけていたことで一躍注目されている日本の伝統工芸「組紐」が、脈拍や咳などを識別できる生体センサーとして、実用化されることになった。

 

 組紐は、細い絹糸や綿糸を編んで織り上げて作り、和装の帯締めや武具や刀剣の飾りに使われている工芸品。

その組紐を特別の機能を持つハイテク繊維で作れば応用の一つとしてセンサーが出来る。

 

関西大学システム理工学部の田實佳郎教授と帝人は、ポリ乳酸繊維を使用した圧電体に日本の伝統工芸である「組紐」の技術を用いたウェアラブルセンサー「圧電組紐」を開発した。

 

圧電体は、圧力を加えると電気エネルギーを発生し、逆に電気エネルギーを加えると伸縮する特性を有する物質の総称。

 

その特性を利用し、スイッチなどのセンサーやスピーカーなどのアクチュエーター(駆動体)として使用されている。

 

単に圧電繊維だけではどんな動きでも電気信号が発生し、何の信号かわからない。

研究チームは、紐の編み方や結び方を変えると、捉えたい動きを表す電気信号が強まるのに気づきいた。そしてコンピューターによるシミュレーションで電気信号の変化を繰り返し計算し不要な信号を相殺する組紐の条件を突き止めた。

チョーカーと呼ぶ組紐に加工すると首に掛けるだけで、食べ物を飲み込む動きを咳払いまで捉えた。更にスポーツウエアに組紐を縫い付けると全身の動きが分かる。

将来的には検出した信号をスマホで病院に送れば医者が見て遠隔診断も出来る。

今後の進歩が注目される。

 

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ブリジストンは天然ゴムの性能を上回る合成ゴムの開発に成功

ブリジストンはバイオマス素材からポリイソプレンゴムを作ることに成功した。

自動車用タイヤは半分がゴムでその他にスチールコードやカーボンブラック等様々な物で構成されている。そのゴムにはパラゴムノキから抽出する天然ゴムと石油由来の合成ゴムの2つがある。

天然ゴムは強度や耐久性に優れ、乗用車ではゴム全体の半分以上、建設機械用では全て天然ゴムが使われている程だ。

その天然ゴムには悲しい歴史がある。天然ゴムの生産地は旧来南米地域だったが1900年代に「南米葉枯病」という病気が流行し産地として消滅してしまった。

現在は東南アジアが主流だが、この先同じことが起こらないとは言えない。

ブリジストンはこの原料リスクを避けるための対策として、病害診断の確立や「グアユール」と呼ぶ代替植物を米国で栽培する等手を打ってきた。

またサトウキビやトウモロコシ等様々な植物を発酵させ、これから抽出して作るイソプレンを重合し、天然ゴムを超える耐久性を持つポリイソプレンゴム(IR)」も開発してきた。

ただこれまで反応の触媒として用いられた触媒では分子構造が天然ゴムと異なるという欠点があった。というのはIRには「シス」、「トランス」、「ビニル」と言う3つの分子構造が含まれており、この内ゴムの性能を左右する要素として大きいのはシス構造の比率だ。

天然ゴムではほぼ100%がシス構造となっているがこれまでのIRでは94から98%強までしか比率を高められず天然ゴムに比べ耐久性が劣っていた。

そこでブリジストンは今回新たに触媒の構造を変えた「ガドリニウム触媒」を開発しシス比率を最大99.9%まで高めることが出来るようになった。またタイヤに用いた時の低燃費性に係わる分子の長さのばらつきを小さくすることにも成功し、天然ゴムを超える耐久性と低燃費性を確保出来たという。

残る課題はコストで、現時点では天然ゴムは供給に不安はなく、価格も安いので、IRの量産化技術を編み出し、コストを下げる必要がある。

 

 

 

 

次世代航空機エンジンに日本の新素材

ボーイングの次世代大型ジェット機には初めてエンジンに日本の新素材が使われる予定だ。

航空機の燃費をよくするために各種の軽量化が図られている。

これまで最大の軽量化は胴体や翼の部分を従来のアルミ合金から炭素繊維に切り替えることで行われてきた。その炭素繊維の供給会社は主に東レだった。

炭素繊維(PAN系)の生産は日本企業3社(東レ、三菱ケミカル(合併前は三菱レイヨン)、東邦テナックス)で世界のほぼ6割から5割を占めている。(昔は7割以上だったが次第に減減少している)

