ペロブスカイト型次世代太陽電池の実用化近づく

世界中で日本発のペロブスカイト型という新型太陽電池の開発競争があり、実用化が近づいています。

太陽電池は地球に降り注ぐ膨大なエネルギーの太陽光から電気を発生させる物質の総称であり、たくさんの種類の太陽電池が研究されています。(更に詳細はNEDO太陽光発電

しかし現在は産業用・民生用としてはシリコン系が圧倒的に使われています。

シリコン系も単結晶型から多結晶型、アモルファル型へと進化し、モジュールの改良とも合わせ現在はそれら単独またはその組み合わせで使われています。

これらシリコン系の特徴としては、発電効率は20%程度とまだ低く、重い、硬い、割れやすいといった欠点や、製造時真空装置を使うなど生産が難しく、製造コストが高いといった問題があります。

変換効率だけならシリコン型を超えるものはいろいろあり、量子ドット型太陽電池に至っては
理論値は70%近くに達するとされています。

しかしシリコン系の最大の特徴は耐久性で約20年以とされ、これが現在の太陽電池市場での圧倒的地位を確率している所以です。

しかし最近このシリコン系に取って代わるとされる技術が日本の研究者によって生み出されました。
ご存知の方も多いと思いますが、2009年9月桐蔭横浜大学の宮坂力教授らが発表した
ペロブスカイト型太陽電池です。ノーベル賞候補にも選定されているほどです。

ペロブスカイト構造については後述するとして、この型の太陽電池の最大の長所は、発電基板の製造が超簡単にでき、使い勝手が非常に良くなるとされるものです。
例えば製造は基板となる薄いプラスチック板に液体の原料を塗って乾かすだけで済むつまり印刷方式で大量生産ができる様になるということです。

大量生産が可能となるため低コストとなり、また製品は薄く、軽いため、現行のシリコン基盤の様に平面パネル/架台での設置の必要はなく、曲面や壁などにも貼って使える様になるというものです。

このペロブスカイト型太陽電池が発表されてから、世界中の研究者が競って研究を始めており、開発当初は3.9%だったものが10%となり現在は20%くらいまで急激に向上してきています。現在の最高値は外国勢の22.7%です。(ただし試作面積の大きさが小さい場合は高めに出ている場合があり、一定の面積での性能評価必要があることに注意を要する。)
このペロブスカイト太陽電池の太陽光理論値は30%とされていましたが、2017.4パデュー大の60%超の可能性があるとの報告もあります。

実際大量生産(大面積)でも変換効率20%台が確保できれば、変換効率だけについて言えばほぼ十とも思われますが、問題は耐久性と有害な鉛を含有していることです。

耐久性の方は、日本で確認された100℃で2600時間の性能を維持したとか2,3年程度とか報告されていますが、シリコン製にはまだ遠く及びません。

鉛の問題については鉛を使わない(鉛フリー)での太陽電池の開発が進められています。

現在世界で、変換効率アップと耐久性アップの研究が精力的に研究されており、将来的には、効率はシリコン型太陽電池を上回り、耐久性は近いものが開発されるものと期待されています。

したがって当面はペロブスカイト型太陽電池がその特徴(軽い・薄い・曲がる)を活かしてシリコン型太陽電池市場を少しづつ侵食して行きながら発展して行くと考えられます。

 

以下簡単な説明と、参考サイトをご紹介します。

ペロブスカイトとは
もともと地球下部マントルの主要構成鉱物(MgSiO3)の結晶構造であり、模式的にはABX3という組成で、八面体構造の中心に金属元素がありその廻りを立法体構造が取り囲む形をしている。

人工物ではチタン酸バリウム(BaTiO3)があり、宮坂教授が開発した組成は下記のような(CH3NH3)PbI3と言う元素構成です。

ペロブスカイト太陽電池の各研究機関による成果の経緯についての詳細は最後に添付したリストをご参照下さい。
尚、茨城県つくば市にある物質・材料研究所(NIMS)の
4月22日の一般開放で展示されていたパネル写真をご参考までに添付します。

尚一般的な太陽光発電に関しての記述はここでは省略し、主題のペロブスカイト太陽電池に関しては最近の主な記事(サイト)を年代順位ご紹介しますので、適宜ご参照下さい。

今話題の「ペロブスカイト」って何?
2015年10月22日
ペロブスカイト太陽電池で変換効率18.2%を達成、年内に20%目指す。印刷で量産できる安価な次世代太陽電池へ一歩
新聞より薄い「曲がる」太陽電池、インクジェット印刷で実現 (1/2)
2016年10月11日 h
紙のようにロール印刷、ペロブスカイト太陽電池
2017年03月22日
鉛フリーで実現、期待の「ペロブスカイト太陽電池」
20170713
ノーベル賞候補で俄然注目、「ペロブスカイト太陽電池」開発前線
2017年09月21日
ペロブスカイト太陽電池の新材料を発見、スパコン「京」を活用
20171017
日本発の太陽電池ペロブスカイト、年内にも実用化 柔軟で透明、窓や衣類に用途広げる
2018.2.11

期待のペロブスカイト太陽電池、耐久性10倍のブレークスルー
20180319

ぺロブスカイト太陽電池の実用化へ前進、寿命・製造を改良する新材料2018年04月10日

世界の注目を集める日本発の太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」とは2018423

 

