最初の科学技術記事は炭素特にナノカーボンのご紹介です。(リンク先からの戻りは←で)
元素の周期律表から言うとまず水素ではありますが、昔から炭素に興味がありましたので。最近の燃料電池を始めとする水素の話題は後日に。
ということで、炭素・カーボンですが、普通は有機物が不完全燃焼(蒸し焼き)後に残る黒い物質、元素記号はC、周期律表水素か6番めの元素。
この炭素Cは酸素や水素やその他窒素などと化合し有機物として、無数の化合物を形成し、地球上にあまねく存在しています。
この有機化合物の一般的なことは教科書に載っていますので、そちらを参照していただくとして、このブログでは最新の話題を取り上げます。
炭素だけの化合物と言えば地球上で最も硬いと言われるダイヤモンド、そして柔らかい黒鉛がありますが、これについては今回はスルーします。
ナノカーボンの比較的最近の大きな話題としては古い順に、
1996年にノーベル化学賞を受賞したフラーレンです。これは60個の炭素が結びついた分子です。その構造はサッカーボールと同じで正五角形が12枚、正六角形が20枚の面からなる球状炭素です。
グラフェンは上記黒鉛の一枚を剥がした構造で、六角形の炭素からなる薄いシートです。こ れは2010年にノーベル物理学賞を受賞しています。
そして本論のカーボンナノチューブ(CNT)です。
これは1976年遠藤守信・信州大学特別特任教授が作った炭素繊維の中にナノサイズの物質があることを電子顕微鏡で捉えて世界に先駆けて報告しています。
また1991年に飯島澄男氏がNECの基礎研究員だった時、この物質を電子顕微鏡で綿密に調べて詳細な構造を解明し、英科学誌「ネイチャー」に発表しました。
カーボンナノチューブCNTは炭素が六角形に結びつき、筒状の極細の炭素繊維。
その特徴は
①直径は1~数十ナノメートル(髪の毛の約1万分の1) ②引張強度は鉄の10倍、 ③熱の伝わり方は銅の10 倍 ④密度はアルミの半分、 ⑤電気的特性は銅の100倍(構造により性質が変わる) 等の性質により、今後の多方面への応用が期待されています。
発見からしばらくの間はサンプルが少量しか生産出来ず、非常に高価格だったため研究が進んでいいませんでした。
応用例を挙げると、①集積回路の小型化②送電線、耐熱ゴムの改良、③EVやHPVなどの次世代自動車の重要部品応用等多方面に及びます。
尚、筒状のカゴが単層の場合と多層からなる場合では電気特性を始めとした物理特性が大きく異なるため、現在それぞれ単独の量産化の開発研究が行われています。
最近注目を浴びて要るのは宇宙エレベーター。理論は随分前に出されていたのだが、静止軌道上の宇宙基地と地上を結ぶケーブルの素材が見つからなかったため、進展してなかったがCNTの発見でにわかに現実味を帯びてきました。
以上に関し詳細は次のサイトをご参照。→①易(優)しい解説 ②本家会社サイト ③論文
今後はCNTの応用面での新しい分野の開拓と既に応用面での発展。 これからCNT及びフラーレン、グラフェンの動向は要注目です。
最後に、CNTと同じナノカーボンであるフラーレンC60やグラフェンが既にノーベル賞を受賞しているので、さらに応用が進むであろう数年以内の受賞を期待しましょう。
尚高校生で上記のサイト①、②、を理解し、更に③に挑戦する人がいることを期待します。