今後も燃費向上のため機体全体への炭素繊維の使用は増えて行くものと見られている。

しかしながら更に燃費を良くするために現在注目されているのがエンジンだ。

米国ジェネラル・エレクトリック(GE)は次期大型機(777X)のジェットエンジンのタービンブレード等を従来のニッケル合金から新素材の炭化ケイ素(SiÇ)繊維素材に切り替える。

この繊維はCMCと呼ばれるセラミックスとの複合材に加工されたうえでエンジン部品に形成される。

この炭化ケイ素(SiC)繊維はニッケル合金に比べ重さが3分の1、耐熱温度が摂氏1800~2000度あるため、現在行っているエンジンの冷却をする必要がなくなりエンジン重量の軽減と高温燃焼による推力が向上し燃費が改善する。

炭化ケイ素(SiC)繊維を生産出来るのは現在世界で2社しか無い。

それが宇部興産日本カーボンで、両社が素材をGEに供給しGEが複合材に加工する。

宇部興産は25年までに宇部工場内に工場を新設し年間200トン体制を目指す。

GEも19年に米国内で100トン以上の能力の工場を立ち上げ日本カーボンと共同で増産する予定だ。

ボーイングの次期大型機777Xの後部胴体、中央翼、中部と前部胴体の製造は

夫々三菱重工、富士重工、川崎重工が東レから炭素繊維の供給を受け、製造する。(更に後方の飛行制御装置はナブテスコ)

米国は勿論世界で生産される航空機への日本企業の役割はこれからますます大きくなりそうだ。

 

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竹で新素材

新素材セルロースナノファイバー(CNF)は植物中の繊維(セルロース)をナノレベルにほぐして作る。これまでは製紙会社が得意の木材パルプを原料にしていた。

しかし日本には竹という植物もたくさんあり、特に最近放置竹林による被害が深刻化しており、対策に悩む自治体が新たな活用方として期待を集めている。

竹から作るCNFは他の樹木から作るCNFと比べてプラスチックなどの樹脂との馴染み易い。

中越パルプ工業は竹からCNFを作る技術を九大と確立した。今年6月から鹿児島県で商業生産を始める。木材パルプと合わせ年間100トンの予定。

鹿児島県は竹林面積が日本で一番。林野庁によると全国の竹林面積は16万1千ヘクタールで81年より約12%増加しているそうだ。

放置竹林の被害は京都で杉やヒノキが枯れる被害が、香川では台風時に土砂災害が起きている。

竹はこれまでは竹炭や紙、道路の舗装材などに加工されてはいるが需要は減っている。

同社は今春以降宮城県石巻市で年間500トン以上のCNFを生産出来るよう規模を拡大する予定だ。

最大の課題は1kg数千円とされるコストだ。原料となるパルプは1kg50円程度だが繊維をほぐす加工に手間がかかるためだ。

これまでに木材パルプからのCNFを使った商品としては、かすれにくく乾きやすいボールペン(三菱鉛筆)、消臭効果を高めた大人用おむつ(肌に触れない部分にCNFシート使用)(日本製紙)などがある。

更に最新技術製品への応用としては、透明ナノペーパーとして薄い太陽電池などへの応用開発がなされている。

 

“竹で新素材” の続きを読む

動き始めたCNF製車体研究

炭素繊維の次の新素材としてセルロースナノファイバー(CNF)の研究が盛んになってきた。CNFは鋼鉄の5分の1の重さで5倍の強度を持つため、強度が必要で重量を減らしたい自動車用途が本命と見られている。

この度京都大学とデンソー、環境省らはCNFを使い自動車の重量を1割軽くする研究を始めた。燃費が改善し走行時の二酸化炭素発生量を減らす。自動車の重量を1割軽くすると燃費が5%向上し、車1台が10万キロ走る時の二酸化炭素排出量を約0.5トン削減出来るそうだ。