 

 

 

 

 

 

 

リチウムイオン電池を大幅に超えるリチウム空気電池、ソフトバンクも参入

現在繰り返し使えるバッテリー(二次電池)はリチウムイオン電池が主流を占めているが、
電解質に有機性の液体を使用していることから発火や爆発等の安全性の問題があり、
さらにエコカーへの車載用電池としては蓄電容量(走行距離)や、耐久性(繰り返し充放電回数)が不十分とされ、更に高性能な電池が期待されている。

この期待に応じられるバッテリーとして、現在電解質に無機系個体電解質を使用する全個体電池の開発が、2022年頃の実用化を目指してトヨタ自動車を先頭に各社で進められている。これらの件についてはこれまでのブログで述べてきた。
(最新情報としては、非車載用の小型電池ではTDKが今年6月から生産予定とのこと)

一方、この全固体リチウムイオン電池は正極に希少資源のコバルトを使うという点や容量密度(走行距離)がまだ不十分のため、更にこれらの問題点を解決し、課題に対応し得る可能性のある電池として理論エネルギー密度が現行のリチウムイオン電池の5-10倍のリチウム-空気電池がある。(図の金属ー空気電池の領域)


このリチウム-空気電池は負極にリチウム金属を用い、正極に空気中の酸素を利用するもので、「究極の二次電池」とも言われ、現在世界的に研究開発が進められている。

物質・材料研究機構(NIMS)で開発されたリチウム空気二次電池の原理模式図


正極の空気(酸素)極、セパレータ―、負極のリチウム金属からなるシンプルな構造となっている。
この電池はコバルト等の希少資源を使う必要がなく、負極物質は空気を原料とするもので現行のリチウムイオン電池に比べて大幅な軽量化とコストダウンが期待されている。

リチウム空気電池の基本反応
放電(電気の取り出し)では、負極のリチウム金属からリチウムが溶けだし、リチウムがプラスイオンとなり、その時放出される電子が電流として外部回路に流れ仕事をする。
リチウムイオン(Li)の方はセパレータ―を通り、正極(多孔性カーボン)に達し空気中の酸素(O)と反応して過酸化リチウム(Li)となり正極の多孔性カーボン上に析出する。
充電は、外部からの電気エネルギーにより放電の逆つまり正極に蓄積した過酸化リチウムをリチウムイオンと酸素に分解し、陰極にリチウム金属にして戻す反応。

期待されるこのリチウム空気電池には以下の課題があった。
1)理論大容量の実現、
2)低いエネルギー効率と、短寿命

これらの課題に対して、NIMSは下の取り組みを行い大幅に改善した。
1)大容量の実現
正極のカーボンに不織布状のCNT(カーボンナノチューブ)シートの採用により達成。
これはCNT不織布の大きな表面積と柔軟な構造の寄与により、酸素の通りがよく、放電反応による過酸化リチウムが表面に析出してもCNTが変形し析出反応が制限されなくなった為と考えられている。また充電により元の形状に戻るため繰り返し回数の増加に寄与している。下図がその様子を示している。

2)低いエネルギー効率と短寿命
低いエネルギー効率の原因は、過酸化リチウムの分解が起こりにくいため充電電圧(過酸化リチウムの分解電圧)が放電電圧より高くなることによる。
また短寿命の原因は、充電時過酸化リチウムが分解されリチウム金属として負極に析出する際に、デンドライト状(樹枝状)になり、リチウム金属を劣化させると共に短絡を生じる。

この問題に対し、2017年7月31日、物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは同電池のエネルギー効率と寿命を大幅に改善する新たな電解液を開発したと発表した。

新しく開発された電解液は、臭化リチウム(Li)と硝酸リチウム(LNO)を含む混合電解これによって、充電電圧が3.5Vに、エネルギー効率の値77%まで大幅に向上した。
また、寿命低下の一因とされていたリチウム金属の樹枝状物質(デンドライト)の析出も防止することで、従来20回以下であった充放電サイクルを50回以上(現在はもっと大きな数字となっていると思われる)まで向上させた。

下の画像で概況を知り、正確には参考サイト2をご参照ください。


 

 

 

 

 

 

今年2018年4月11日ソフトバンク物質・材料研究機構(NIMS)は、今後のIoT時代に向けての各種デバイスやあらゆる産業に必要となる高性能電池の開発を目指し、先端技術開発センターを設置リチウム空気電池を共同で開発に着手すると発表した。(参考サイト3,4

これまでも数々の投資を行って成功させてきたソフトバンクが参入することで、リチウム空気電池の開発が一気に進む可能性もある。

一方トヨタ自動車は、車載用として全個体リチウムイオン電池を2020初頭に開発するとされていたが、リチウム空気電池も開発しており、その圧倒的容量の大きさ(走行距離)から今後の進展次第では車載用電池の実現が意外に早く来るかもしれない。

全個体電池、他の金属も含めてリチウム空気電池の今後の進展に注目していきたい。

 

