マグネシウム電池はリチウムイオン電池の後継になるか

現在再充電で繰り返し使える2次電池は各種あるが、現在最も普及しているのがリチウムイオン電池であり、今後もまだまだ主役として市場の拡大は続くと見られている。

しかしリチウムやコバルトの希少資源(レアメタル)を多用するので原材料の安定的な確保や使用後のリサイクルに課題がある。

リチウム電池の次の候補の一つに、資源が豊富なマグネシウムを利用するマグネシウム電池が考えられているが、電力密度が低いことや反応で電極表面に絶縁物が生じる等技術課題があった。

東工大の矢部教授らは、薄膜状のマグネシウム電極を使うことでこれらの課題の克服に目途をつけ、ベンチャー企業を興し、マグネシウム電極を薄膜にすることで、電池の小型化、持続時間の増大、電池の大容量化にも道をつけた。

非常用電源としては既に企業と組み2014年、少容量タイプが発売されている。
また長期間劣化しにくいことや取扱性の良さなどから防災用に期待されている。(水と塩で発電するLEDランタン

2次電池としてはホンダや埼玉県が実用化の目途を付けたとされ関連銘柄の株価も一次急騰した。
しかし技術の詳細が明らかにされていない。

リチウムイオン電池並の性能や価格を実現するにはまだ年月が掛かりそうで、これからも当分はリチウムイオン電池の拡大が続きそうだ。

通常のガソリン自動車用バッテリー鉛電池が普通だが軽量化の為、リチウムイオン電池が一部採用され始めてはいる。しかし安定性、取扱性、値段の安さ等でまだすぐには取って代わられるものではなさそうだ。

従って、リチウムイオン電池の性能を大幅に上回る2次電池が期待されており、
当面その最も近い物が硫黄電池のようだが、しかし当面の本命はやはりマグネシウム二次電池かと思わせられる。

産総研から2016年3月に発表された資料(ロードマップ)は、ビジュアル化を徹底させたプレゼン資料で、マグネシウム電池の開発状況がよく分かる。(内容は難しいが)
ポストリチウム二次電池の開発~マグネシウム二次電池の創製に向けて~)

 

最後のページ(22ページ)にも注目。
一見元素周期表みたい、いや全然違う。
よく見ると元素記号だけで作った英文メッセージだ。
ユーモアもあり、字(アルファベット)余りも無い。
良く考えられた(組み合わせた)ものと感心した。
Motivation Research Synthesis.I am Lunatic.
(Thank you for your) Cooperation.
かな?

 

 

 

 

次世代航空機エンジンに日本の新素材

ボーイングの次世代大型ジェット機には初めてエンジンに日本の新素材が使われる予定だ。

航空機の燃費をよくするために各種の軽量化が図られている。

これまで最大の軽量化は胴体や翼の部分を従来のアルミ合金から炭素繊維に切り替えることで行われてきた。その炭素繊維の供給会社は主に東レだった。

炭素繊維(PAN系)の生産は日本企業3社(東レ、三菱ケミカル(合併前は三菱レイヨン)、東邦テナックス)で世界のほぼ6割から5割を占めている。(昔は7割以上だったが次第に減減少している)

今後も燃費向上のため機体全体への炭素繊維の使用は増えて行くものと見られている。

しかしながら更に燃費を良くするために現在注目されているのがエンジンだ。

米国ジェネラル・エレクトリック(GE)は次期大型機(777X)のジェットエンジンのタービンブレード等を従来のニッケル合金から新素材の炭化ケイ素(SiÇ)繊維素材に切り替える。

この繊維はCMCと呼ばれるセラミックスとの複合材に加工されたうえでエンジン部品に形成される。

この炭化ケイ素(SiC)繊維はニッケル合金に比べ重さが3分の1、耐熱温度が摂氏1800~2000度あるため、現在行っているエンジンの冷却をする必要がなくなりエンジン重量の軽減と高温燃焼による推力が向上し燃費が改善する。

炭化ケイ素(SiC)繊維を生産出来るのは現在世界で2社しか無い。

それが宇部興産日本カーボンで、両社が素材をGEに供給しGEが複合材に加工する。

宇部興産は25年までに宇部工場内に工場を新設し年間200トン体制を目指す。

GEも19年に米国内で100トン以上の能力の工場を立ち上げ日本カーボンと共同で増産する予定だ。

ボーイングの次期大型機777Xの後部胴体、中央翼、中部と前部胴体の製造は

夫々三菱重工、富士重工、川崎重工が東レから炭素繊維の供給を受け、製造する。(更に後方の飛行制御装置はナブテスコ)

米国は勿論世界で生産される航空機への日本企業の役割はこれからますます大きくなりそうだ。

 