環境省は17年度からの3年間で総額120億円規模を支援し、家電や住宅、産業機械にも用途を広げる方針。

共同研究には京大を中心に約20近くの企業や大学が加わる予定。その分担項目はパルプを薬品で効率よくほぐす量産技術を開発するグループ、空調やドアの部品などをシアsクスルクループ、試作車を作るグループに別れる。

実用化の最大の課題は一般の車体に使う鋼材に比べて高い価格の引き下げだ。

政府は地球温暖化対策を目指す「パリ協定」を受け、30年に温暖化ガスの排出を13年比で26%削減する目標を掲げる。削減の為の革新的技術は100件ほど考えられているがCNFは大いに期待されている。

なおCNFの液体としての利用・製品応用については、過去の記事で記述しているのでご参照願いたい。

また今後共CNFを始めとした新素材については新しい情報が入り次第記事を書く予定。乞うご期待。

 

 

植物が原料の新素材セルロースナノファイバー(CNF)

セルロースナノファイバーCNFは植物の構成成分であるセルロースに化学的、機械的処理を施して取り出した直径数~数十ナノメートルの極細繊維状物質で、重さ(軽さ)は鉄鋼の5分の1、強さは5倍以上とされ、熱による膨張収縮が少ないという特徴をもっています。

樹脂等に添加することで様々な機能を持つ素材を製造出来、国も経産省始め農水省、文科省も積極的に産業化を支援する体制に入っています。

原料が植物なので森林大国である日本が原料から自給出来る数少ない素材です。
その結果、木材産業、農業、製紙産業、柑橘類処理業等々植物廃棄物が出る日本全国でCNFを新たな地域産業に育てようと実用化を目指す連携組織が相次ぎ発足しています。

現在生活関連製品としては次のような用途が開発されています。
CNF使用による効果 →  基礎製品   →  市販商品
・粘りを増す      → インク、塗料、化粧品 →  ボールペン
・金属イオンを吸着   →  消臭性物質    →  紙おむつ
・高い透明度となる   → 透明フィルム    →  曲面ディスプレイ
・機密性が高い     → 高気密性シート   →  食品包装材
・軽くて強い      → ゴム、樹脂強化素材  → スポーツシューズ

しかしなんと言っても本命は自動車用途です。

今後は現在まだ高価な炭素繊維強化樹脂(CFRP)に置き換わる分野も多いと思われます。

これからのセルロースナノファイバーCNFの開発動向に注目して行きましょう。

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ナノカーボン(CNTの量産化)

前回カーボンナノチューブ(CNT)の概要についてご紹介しました。

カーボンナノチューブ(CNT)のそもそもの発見

1976年、前回紹介した遠藤守信氏が炭素繊維を作る過程で発見した。出来た原因は基板を磨いたときに落ちた鉄が触媒になり偶然に出来たと言う。その時は構造はわかっていないまま世界に報告された。同氏は日本の炭素繊維の研究・生産の草分け的存在なのだ。

カーボンナノチューブ(CNT)の構造解明と命名

1991年NECの基礎研にいた飯島澄男氏は炭素繊維を放電後の電極に出来た炭素の結晶を調べている時細長い結晶を発見しこれがCNTであり、その詳細な構造を解明し英科学誌ネイチャーに論文を発表した。

今回は生産の方について、発見当初及び最近の状況についてご紹介します。

昔は量産方法が見つからず、2005年頃は1g10万円以上もしていましたが、     最近は多層CNTについては同10円前後と1万分の1になり、            単層CNTについては同100円程度を目指した量産化が進んでいます。

現在の量産化の基礎技術2004年に産業総合研究所が開発した「スーパーグロース法」と呼ぶ方法です。

単層CNTの量産                              2015年11月には日本ゼオンがこの方法を使い山口県の徳山工場で世界初の単層CNTの量産工場を稼働させました。基板上に鉄などの触媒を塗布しベルトコンベアーに乗せて加熱する方式で生産量は年間2から3トンになるそうです。更に16年7月には産総研と共同で茨城県つくば市に共同研究施設を開設し、更なる低コスト量産技術及び研究の進展が期待されます。

多層CNTの量産                              これまで昭和電工川崎事業所で量産されていて、2015年9月から更にこれまでの5割増の年間200トンの生産を行っている。詳しくはここから