<参考サイト>
1.(CNT不織布の正極)
  容量はリチウムイオン電池の15倍、超高容量の「空気電池」を開発 
2.(新電解液)
  リチウム空気電池のエネルギー効率と寿命を大幅に改善する電解液を開発
3.(SBNIMS)①
  究極の“リチウム空気電池”、ソフトバンクとNIMSが共同開発へ
4.(SBNIMS)②
   リチウム空気電池! ソフトバンクと物質・材料研究機構NIMSが共同開発に着手

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全固体電池が急速に具体化

現在EVを始めとする各種エコカーやスマホ等情報機器、その他IoT端末等にはリチウムイオン2次電池(LIB)が主流で使われている。
しかし、スマホ等では現在でも火災等が発生しており、リチウムイオン2次電池の安全性が大きな問題となっている。

また現在エコカーや飛行機用途ではより安全性を高めたバッテリーが使用されてはいるが、火災等の心配が全くなく、車載用バッテリーでは走行距離の増大、充電時間の短縮が強く要望されている。

可燃性を主体とするこれらの問題の主な原因が有機液体の電解質を使っている事にあるため、この電解質を燃えない固体電解質に置き換えた全固体2次電池の開発が世界中で研究されている。

スマホやIoT機器等の情報機器では安全性以外の性能はそれ程強く要望されていないが、車載用では、電解質を固体電解質即ち全個体電池にすることによる、安全性向上の他に、電池容量(走行距離)の増大、イオン伝導性の向上(充電時間の短縮)、耐久性の向上、容積の低減が期待されている。

全個体二次電池はこれまで大学や国の研究機関で試作結果はいくつか報告されているが、量産まで至った企業はない。いい個体電解質が開発されたとしても、最終的には正極、陰極を含めた原材料コスト、生産技術、量産コスト等が全てクリアされないと生産に至らない。

現在各メーカーの取り組み状況は以下の通り。(日経エレクトロニクス1月号より)
・車向け:トヨタ(2022年頃)、日立造船(2020年前)、Bosch(2020年頃)、サムソンSDI
・スマホ等向け:Fisker、
・I端末向けoT:TDK(2018年4月量産開始予定)、村田製作所、産総研と協業企業(2020年前)

尚、全固体電池に関する最新のニュースを紹介すると、
日本電気ガラス燃えず高性能な次世代電池、室温駆動に世界初成功
昨年11月日本電気硝子は正極材に結晶化ガラスを用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の室温駆動に成功した。(業界初)

特殊ガラスメーカーとして培った技術により、ガラスの軟化流動性を利用し、電池の固体電解質と一体化を図った高いイオン伝導性をもつNa系の結晶化ガラスを開発し、室温での電池駆動に成功した。
(これまで、ナトリウムは既にNaS電池として大型電力貯蔵用に使用されているが高温下での可動の必要性があり、電池が複雑で大型化しているため小型電池が望まれていた)

<その他参考サイト>
全固体リチウム電池、発明者が狙う次の一手
ショートしない全固体リチウム電池、世界最高レベルの導電率
電気自動車の充電時間を短縮できる全固体電池、トヨタと東工大が開発

 

<備考>
・セミナー全固体二次電池の基礎と最新動向」がある。
受講しなくとも、全固体二次電池に関する全体の様子が分かる。

 

身の回りにある微弱エネルギーで発電しIoTを回す

私達の身の回りには光、風、熱、振動、圧力、磁力などの微弱なエネルギーが溢れている。これらの身の回りの微弱エネルギーで電気を起こすことを一般に環境発電と呼んでいたが
最近ではエネルギーハーベスティング(微弱エネルギーの収穫)と呼ばれているようだ。
光と風とについては、ご存知の様に大規模な発電装置もでき一般電力としての利用も高まってきた。しかしその他は大きな電力を取り出す装置化に至らず十分活用されていない状態であった。

一方近年あらゆるものがネットに繋がるIoTが広がり、センサーや送信技術の発達と共にこの信号を送信するための分散電源の必要性が高まってきた。この電池はそれほど大きな容量はいらないが、一つ一つのIoT機器に必要なため、交換等の手間がかからない二次電池と発電機器が必要だ。其の発電機器として微弱な光や風、熱、振動、圧力、磁力等による発電装置が盛んに開発されるようになった。

其の具体例を幾つかご紹介したい。

1.温度差を利用する例

例1.マンホールのフタの裏に下水道の水位や温度、位置情報を測るセンサーを仕込んでセンサーで各データをとり、通信機器で其のデータをクラウドに送る。その電気は昼間太陽熱で照らされ熱くなったフタと底を流れる下水との温度差で熱電変換素子が熱を電気に変えることで得えられる。通常の電池では交換日管理や交換に手間や費用が掛かるが、温度差発電でそのコスト低減を図る。(後記の2サイトご参照)

クラウドwatchより

例2.コマツ子会社のKELKの装置は、工場機器の稼働熱と外気との温度差で発電し、温度や振動等のデータをクラウドに送信し、工場の機械の管理と実施する。その素子は2~3℃の温度差があれば100μwの電気を作り出せる。また超小型化を図り、ボルトの中に組み込んで使うタイプも開発が進んでいる。

