近年排ガス規制に基づくエンジン車を規制し電動車の普及を目指した規制が世界の趨勢なっている。
現在明らかになっている世界の規制は以下の通り。
・英国・フランス・・・2040年までにガソリン・ディーゼル車の国内販売禁止。
・ノルウエー・・・・・2025年までにガソリン・ディーセル車の国内販売禁止。
・米国・・・・・・・・カリフォルニア州など10州が独自にZEV規制を導入。
ZEV(zero emission vehicle)とは排出ガスを一切出さない自動車のこと.
ZEV規制とは、米国カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)が施行している制度で、州内で一定台数以上
自動車を販売するメーカーに対し、ZEVを一定比率(14% : 2017年現在)以上販売する コとを義務付ける制度です。(HVは含まれていない)
・中国・・・・・・・・2019年に新エネルギー規制(NEV:New Energy Vehicle)が導入され る。この規制は自動車メーカーは中国で年間生産・輸入量に応じて一定比のNEVを製造 販売しなくてはならないというもの。
ただし対象はEV、PHV、FCVで日本勢が得意とするHVは含まれていない。
・欧州連合(EU)・・・CAFÉ(コーポト・アベレッジ・フュエール・エコノミー)とよばれる方法で、個別モデルでは無くメーカーの平均値で規制するのが特徴。2021年から規制される。(しかし2021年でこの欧州規制をクリア出来るのは中国企業傘下のボルボとトヨタ、仏ルノー・日産、印タタ傘下のJLRの4陣営のみと言われている。)
こうした各種規制の台頭により、特に世界最大の市場である中国の規制によりこれまでEVを最優先にしてこなかったメーカーも対応に追われている。
特に中国のNEV規制や米国ZEV規制ではHVが除外されているため、HVでは圧倒的に強かったトヨタもマツダと組みEVの開発に本格的に乗り出した。
しかも両社はEV用バッテリーを現在の有機液体型ではなく、発火の心配が無く、長寿命、省スペースが期待できる全個体電池の開発を2020年中ごろまでに行うとしている。
以上の様な規制の動向からEVの普及が一気に進む様な状況ではあったが、まだ課題も沢山ありそうはいかない事になってきているようだ。
例えば
・資源調達の問題や電池生産性が高くないことから電池の調達が間に合わない(米ステラ)
・電池性能がまだ不十分で航続距離が一般的にまだ足りない。
・充電時間に時間が掛かる。
・まだまだ電池の価格が高く車の価格に対するコストウェイトが高い。
・また重量も重く燃費を下げる原因でもある。本体を軽量化するには材料(アルミ等)高額となる。
・高速道路や住宅地などの人々の移動に関わる場所により多くの充電施設が少ない。
・ガソリン価格が安くなっているので革新性だけではゼロエミッション車は広がらない。
・エコカーとみなされなかったHVが色々姿・技術を変えて台頭してEV化を阻んでいる。
・規制に対応出来ないメーカーがある。
・これから車が増得るであろう新興国、発展途上国はまだガソリン車が主体
等。
上記の内技術的課題をクリアするための方策として各種の対応策が出されている。
その1.マイルドHV
欧州規制CAFÉをクリアするための対策
マイルドHVというのは、通常のHV(ストロングHV)と違い小さなモーター、電池系で、発進時の始動に補助的に使われる。利点は電圧が低い(48V)(ストロングHVは200V)ので安全機能にたいするコストが低い。燃費の改善は少ない(約1割)だが21年の欧州規制をクリアするためには、EVが間に合わない状況で注目されるようになった。ストロングHVでトヨタの先行を許した欧州勢大手が部品メーカーも巻き込んで規格を共通化しコストを削減する戦略で、カリフォルニアのZEV規制や中国のNEV規制とは異なった方式の規制だ。
従って欧州規制(平均燃費改善)にたいしてストロングHVは大きな優位性を持っている。
その2.シリーズHV
エンジンで発電しモーターだけで駆動する独自のハイブリッド技術「eパワー」は「シリーズ・ハイブリッド」
と呼ばれ、EVの様な加速性とガソリン車並の航続距離の両立で人気を呼びつつある。
その3.レンジエクステンダー
マツダは夢のエンジンと呼ばれたロータリーエンジンは一定の回転数で発電し続ける条件下であれば、小型高出力という特徴を活かせることで、航続距離を伸ばすレンジエクステンダーとして19年に復活させる見込みだ。
現在の米・中のCO2排ガス規制では前述の通り、HVはエコカーに含まれていない。
しかしEVが一気に広がるとも思われない各種状況のため、上述した方式による電動車が当面は並行して普及して行くと考えられている。
<参考サイトリスト>
・ZEV参考サイト1(zero emission vehicle)
同2:
・NEV参考サイト1.
同2.
・CAFÉ参考サイト
・ハイブリッドカーの豆知識
・マイルドHV参考サイト
・シリーズHV参考サイト
・レンジエクステンダー参考サイト
(本ブログは日経産業新聞18.3.8~のNEXT CARに挑む、攻防・電動化シリーズ①~④他を参照した)
今回のブログの主旨は、エコカーとして世界中の車が一気にEVになってしまうのではないかという現状だが、実はEV化にはいろいろ課題があって一気には増えずまだしばらくは時間が掛かりそうだということです。
そうすると現在やや未来先取的な感じのあるFCVとも歩調があってくるのでは無いかと言うことです。
車に関しては、全体的な規制動向、技術動向、メーカーの機種・生産動向、その他色々ありなかなか全体把握が大変ですね。
今後車載用電池に関する新しいニュースが出たらまた紹介したいと思います。
ご訪問ありがとうございました。