前回カーボンナノチューブ(CNT)の概要についてご紹介しました。
カーボンナノチューブ(CNT)のそもそもの発見
1976年、前回紹介した遠藤守信氏が炭素繊維を作る過程で発見した。出来た原因は基板を磨いたときに落ちた鉄が触媒になり偶然に出来たと言う。その時は構造はわかっていないまま世界に報告された。同氏は日本の炭素繊維の研究・生産の草分け的存在なのだ。
カーボンナノチューブ(CNT)の構造解明と命名
1991年NECの基礎研にいた飯島澄男氏は炭素繊維を放電後の電極に出来た炭素の結晶を調べている時細長い結晶を発見しこれがCNTであり、その詳細な構造を解明し英科学誌ネイチャーに論文を発表した。
今回は生産の方について、発見当初及び最近の状況についてご紹介します。
昔は量産方法が見つからず、2005年頃は1g10万円以上もしていましたが、 最近は多層CNTについては同10円前後と1万分の1になり、 単層CNTについては同100円程度を目指した量産化が進んでいます。
現在の量産化の基礎技術は2004年に産業総合研究所が開発した「スーパーグロース法」と呼ぶ方法です。
単層CNTの量産 2015年11月には日本ゼオンがこの方法を使い山口県の徳山工場で世界初の単層CNTの量産工場を稼働させました。基板上に鉄などの触媒を塗布しベルトコンベアーに乗せて加熱する方式で生産量は年間2から3トンになるそうです。更に16年7月には産総研と共同で茨城県つくば市に共同研究施設を開設し、更なる低コスト量産技術及び研究の進展が期待されます。
多層CNTの量産 これまで昭和電工川崎事業所で量産されていて、2015年9月から更にこれまでの5割増の年間200トンの生産を行っている。詳しくはここから