2.微弱な光で発電する例

日陰や室内の僅かな明かりでも発電する「色素増感太陽電池」を使ったセンサーが開発されている。一般的な太陽電池は数万から数十万ルクスの光を必要とするが、フジクラの太陽電池は室内証明程度の300ルクスで24時間センサーを動かせる。フジクラが手がけるのは気温や湿度、人感など5つのセンサーを組み込んだユニット。光合成する植物の様に光を浴びた色素が電気を帯び電解液を通じて電極に電気を運ぶ。既に橋梁の橋桁等に設置され建て替え時期の見極めに使われてている。

3.磁力を使って発電する例

電源ケーブルが発している磁界をコイルで受け発電する超小型装置。現在普通の電流計はこの原理で発生した電気を測定しているが、大型過ぎ自動送信しない。
これを、工場などの設備の電源ケーブルにクリップの様な形状のセンサーを着けるだけで電流量を測定し、更に自動でデータをクラウドに送信することで設備一つ一つの消費電力を一箇所で管理出来る。

4.圧力を感じて発電する例

私案で恐縮だが、私が常々考えているのは、階段での発電だ。大きな駅では毎日何万人もの人が階段を利用する。床では人の足による圧力は体重程度しか無いが階段では登りも下りも勢いが付いているので体重以上の圧力がかかっている。これを利用しない手はないのではないか。もう一つは、車道の交差点やETCのゲート等一旦車が停車するところは圧力が得られるのではないでしょうか。今のところこれらの圧力発電の情報を十分集めてないので今後ウオッチして起きたいとおもいます。

と脱線しましたが、この原理を利用した例が東京都心の地下街に設置されている。
シャッターの降下時に人が挟まれると座板が押され内臓のバネが伸縮し、この動きで発電し無線でシャッターを止める信号を送るシステムだそうだ。

 

<参考サイト>
1.マンホールへの設置関蓮
◯環境から「収穫」した電力で自立するデバイス
富士通、マンホール蓋をセンサーノード化、ゲリラ豪雨対策の下水道氾濫検知ソリューション販売開始

 

 

その他面白そうなテーマとして、
公共の電波を電力に変える研究が進んでいる。

参考サイト:「環境電波の電力変換技術」って何だ?

本件で新しい情報を入手したらご紹介したい。

 

 

電気自動車EV用リチウム資源の現状

パソコンやスマホ等携帯電子機器等の電池はこれまでリチウムイオン電池が使われてきた。リチウムは全量輸入しているのだが資源問題はそれほど大きくは取り上げられなかった様に思う。
しかし、エコカーとしてのHVやPHV、特にEVには大量のリチウムイオン電池が必要なため、その主要原料であるリチウムが逼迫すると考えられてはきた。
以前からリチウムを使わない電池も研究・開発され始めてはいるが、すぐにリチウムに置き換わる電池はなく、当分の間はリチウムイオン電池が主流と考えられている。

リチウム資源獲得競争が始まったのは中国の自動車政策が原因だ。
中国は19年から自動車メーカーに一定比率のNEVの製造販売を義務付ける規則を導入すると発表した。
世界最大の自動車生産国となった中国が電気自動車EVへの転換を目指す方針を打出したため、電池の主要原料であるリチウム価格が高騰し、世界的なリチウム争奪戦が始まった。
中国は自国にリチウム資源を持つが、中国企業は今後の需要増を見越して現在世界の半分を生産するチリやアルゼンチンやアフリの鉱山を買収し、更に豪州の鉱山開発にも資本参加している。

日本もリチウムの安定確保の為、JOGMEC(日本の独立行政法人、石油天然ガス・金属鉱物資源機構)と住友商事等がウユニ湖でのリチウム開発をボリビア政府と締結した。
ウユニ塩湖リチウム資源産業化に向けた協力覚書を締結」

世界のリチウムの生産量、推定埋蔵量(日経新聞より)

(埋蔵量については、ウユニ塩湖を有するボリビアやブラジル、ロシアやカナダ等があり今後のUSGSのデータに注意する必要がある。)


オーストラリアが埋蔵量の割合に比べ生産量の割合が大きいのは、生産方式の違いに依る。チリなど南米では塩湖に含まれるリチウムを天日干しにして採取する手法で時間がかかる一方、オーストラリアでは鉱石から精製する仕組みのため南米の手法よりも効率がよいためだ。
南米のリチウムはいずれも塩湖から採取している。
チリはアタカマ塩湖。ボリビアはウユニ塩湖、アルゼンチンはリンコン塩湖がある。

(朝日新聞より)

最近ウユニ塩湖は観光で脚光を浴びているが、リチウムの生産でも今最も注目されている。

以下リチウム資源関連サイトを付記します。ご参考まで。
EV電池は塩湖生まれ

平成23年度資源案件に係わる民活インフラ案件形成等調査 ボリビア・ウユニ地域リチウム生産 副原料供給インフラ等調査 報告書

南米リチウム争奪戦 塩湖の底に世界の8割

 

尚最後に、現在は全量輸入に頼っている日本ですが、明るい未来を感じさせる記事がありますのでご紹介します。(本件についてはまた関連事項も含め後日また取り上げましょう)
JAEA、海水からリチウムを抽出する技術を開発

 

 

 

 

 

 

 

 

