水銀ランプ代替LEDの開発状況

青色LEDで日本人3名がノーベル賞を受賞したことはまだ記憶に新しい。

この青によるLEDで既に開発されていた赤、緑のLEDと合わせ、完全な色の再現(いわゆる光の3原色)が出来る様になり、ディスプレイ商品の色表現が飛躍的に拡大した。
また白色光も三原色を使わずとも、青色LEDと黄色の蛍光塗料の組み合わせで作れるようになった。

光の波長は長い順に、赤→緑→青となるが、当然其の青より短い波長を発光するLEDも順に開発され、更に現在はもっと波長の短い領域のLEDの開発に移っている。

一般に紫外(線)は人間が直接浴びる影響は悪い場合が多いがが、工業的には重要であり、各社・機関が競ってその開発を行っている。

紫外線は波長 400–200 nm の近紫外線(near UV)、と波長 200–10 nm の遠紫外線と分けられる。
近紫外光は次の様にA、B、Cの3つの領域に区分されている。
UVA(320~400nm)、UVB(280~320nm)、UVC(200~280nm)
半導体発光素子では、200nm~350nmを深紫外といっている。

用途的には
・VAは樹脂硬化・接着や速乾印刷・塗装、コーティング、3Dプリンターなどに、
・UVBは、アトピー治療などの皮膚治療、農作物の病害防止、
・UVCは殺菌・浄水などに用いられる。

特に近年殺菌能力を有するUVC-LEDが注目されている。
というのはこれまで工業用水や民生用機器での殺菌には水銀ランプが使われていたが、
国際条約で毒性のある水銀を使用した機器の製造・輸出・輸入が2020年以製造降禁止となったため水銀ランプに替わる光源としてUVC-LEDが一躍注目されるようになった。

UVC-LEDの波長は265nmや275nmや280nmが多く採用されている。

これまでにUVC-LEDは開発はされていたが、殺菌光源として十分な出力を有するLEDが開発されていなかったが、半導体素子の基板素材や電極等の改良による発光量の増大、内部での吸収の低減、反射の増大等の改良により従来の出力レベルを大きく上回る成果が出て来ている。

理化学研究所:水銀ランプに迫る殺菌用の高効率深紫外LEDを実現
情報通信研究機構:150mW超(発光波長265nm)世界最高出力の深紫外LEDの開発に成功

民間会社も日亜化学工業、パナソニック、旭化成、トクヤマ(最近スタンレー電気に技術譲渡した)なども数多くあるが、特に日機装は深紫外LEDの研究・製品開発に関する情報をが発信されていたと思う。

 

今後も深紫外LEDの性能向上、量産化技術並びに更に遠紫外LED関連の情報に注意して行きたい。