今自動車の軽量化を目的に新素材の研究が進んでいる。
車体用途では強度的に強く、軽いのはジェット機にも使われている炭素繊維だろう。
高級車には一部使われ始められたが価格が高く一般車への普及は大分先になりそうだ。
プラスチック素材なら軽くていいのだが、これまでは強度が不十分で塩ビのバンパーやアクリルのインパネなど一部に使用されてきただけであった。樹脂バンパーは壊れてもいいという前提なので使われている。しかし窓はそうはいかない。
窓は透明性が必須なのだが、アクリルやその他透明な樹脂では強度が足りない。
ポリカ―ボネイトは警察が使う盾になっているほど十分な強度はあるのだが、傷が付き易さを克服できていなかった。(表面硬化はあるが不十分)
これらの動きと平行に、非石油由来のプラスチック樹脂が二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減に役立つ新素材(バイオプラスチック)として注目を集めている。
新素材はこれまでの欠点だった熱に弱い性質を克服し金属やガラス等に代わりになる可能性を秘めている。
環境省も新素材を将来的に次世代自動車の部品の部品などに使う事を目指し技術面から地球温暖化防止対策を進めようとしている。
先ずは先行の製紙会社で研究がすすむ新素材セルロースナノファイバー(CNF)だ。
これにはこれまでにも当ブログに書いてきたので詳細は割愛します。(下のリンクご参照)
CNFは耐熱温度が最高約280℃のため、自動車のエンジン回りには使えない。
そこで注目されているのが本題の新素材だ。
1.バイオポリイミド
イミドと聞いただけですぐははーと思った人もいるでしょう。
北陸先端科学技術大学院大学の金子教授らは、植物から得られるブドウ糖を遺伝子操作した大腸菌によってアミノ桂皮酸に変化させた後、紫外線を当てて分子構造を変えて
熱に強いポリアミド樹脂を合成した。
耐熱性は400℃あり、エンジン回り部品への使用を第一とし、透明なので窓ガラスやライトカバーへの使用も想定されている。
2.リグノフェノール
リグニンは良く知られているように、木材の繊維を束ねる接着剤の役割を果たしている物質だが、リグノフェノールはこのリグニンから抽出した粉状の素材で、他の樹脂と混ぜる事で軽くても丈夫で加工し易い素材になる。
高い断熱性があり燃えにくいため、車のボンネット裏の遮熱材や配線が通るコネクターなど、熱が生じやすいところに使える。金属部品に比べて15~50%重量を低減させることができると期待されている。(島根県の建設会社で開発が進む)
環境省は、上記の研究について、昨年から実証実験を始め、生産コスト削減や安定した供給方法を探っている。
目標は、先行して研究が進む木や竹由来のCNFと組み合わせることで、車体重量を10%削減した次世代自動車の実現だ。
(一部用語間違いがありましたので修正いたしました。遅くなりました。お詫び申し上げます。)
現在の機械工学における構造材料の耐久性に対する主な問題点は強度ではなく、摩擦にある。島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑(機械工学における摩擦の中心的モード)の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能な本質的理論で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後48Vハイブリッドエンジンのコンパクト化(ピストンピンなど)の開発指針となってゆくことも期待されている。
それって今度、ダイセルの自動車部品や特機開発の首席技師になった方の理論ですね。
私も機械工学の出身なので、トライボロジーのやわらかなあきらめ感が分かります。しかしこの方は、それを振り払えといって背中を見せるために転職したんでしょうね。もう少しトライボロジーの研究開発も心臓部である境界潤滑に真剣に取り組むべきでしょう。
これってハイテンの金型へいいやつですね。私も使っています。
じつはガンダム級の巨大ロボット開発を日本が世界に先駆けて成功するか否かを握っている最重要技術のなひとつなんですね。だから反響も大きい。
そうSLD-MAGIC。これって最強ですね。
安倍首相から祝電が入っていたようです。博士は今は
ダイセルの特機開発部門の首席技師ですが。
機械の性能(燃費・トルクなど)を究極まで高めると素形材の耐久性に問題が生じるのは古今東西見られる現象であり、そこに対するブレークスルーを考えるのが、真の技術者なので、そこはコスト度外視にしても幅広く検討すべきだろう。そういった視野の中でナノレベルの大発見があればそれはテストに値するものと思う。
ラマン分光いいっすね。久保田博士が言ったように油の吸着を精密にやると、実機試験に合うトライボ評価が出来ますね。でも微量の油はぬれ広がらない。それでかなり多くのトライボロジーテストが実機試験者からダメだし食らっているわけだ。そういう中、トライボロジストとして真の科学を建設しようという意気込みが感じられます。
巨大な機械、コンパクトな機械どちらも進化の方向性の基本を知りたいなら是非博士の論文ぐらいは読んだ方がいい。
オイルが基本的に人類文明を支えてきていることが分かると同時に、オイル頼みだったあるいみ結果オーライの手法からの脱却を目指し、多分、理想的トライボシステムがその理論開発者の発言から匂い立つ、儲けを原理としての提案ではなく、地球環境問題の機械工学的基礎をせめている理論であることは、私にはとても貴重な科学技術上の宝石のように見える。
このまえ日本鉄鋼協会で学術講演を聴講しました。
それは現ダイセルの久保田邦親博士が開発したものだからです。機械の摩擦の原理・本質・理論を誰よりも考え抜いた結晶の技術だと誰か言っていました。
マルチマテリアル化が進む中、久保田博士は有機化学メーカーダイセルに移籍した。狙いはたぶんダイセルの持つ高性能ポリマーとDLAMPという接合技術に狙いをつけたのだろう。
しかしながら既存の特殊鋼メーカーは磁石ばかりにこだわる。日立金属はもちろん磁石にも強いがちゃんとした境界潤滑理論を提示する工学博士がいるような会社として見据えなければならないと思う。
そうか、セルロースがカギなのか。