リチウムイオン電池はまだまだ進化する

EV(電気自動車)用バッテリーとしては現在リチウムイオン電池が使われているがこの電池はまだ性能的に不十分でまた液体の有機物を電解質としているため、液漏れ、燃焼等の危険性を含んでいる。この欠点を改良する方法として各社で固体の電解質を用いた全固体蓄電池の開発が進んでいる。
トヨタの予定としては2020年代前半に実用電池を開発し、2030年頃に量産しEVへの搭載が始まるとしている。(これについては前回のブロクご参照)しかしながら固体電池にも急速充電の問題(内部に結晶ができてショートする)や組立時の問題(電解質に硫黄が含まれているため空気に触れるとガスが発生する)の問題があり量産の見通しは立っていないため、一気に現行リチウムイオン電池に取って代わることにはならないと考えられている。

その間、従来のリチウムイオン電池もいろいろ性能向上が図られており、固体電池が完成しても簡単には置き換わらないと予想される。

(図は最後のサイト内より)

現在行われているリチウムイオン電池の改良の一部は以下の通り。

1.有機液体電解質の改良
有機電解液は主にリチウム塩(リチウムイオン)とこれを溶かす溶媒からなる。
一般に非常に多くのリチウム塩と溶媒があるが、以下に一例を示す。
・リチウム塩:LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)
・溶媒:EC(炭酸エチレン)、EMC(炭酸エチルメチル)など

1)横浜国立大の渡辺教授はこれまでに較べてリチウムイオン濃度を3倍にした電解質を開発した。
溶媒には「グライム*」と呼ぶ有機溶媒を使用した。この溶媒はリチウムイオンを囲む性質があり、これを混ぜる割合を工夫することでグライムのほぼ全ての分子がリチウムイオンに 結合する条件を見つけた。これによりこれまでリチウムイオンに結合していなかった自 由な分子が充放電の繰り返しで電子などと反応し電解液や電極の劣化する原因にな っていた。(*1,2‐ジメトキシエタン、ジメチルセロソルブ

2) 東京大学の山田敦夫教授らは2014年、濃厚電解質を使うことにより電池の充電時間を3分の1にすることに成功した。また2107年にはリン酸トリメチルと呼ぶ燃えにくい有機溶媒を活用し、火を近づけても引火せず、200℃まで加熱すると火を消す蒸気が発生するという消火剤としても働く濃厚電解質を開発した。

2.電極の改良
1)正極材の改良 
正極材には、①電圧が高い、②充放電効率が高い、③電極密度が高いことなど物性 求されるが、これらの性能をバランスよく満たす素材として、これまで民生用途では、コバルト酸リチウム(LiCoO2: LCO)が主に採用されていた。
しかし、コバルト材料は資源的な制約が多く、価格面も不安定かつ高騰するリ スクが高いため、代替材料の検討が進められている。

車載 リチウムイオンバッテリー用正極材としては、コバルト酸リチウム(LCO)以外にも3 元系(LiNiMnCoO2:NMC)、マンガン系(LiMn2O4 :LMO)、ニッケル系(LiNiCoAIO2:NCA)、鉄系(LiFePO4:LFP)など複数の材料系が実用化されていると共に、現在も改善・改良が進められている。
また、この他にも、(有機)硫黄系、固溶体系、ケイ酸塩系が次世代材料候補として注目されている。
このような状況の中で、光学ガラス大手のオハラは独自に開発したLICGCと呼ぶガラスの材料を正極に混ぜて使い試作した電池では出力や容量の向上、充電時間の短縮、零下20℃での充電での容量の増大を確認した。
また岡山大の寺西助教はリチウムイオンを引きつける性質を持つ金属酸化物に注目し、チタンやバリウムを含む物質を粒子にして正極の表面に付け試作した電池では通情の5倍の速さで充電することができた。

以上の様に、現行液体電解質リチウムイオン電池の改良で、充電が速く、容量が大きい等電池性能が高まればまだまだ次世代電池に取って変わられることはなさそうだが、はたしてどうか。

2)負極材の改良
現在リチウムイオン電池の負極材は黒鉛が主に用いられている。
さらに高容量の負極材がとしては理論的にはシリコン系合金が黒鉛に較べて10倍以上の容量(リチウムイオンを保持することが出来る)を持つと見込まれているため、各社が研究開発されている。
しかし充放電時の体積変化が400%にもなり、電極の構造破壊を引き起こしやすく、充放電サイクル寿命が短くなるという欠点があった。
電池メーカーは各社この問題の克服に苦心しているらしい。

最近のニュースでは
1)大阪のベンチャー企業アタッカート(参考1)が、リン酸やケイ酸の化合物を使うことで剥がれを防止する接着剤を開発し、充放電の繰り返しでも剥がれをなくすことに成功し、電極単体の性能は炭素材料の約10倍に向上し、電池としての容量が1.5倍になったとしている。
今後他社も技術開発が進めば、負極はシリコン系が主流となりそうだ。
参考1)ケイ酸系無機バインダーを用いたSi負極の電極特性

2)東芝は負極の材料にチタンとニオブの酸化物を使い微細な結晶が揃うように合成したところリチウムイオンが入り込み易くなり容量が高まった。其の結果従来の5倍の電流で充電が可能となり、6分間で容量の90%まで充電出来るようになった。従来は80%の充電に30分間かかっていた。また試作電池による充放電の繰り返し実験では5000回でも性能低下はなかった。マイナス10℃でも急速充電が出来た。炭素の負極に多くの電流で充電すると析出して性能が落ちたり、劣化が早まったりしていたがチタン・ニオブ酸化物はこうした問題が置きないという。今回320km走行の見通しが得られたが、今後6分間の充電で400kmの走行出来る電池の開発を目指すとしている。