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竹で新素材

新素材セルロースナノファイバー(CNF)は植物中の繊維(セルロース)をナノレベルにほぐして作る。これまでは製紙会社が得意の木材パルプを原料にしていた。

しかし日本には竹という植物もたくさんあり、特に最近放置竹林による被害が深刻化しており、対策に悩む自治体が新たな活用方として期待を集めている。

竹から作るCNFは他の樹木から作るCNFと比べてプラスチックなどの樹脂との馴染み易い。

中越パルプ工業は竹からCNFを作る技術を九大と確立した。今年6月から鹿児島県で商業生産を始める。木材パルプと合わせ年間100トンの予定。

鹿児島県は竹林面積が日本で一番。林野庁によると全国の竹林面積は16万1千ヘクタールで81年より約12%増加しているそうだ。

放置竹林の被害は京都で杉やヒノキが枯れる被害が、香川では台風時に土砂災害が起きている。

竹はこれまでは竹炭や紙、道路の舗装材などに加工されてはいるが需要は減っている。

同社は今春以降宮城県石巻市で年間500トン以上のCNFを生産出来るよう規模を拡大する予定だ。

最大の課題は1kg数千円とされるコストだ。原料となるパルプは1kg50円程度だが繊維をほぐす加工に手間がかかるためだ。

これまでに木材パルプからのCNFを使った商品としては、かすれにくく乾きやすいボールペン(三菱鉛筆)、消臭効果を高めた大人用おむつ(肌に触れない部分にCNFシート使用)(日本製紙)などがある。

更に最新技術製品への応用としては、透明ナノペーパーとして薄い太陽電池などへの応用開発がなされている。

 

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地球温暖化対策に期待される人工光合成

昨年(16年)11月地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」が発効した。

温暖化の代表的な原因とされる二酸化炭素だが、これを有効活用しながら減らす技術として注目されているのが植物の光合成を模倣してエネルギーや物質を生み出す「人工光合成」だ。

 

人工光合成は

①太陽光を使うこと②水を原料にすること③光エネルギーを化学エネルギーに変えて炭水化物のみならず水素やアンモニアなど生成するという3要素を同時に備えることが条件とされている。

 

現在世界中で研究開発がなされており、日本でも幾つかのグループで開発が進められている。

その代表的なものをご紹介。

1.NEDO(産業技術総合開発聞機構)が開発を委託する「人工合成化学プロセス技術研究組合」

・光触媒と太陽光で水を分解し水素と酸素を発生させ、この水素と炭酸ガスを原料にしてプラスチックや各種プラスチックの原料となるオレフィンを合成する。

この光触媒の原点は1972年に「ホンダ・フジシマ効果」として発表されたもので、二酸化チタンに紫外線が当たると水が酸素と水素に分解された現象。

その後、2000年代に入り可視光吸収型光触媒が発見され、多くの研究開発が進むようになった。

昨年時点でのエネルギー効率は3%に達した。因みに植物の光合成の効率は1%。

2.豊田中央研究所

・半導体を使った人工光合成。半導体基板の片面に貴金属のイリジウムを使った触媒を、他方も片面にルテニウムの触媒を貼り付けた素子を使用。

これを水に入れて炭酸ガスを吹き込みながら太陽光を当てると高効率で化学原料のギ酸(HCOOH)が出来る。

エネルギー変換効率は11年の1.04%から15年には4.6%まで高まった。

・半導体を使う方法はパナソニックや東芝も人工合成の開発に取り組んでいる。

3.大阪市立大学・マツダ

・酢酸に酵素を加え太陽光を当てるとエタノールが生成する人工光合成に成功。

エタノールは燃焼時炭酸ガスの発生の少ない燃料となる。

変換効率は0.1%とまだ低く、エタノールの分離の課題もある。

 

パリ協定は気温上昇を産業革命前から2度未満に抑えるという方針を掲げ各国に大幅な排出削減を求めている。

日本政府も昨年4月には二酸化炭素の抜本的な削減に向けた「エネルギー・環境イノベーション戦略」でこの人工光合成を有望な対策技術に位置付けた。

 

<付記>

 

 

参考サイト

 

 

 

 

 

常温核融合は本物か?

太陽の中で起こっている核融合反応を地上で再現できれば人類は永久にエネルギーに困らない。しかしこのためには一億度以上のプラズマ状態の反応の場が必要とされフランスや日本などはITER(国際熱核融合実験炉)の建設をフランスで進めている。

一方常温で核融合を起こそうという研究も進められている。これは1989年に米ユタ大学で二人の研究者がその兆候を見つけて発表したものだが、各国での追試が結局再現出来ず中止された。しかし一部の研究者たちが研究を続け徐々にこの現象の再現性が高まってきた。2010年頃から米国やイタリア、イスラエルなどにエネルギー利用を目的としたベンチャーが生まれている。

常温核融合を目指して日本でも研究は続けられ、現在では日本は凝縮系核反応、米国では低エネルギー核反応と呼ばれている。

この反応は常温から数百度で元素が融合し、各種が変換する。この反応の応用には発生した熱をエネルギー源にする方向と核変換によって放射性元素の無害化や希少金属の生成を目指す方向がある。

日本での取り組みは東北大の岩村教授グループと神戸大の荒田名誉教授グループが夫々ベンチャー企業など共同で実験を進めている。

89年のユタ大学での実験はパラジウムの電極を重水素の溶液中で電解するものだったが、現在はいずれのグループもパラジウムを主体とした金属に重水素ガスを圧入する方式で、熱の発生と、ヘリウムの生成の再現性が高まっている。

一方依然としてこの凝縮系核反応を偽物とみる研究者がいる。それは核融合を引き起こす為の陽子(+)間に働く反発力(クーロン斥力)を低温度状態でいかに乗り越えているのか、粒子や放射線を出さない核反応が可能なのかという疑問に応えられる理論構築が出来ていないからだ。

この疑問に対しては、金属内では電子や陽子が密集しており、ここに高圧の重水素が接触して浸透し、複数の元素が同時に反応することにより何らかの原理によりクーロン斥力が軽減され反応が進むのではと推定されている。