今後車載用をメインとして現行リチウムイオンの性能向上と全固体リチウム電池及びポストリチウムイオン電池との開発競争から目が離せない。

<参考サイト>
リチウムイオン2次電池用電極材料

リチウムイオン電池における吉野彰博士の業績

 

 

 

 

 

電気自動車(EV)用「全固体電池」が進化中

ガソリン車に変わる次世代のエコカーとして10年程前まではFCV(燃料電池車)が本命視され、水素供給基地等のインフラが整備されるまでの繋ぎとして、ハイブリッド車(HV)が位置するだろうと考えられていた時期があった。
電気自動車(EV)は電池が高価でその性能が低く、航続距離がガソリン車と太刀打ち出来なかったためだ。

しかし電池(リチウムイオン電池)の性能が上がり、環境対策として欧米の政策や大消費国中国の国策等の影響から、近年世界の潮流は圧倒的に電気自動車(EV)が主流になって来た。
それでこれまでHV、PHV、EVと距離を置いていた(かのように見えた)トヨタも大勢力をつぎ込みEVの開発に乗り出した。
そして車載用電池としてリチウムイオン電池に換わる全固体型電池が本命視されている。

現在エコカーと呼ばれているハイブリッド車(HV)、プラグインHV車(PHV)、そして電気自動車(EV)はいずれもリチウムイオン電池を使用している。

そのリチウムイオン電池はリチウムイオンの通り道として有機液体電解質が使われており
電池性能として航続距離が短い、充電時間が長い、そして液漏れや発火等の安全性の問題がある。

特に安全性の問題に関しては燃えない物質でできないか、液漏れしない固体できないかと20年以上前から考えられていたのだが、リチウムイオンがスムーズに流れる(イオン伝導率が高い)固体電解質の開発が成功しなかった。

◯固体電解質の開発
2011年トヨタと東工大の菅野了次教授(参考2-1)が共同で従来の液体電解質よりリチウムイオンを通し易い新しい固体電解質を開発した。リチウムイオンの通り易さを示すイオン伝導率の数値で従来の電解液を超えた。
更に2016年には塩素イオンを加えることによりイオン伝導率が従来の液体の電解液に較べて2倍、出力は3倍以上となった。
イオンが動きやすくなると電池の出力が高まり、EVでの発進や加速などが向上することが期待される。
これで全固体型蓄電池(参考2-2)の可能性が一気に高まった。
充放電を1000回繰り返しても容量は殆ど落ちなかった。
急速充電の可能性も期待される

◯負極材料の開発
物質・材料研究機構の高田副拠点長は従来一般的に使われてきた炭素をシリコンに置き換えた新しい負極を開発した。
この負極は容量が既存のリチウムイオン電池の約10倍となり電池全体の容量は1.5倍に増大した。
但しシリコンは充電する時に体積が4倍に膨らむためこれを抑制した上での産化技術が検討されている。

◯正極材料の開発
大阪府立大学の辰巳教授らは、正極材料に硫化リチウムを混ぜた物を使用し、リチウムイオンを動きやすくした。結果正極の容量も2倍超となった。この試作電池はでは2000回の充放電の繰り返しにも劣化しなかった。

◯更なる耐久性向上
太陽誘電は電極材料のコバルトを電解質にも加え、固体電解質を電極と一緒に焼き固めた電池を試作し、4000回の充放電を繰り返しても当初の8割の容量を保つことを確認した。

上記の様に期待を集める全固体型リチウムイオン電池だが、固体電解質にはまだ
1.急速充電で内部に結晶ができショートする問題
2.開発された固体電解質は硫黄を含んでいるため空気中の水分に触れるとガスが発生する等の問題がある。
これらの問題解決と更に量産化技術の確立が控えている。
これら成果と問題を俯瞰しながら、自動車会社、化学系各社が競って固体電解質使用の全固体リチウムイオン電池の開発を競っている。

  上記の現状まとめ(12/9日経産業新聞参考)

高出力全固体電池の開発の現状と将来性
特性 リチウム

イオン電池

全固体電池
現在 将来
出力 新材料で改善
容量 電極要改善
寿命 一部十分な結果あり
急速充電 内部結晶発生
量産 水分でガス発生

上記の様に現状は全固体型電池は開発途上であり、特に化学反応のメカニズム解明が必要と考えられている。

 

EV で出遅れていたトヨタは2020年代前半までの実用化に向け、EV用次世代バッテリー「全固体電池」の開発を急いでいる。


そしてハイブリッド車(HV)などを含めた電動車の販売を2030年ころに全販売台数の50%程度まで引き上げる計画を明らかにした。具体的には、電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)で100万台、HVとプラグインハイブリッド車(PHV)で450万台、合計550万台の電動車販売を目指す。

またEVを2010年に出していた日産は20年代の後半に固体電池での実用化を目指すとしている。
全固体電池は、自動車メーカー以外にも様々な企業が研究に取り組んでいる。
西独ボッシュ、村田製作所、日本特殊陶業等。
更にあの家電の英ダイソンが全固体電池を載せたEVを20年までに売り出すそうだ。

今後各社の全固体電池関連ニュースに注目して行きたい。

 

<参考資料等>
1.そもそもリチウム電池とは(リチウム電池の基礎)(おさらい)
リチウムイオン電池の豆知識
全固体電池って何だろう?
③リチウムイオン二次電池(ウィキペディア)

2.固体電池の理解に役立つお薦めサイト
参考1.菅野教授が語る、EVはこう進化する
参考2.EV向け本命 5分で完全理解「全固体電池」.
参考3リチウムイオン電池の3倍以上の出力特性をもつ全固体電池を開発

3.トヨタとパナソニックの提携発表
トヨタとパナソニックが車載用角形電池事業の協業について検討を開始
そもそもトヨタは現在のどの会社よりも早く電池開発に関心をもっていたのだ。
(自動織機を開発した豊田佐吉は1925年、革新的な電池の発明に資本金と同じ金額(当時の100万円)の賞金を掛けていた。)

 

 

 

 

日本の太陽光パネルメーカーの生き残る道は?

日本の太陽光パネルの世界シェアが10年前から大きく後退してしまっている。

かつて(2005年)日本の太陽光パネルが世界の生産量の上位トップ5社の中で4社を独占していた。
(1位シャープ、2位Qセルズ(独)、3位京セラ、4位三洋電機、5位三菱電機と日本勢は約50%を締めていた。

しかし2016年現在、1位ジンコ・ソーラー(中国) 2位トリナ・ソーラー 3位カナディアン・ソーラー(カナダ) 4位JAソーラー(中国) 5位ハンファQセルズ(韓国)と日本勢は5位以内には入っていない。なんと10位圏外に陥落してしまったのだ。

液晶やELも最初に革新的な製品を出しながら、結局は外国勢に負けてしまったパターンと同じだ。携帯は国内だけで生き残っているためガラパゴス携帯(ガラケー)といわれている。

太陽光パネルで日本勢が外国勢に負けた理由としては次の様な要因が揚げられている。
1.外資参入を阻む複雑な流通
2.買取制度によるコスト意識の低下
3.国内製を好むユーザー
このよう国内向き志向な要因で価格競争力を失い外国勢に席巻されてしまった。

具体的には
1。海外ではパネルメーカーがパネルの施工・保守までを一気通貫で行う。
これに対し日本では中小工務店が施工を担当するが、メーカーと工務店の間に住設機器販売店が存在するので、どうしてもコストが上昇する。ただ日本の狭くて複雑な形状の土地や住宅・ビルの屋上にパネルを置くには中小工務店が必要だった。

2。再生エネでつくった電気を一定期間決まった価格で買い取るFIT制度が始まったのが12年7月。太陽光の場合当初は普及促進を狙い1kw時40円と非常に高額に設定された。導入には効果が大きかったが結局この高さがユーザーのコスト意識を薄れさせメーカーのコストダウン努力にブレーキを掛けてしまった。
買取価格は年々引き下げられて現在1kw時21円になっており、18年には20円、そして数年後には10円前後まで下がる見通しではある。
しかし、中東のドバイでは4円で売電しても採算があう太陽光発電がある。世界1位のジンコ・ソーラーと丸紅が3円を切る事業に着手しているのだ。

3。日本のユーザーは、工務店が安い外国製を提案しても、割高な日本メーカーの方を選ぶという。その心理は住宅を一生の買い物と考えることから屋根の上のパネルも同じような感覚を持つため、安さよりも信頼感や知名度に重きを置くためだそうだ。
しかし最近は消費者も割安な海外パネルに目を向け始めている。

パネルの生産増大に関して、中国の上位メーカーは日本メーカー京セラの年間出荷量に当たる分程の生産能力増強を毎年実施しコスト競争力を高めている。

日本のメーカーはパネルを単体で売る事業モデルはもはや出来なくなった。

それでは日本のパネルメーカーの生き残り策は?

1.生活の質を向上させる高度な製品・システムとする
住宅用太陽光パネルで作った電気を、単体畜電池やEVの電池も組み合わせてAIで家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を構築しネットゼロエネルギーハウス(ZEH)を目指す

 

高変換効率太陽電池の開発とこれを使う高効率パネルの製品化
生産量では外国勢に席巻されてしまった日本メーカーだが日本のパネル開発力はトップレベルを走り続けており、その技術には世界が一目置く。
其の1.今年のノーベル賞候補にもあげられた、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が開発した薄くて軽い「ペロブスカイト型太陽電池」だ。
薄膜型で軽く圧倒的に低コストで作成出来る。性能もシリコン製に近づいている。
其の2.カネカも8月NEDOとエネルギー変換効率が結晶シリコン太陽電池では世界最高の変換効率26.63%の太陽光電池を開発した。
其の3.換効率60%以上が期待される量子ドット太陽電池の開発も進行中だ。
これらの新型高変換効率の太陽光電池の製品化を行うことができれば再び日本メーカーが躍進する日がくると期待できる。

ところで、外国製の安いパネルを使って日本が活躍する方法もある。
商社の丸紅は外国製の安いパネルで大規模な発電所の建設をアラブ首長国連邦ドバイで行っている。
丸紅関連サイト1日経
丸紅関連サイト2EE times japan

今後もどしどし世界各地に建設してもらいたい。
(個人的にはこれが原子力発電所の抑制・廃棄につながると思う)

<参考サイト>

2.関連
宮坂力特任教授が開発した「ペロブスカイト型太陽電池
NEDOとカネカが開発の換効率が26.63%の太陽光電池
量子ドット太陽電池

1.関連(ZEH)
資源エネルギー庁
セキスイ

 

尚本稿は日経産業新聞10.25他を参照した。

 

 

 

発火の心配ない次世代リチウム電池

現在リチウムイオン電池は、スマートフォンやパソコン、電気自動車などに使われ最も普及している2次電池だ。しかもこれから更に自動車用、蓄電用に大きく伸びようとしている。
しかし、最大の問題は発火の恐れがあることだ。

リチウムイオン電池の構成は正極、負極、電解質、セパレーターだが、
この電解質が現在は有機物を使用しているため(リチウムを使うため水系溶液は使えない)、発火の可能性があるということだ。これまで発火事故が各地で生じた。

その後構造面、システム面が改良はされたようだが有機物電解質を使う限りに置いては危険性を抱えたままだ。

かと言ってリチウムイオン電池に取って代わる電池はすぐにはなく、当面は更なる高性能化のために、正極、負極等部材の研究も行ないながら、発火防止の研究が進められてきた。

今回東京工業大学の菅野了次教授は次世代の電池と言われる電解質が固体の『全固体電池』を開発し、注目が集まっている。

全固体電池は発火の危険性が極めて低く、またこれまでの電池よりも容量を大きく増やせる可能性もある。
実は菅野教授は6年前に全固体電池の開発に成功している。
固体は液体よりイオンが流れにくく、電流を取り出しにくいことが課題だったが、2011年、電解液に匹敵する性能の固体の電池材料を作ることに成功した。
ただ、高価なレアメタルであるゲルマニウムを使っていたため、コスト面に問題があった。

今回はスズ(錫)ケイ素といった安価な材料を組み合わせ、室温下電解液並の性能を持つ材料を作ることに成功した。
安価な材料を使用することで、コストが大幅(3分の1以下)に下がる見通しだ。

以上がニュースの概要だが、しかし実用化が10年後というのは一寸遅すぎでは。
開発したと大々的に公表したからにはすぐ少なくとも数年後に実用化しないと
どこかの国に追い抜かれそうで心配だ。

TV朝日NEWS

 

再生エネを空気に貯める、空圧電池の実証実験

電力を貯蔵することについては、
少量では昔からアルカリ乾電池など各種乾電池や、最近ではリチウムイオン電池、
新しいところではナトリウム硫黄電池などがあり、
中容量電池として鉛蓄電池や、リチウムイオン電池、酸化還元反応を活用するレドックスフロー電池も開発されつつある。

一方大量の電気を化学物質等を使わず安全に貯める方法としては、これまで揚水発電が用いられてきたが、最近これまでの方法とは全く異なる方式が注目され実証実験が行われている。

それは「空圧電池」とよばれ、圧縮空気を利用し大量の電気を貯める方法で、原理としては極めて簡単ではある。
すなわち余剰電気として送られてきた電気で圧縮機を動かし大きなタンクに空気を押し込み溜めておく。電気が必要な時はこの圧縮空気を放銃し発電機を回し電力を得る。

今回実証実験を行ったのは、エネルギー工学研究所NEDO早稲田大学らが
神戸製鋼所の装置を使って静岡県伊豆の河津町で実施した。

空気は10気圧でタンクに押し込まれた。装置の貯蔵能力は1千キロワット。圧縮機を動かす電力は近隣の風力発電所から送った。
2018年度末迄実験を続けて性能を評価する。


空圧電池実証実験装置(下記参照サイトより)

尚空気を圧縮し貯蔵する時は空気の温度が上がり、発電する時は膨張のため温度が下がるので、温熱や冷気として回収出来る。
これは断熱圧縮断熱膨張という原理で、色々な機器に応用されている。
(断熱圧縮は、自転車の空気を入れた時空気ポンプの下が熱くなっていることで実感出来ますね)
この技術の特徴は、媒体として空気しか使わないので、安全性が高く、寿命も長い。

空気を使う電力貯蔵技術を他の方式と比較した概要を下表に示す。

<電気を貯蔵する技術の主な性能比較>
圧縮空気
エネルギー
貯蔵
リチウム
イオン
電池
鉛蓄
電池
NAS
電池
レドックス
フロー
電池
充放電
効率
55~
70%
85~
95%
75~
85%
75% 70%
コスト
耐用年数 20年以上 6~10年 15年 15年 15年
安全性
設置面積
(日経新聞(2017.7.2)より転記)

再生エネルギーの普及につながるこれら電力貯蔵技術は今後とも開発競争が激化しながら技術向上が図られ、適材適所で使われる様になってゆくと考えられる。

安全性、原理の単純性、耐用年数などからこの「空圧電池」の今後の発展が期待される。

<参考サイト>
圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムの実証試験を開始